相手によって態度を露骨に変える人、「お試し行動」をする人とは距離をとるしかない

[ 人生を好転させる潜在意識の活用法 ]

恋人、配偶者、先生に過剰に評価を求める

前回の記事でお伝えしたように、自己愛性パーソナリティ障害の人は、親の期待に応えることができるいい子の自分にしか、認めてもらえなかった経験がある人です。

ではなぜ、この幼児期の体験が大人になってからの人間関係に影響を与えるのでしょうか?

それは、本人も無意識なのですが、大人になった今でも、目の前に親を置いて、いい子を演じて生きているからなんです。心の中では幼い当時のまま、親に認めてほしいという気持ち、愛着や欲求を別の誰かに向けて、自分を満たしたいのです。

心理学では過去の重要な人物との対人関係(その中で感じた、欲求や葛藤など)が、別の誰かに無意識的に向けられ反復されることを転移といいます。

転移は、教師やカウンセラーなど援助者に向けられることも多いですし、身近な夫婦や恋人、友人などに向けられることもあります。

親から得られなかった承認や無償の愛を、無意識に他人との関係の中でリベンジしようとしてしまうのです。

しかし、他人は親ではないので、親がしてくれるような無償の愛を与え続けるのは不可能。だから歪んだ自己愛を持つ人は結局、自分自身で人間関係を破壊してしまうのです。

お試し行動を繰り返す

例えば恋人同士の場合、いつでも自分を見てほしい、かまってほしいと願う。その結果、相手からLINEの返信がすぐ来ないと不安になる。「こんなに私を放っておくなんて、きっと彼は私をもう好きではないんだ…」とまですぐに考えてしまうことも。見捨てられる不安が自分を突き動かし、返事をしつこく催促する、束縛するなんてケースも出てきます。

そして、不安が極まるとやってしまいがちなのが、お試し行動。
「仕事、仕事ってこんなに私を放っておくなんて、愛情がない証拠だよね。もう別れよう」と、別れたいなんて本当は一切思っていないのに、こんなことを口走ってしまうパターンです。

もちろん、恋人も最初は「ごめん、ごめん。俺が悪かったよ」と、関係性を崩さない努力をしてくれます。しかし、このお試し行動が繰り返されることによってウンザリし、結局は「別れよう」と、本当に別れを切り出されてしまいます。

最も大切にしたい人からの承認や愛情を試しすぎて、相手から愛想を尽かされてしまうのです。

出会った当初、いくら見た目がおしゃれで、礼儀正しく振る舞ったとしても、それは自分を承認してくれる誰かを探すための餌にすぎません。まるで釣り人が、魚を釣るために餌をつけて釣糸を海に垂らしているようなものです。

露骨に「敵」と「味方」を振り分ける

歪んだ自己愛は、どこでも人間関係を破綻させます。例えば職場では、権威がある人に非常に弱いので、上司にはとてもいい顔をします。一方で自分がターゲット(敵)とみなした相手には、徹底的に攻撃します。

周囲の人にターゲットの悪口などを言葉巧みに吹き込み、孤立させるのもお手のもの。「あの人全然仕事しないから、私が全部やっているの」など狡猾(こうかつ)に立ち回ります。

自分を認めてくれる人、上司など自分の評価に関係する人に機嫌をとることは上手なので、彼らからは「いい人」と目に映ることも多いのです。

モラハラ、パワハラ社員にもこの自己愛性パーソナリティ障害の人は多いといわれています。自分は人から評価されなければ生きている価値がないと信じ込んでいるので、全ての人間関係が上下関係になって、執拗に自分が正しいと主張し続け、相手を追い込むことにやっきになります。

態度が改善されることはありません。
特徴として次のようなものが挙げられます。
・自分の欠点を認められない
・自分を過大評価する(理想的な自分しか愛せない)
・他者の評価を気にする
・マウンティングする(人間関係で勝ち負けをつけたがる)
・他者の意見を聞き入れない

ターゲットとなった相手はその病的で執拗ないじめ、悪口、敵対心にやられて退職することも多いので、よい人材が定着しません。企業にとっても損失です。

このようにして、職場全体としても歪んだ自己愛を持つ人は手を焼く存在になっていくのです。

もし自分が自己愛性パーソナリティ障害だったら…

誰の中にも人から認められたいという承認欲求はあります。でもそれがなくては生きていけないというぐらい強い執着を持ってしまった人とは、残念ながら距離を置くしかありません。

歪んだ自己愛を持つ人は、自分の非もダメなところも絶対に認めないので、変わることができません。だから、病的な執着に巻き込まれないようにするしか防御法がないのです。

では、歪んだ自己愛を持ってしまった本人はどうしたらいいのでしょうか? ご安心ください、解決策はありますから。それは次回に詳しくお伝えします。


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資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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