丁寧でちゃんとしているのに嫌われる理由

[ 人生を好転させる潜在意識の活用法 ]

20年来の付き合いになってしまった「ぎっくり首」

先日、ぎっくり腰ならぬ、ぎっくり首になってしまいました。

元を辿れば、20年ほど前にショートスキーにハマっている時代があり、その頃、よくスキー場で尻餅をついていました。

そんなスキー三昧な日々を送っていた冬。暮れも押し迫った12月28日。会社は大掃除を残すのみの、お正月休み前の最後の出勤日。朝起きようとしたら、首が突っ張って、足まで痺れて、どうにも起き上がることができないのです。

一人暮らしで、起こしてくれる家族もいない状況で、なんとか足で携帯を手繰り寄せ、近所の友人に来てもらい、タクシーに放り込んでもらって病院へ行きました。

医師も原因がよくわからないようで、スキーの転倒時に痛めたのが遅れて出ることがあるというなんとも曖昧な診断。とにかくお正月は正真正銘の寝正月で過ごしました。

それ以来、重い荷物を持ったり、寒くなったりすると、朝、起き上がれないレベルで首が痛くなるという、ぎっくり首にしばしば襲われるようになりました。

マニュアルに沿いすぎると失敗することがあるのは、相手が機械ではなく人間だから

先日も、朝ぎっくり首になり、1時間以上、七転八倒しながら、なんとか接骨院に辿り着いたのですが、その時の若手整体師さんの残念な対応についてのお話です。

首も動かせず、歩くのもやっとの私を丁寧に案内し、ソファーに座らせてくれました。

整体師「少し診ますね。ちょっと写真撮っていいですか?」
私「はい…」(この激痛時に写真?)
整体師(写真を見せながら)「肩より、頭が前に出てますよね。これは、骨盤の歪みです。根本改善のためには、骨盤矯正が必要になります。これは自費治療なのですが…」

この後、パワーポイントで作成したようなイラスト付きの解説書を紙芝居のようにスライドしていきました。きっと、自費治療にもっていくためのマニュアルがあって、それに沿って話しているのだなとすぐにピンときました。

私「自費治療についての説明はわかったのですが、私の今の症状がどんな具合か、どうして起こったのかというような見立て(診断)と、治療方針を知りたいんですが…」
整体師「見立て?」

どうも「見立て」という言葉自体理解できなかったのか、私もさらに、
私「今、激痛で来ているので、そこを知りたいし、こちらで無理なら病院へ行きたいので」
というと、
整体師「少々おまちください…」
といって別の先生に交代し、その先生は「辛いところすいません。今の状況、教えていただいてよろしいですか?」と私の症状を聞き、確認から入りました。

激痛で動けない患者が来たら、まずは説明ではなく、患者の話を聞かなくては治療も何もないのではと思う一幕でした。

ただ、この若手整体師さんは、決して感じが悪いわけではなく、言葉遣いや態度は丁寧なのです。でも、自分が話すべきマニュアルに気をとられて、患者を見ていないのです。

質問力や鮮やかなプレゼン力よりも、真っ先に身につけたい超基本とは?

体に不調があるときに、それとは関係のないことを説明されても、まず頭に入ってきません。痛みのある人に、痛みについてまず話をさせなければ、患者は自分の不調を理解してくれたとは感じません。これでは信頼関係を構築するのは不可能です。

今回のぎっくり首の治療も、まずは原因や「以前も同じ症状がありましたか?」などと聞いて、相手の心配な点や不安な気持ちに寄り添っていれば、展開はまったく変わってきたはずです。

丁寧でも、相手に焦点を当てずに話す人は嫌われます。相手に焦点を当てて聞くというのは、カウンセリングやコーチングの基本スキルで「傾聴」と呼ばれるものです。傾聴ができれば、相手の心を掴むことも、クレームを未然に防ぐこともできる最高の武器になると思っています。

あなたもお気づきかもしれませんが、私の「冒頭のスキー〜寝込んだ」話、長いですよね。長い話、繰り返される話は、その人が一番伝えたいことです。こういう話をされた場合は、まずはそこを丁寧に聞くことが、相手に寄り添う第一歩となります。

傾聴はよく知られたもので真新しくはありませんが、この傾聴を軽く見ている人が多く、傾聴がちゃんと実践できる人が少ないのも事実。

私は柔道初段なのですが、柔道で怪我をしないために最も重要なのは受け身です。どんなに投げ技が強くても、受け身ができなければ、大怪我をします。同様にコミュニケーションで言えば傾聴は柔道でいうところの受け身です。

これができなければ、どんな巧みな質問をしようが、饒舌(じょうぜつ)に話そうが、相手の心を掴むどころか、クレームに発展することさえあるのです。

多くのトップセールスパーソンや人望を集める人は皆聞き上手です。傾聴ができるだけで、クレームにならず、相手の心を掴めます。相手の心を掴んだ人がチャンスを掴むのです。
是非、相手に焦点を当てた聞き方してみてください!


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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