
親も教師も全員が知るべき「基本的信頼感」。これが欠けると自己肯定感が育たない
[ 人生を好転させる潜在意識の活用法 ]
共依存に走る人は、基本的信頼感が未発達
前回の記事からの続きです。
共依存の気質があるAさんは、パワハラ体質で、他人にヒステリックにまくし立てたりします。それなのに、自分が高圧的に振る舞った相手に認められたかったり、仲間に入れてほしいという欲求を示したりする時がありました。どんな人からでも評価されたいのです。
というのも、自分に自信がないから。そこで、他者を無理にでも自分に依存させ、自分の存在価値を高めたいのです。
孤独感を過剰に気にすることも大きく関係しています。だからといって人を信頼し、本当の人間関係を構築する能力がないので、依存関係を結ぼうとして、力による支配で相手を離さないようにするという執着心が行動源となってしまいます。
これは幼い頃、「基本的信頼感」の構築ができていなことが原因だと思われます。基本的信頼感とは、社会や他者を信頼し、自分自身も信頼しているという価値観で、アメリカの心理学者であるエリクソンによって提唱された概念です。

孤独から逃れるために、思ったことを口にするのも感情に出すのも封印してきた
基本的信頼感に関する心理実験では、「基本的信頼感」が高いほうが、抑うつ傾向になりにくく、他者に敵意を抱きにくく、活動的という結果が出ています。
しかし、幼児期に親などの養育者との「基本的信頼感」の形成がうまくいかないことで、自分や他者に信頼感を持てず、情緒面や対人面に問題が現れることがあるのです。
親などの養育者が精神的に不安定で子供に関心がない場合、子供は甘えたい、愛されたいなどの欲求を満たすことができません。しかし、親の擁護がなくては生きていけないのが子供です。
そうなってしまうと子供は自分の感情を抑圧し、親の言いなりになるように我慢して自分を演じたりします。また反対に、親を恨むことを原動力に行動するケースもあります。
Aさんも恐らく、幼い頃から親と基本的信頼感を築くことができなかったのではないでしょうか。親との関わりの中で、自分を抑圧し親に依存したり、親から支配されることしか学ばなかった結果、信頼に基づく人間関係を構築することができなくなってしまったと思われます。
「ありのままの自分で愛され、必要とされる自信がない」
「本音を言って拒絶されるぐらいなら、その気持ちを抑圧する」
こんなことばかり考えながら、育ってきたのでしょう。
相手の気持ちが離れていくのが怖いと思った時、ありのままの自分を受け入れてもらえる自信がないから、相手を依存させたり、恐怖で支配することで強引につなぎとめる。このようにしてAさんは、孤独から逃れる方法をとってきたはずです。
しかし、花を一輪手折って、瓶の中に閉じ込めてしまったら、もうその花は生きていけないように、依存や恐怖による支配をしてしまった時点で、愛や信頼関係は育ちません。

歪んだ執着を手放し、本当の自分を受け入れ、勇気をもって人と信頼関係を築いたり、人を愛する必要があります。
表現・選択・決断。全てにおいて自立なくして解決できない
依存や共依存の関係を断ち切るために必要なことを、最後にお伝えします。
1.自己肯定感を高める
自分を愛せない人は真に他人を愛することができません。どんな自分でもOKと受け入れたり、毎日少しでも自分のいいところを探したりしてみましょう。
2.自分で選び決断する
依存しやすい人は何でも他人の価値観で判断し、自分で決断することが苦手です。些細なことでも自分で選択し決断することで、自分で自分が置かれた環境や状況をコントロールできることや、コントロールする喜びを知る体験を積み重ねることが大切です。
3.自分の感情を表現する
依存しやすい人は、自分の気持ちを抑圧し、相手に合わせ、相手から認められようと過剰に行動してしまいます。自分の本心や自分自身を大切にし、それをハッキリと表に出す練習をしましょう。自分が心底喜んでいる姿は他人には割と伝わるもので、他人も嬉しくなります。自分にも他人にも、お互いにとって素敵なことではありませんか?
依存関係ではなく、真の信頼関係を目指してください。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
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国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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