「傷をなめ合う」とバカにするべからず。「世を俯瞰する力に長けている」が正解

[ 人生を好転させる潜在意識の活用法 ]

共通の人間性を知っている人は、なぜ立ち直りが早いのか

前回は、自分自身を思いやることを意味する「セルフ・コンパッション」の構成要素の1つである「自分への優しさ」についてご紹介しました。今回は、2つ目の「共通の人間性」についてご紹介します。

さて、セルフ・コンパッションを構成する3要素をおさらいしますと、
【1】自分への優しさ
【2】共通の人間性
【3】マインドフルネス

人は失敗したり落ち込んだりすると「なぜ、自分だけが…」と孤独を感じることがあります。

しかし、【2】共通の人間性を理解している人であれば、誰でも欠点や間違いを犯すことをしっかり理解しています。しかも、多くの人が経験することであると把握しているので、他者とのつながりを感じることまでできます。

以上を通じて「自分だけじゃなくて、みんな一緒なんだ」となって気がラクになることで、苦痛から立ち直る力になるのです。

共通の人間性とは簡単に言い切ってしまえば、「人間の誰しもに共通する性質」となるでしょう。

お釈迦様が遺族に出した宿題は、元々解けないものであった

お釈迦様についてこんなお話があります。

ある村に、妊娠中に夫を亡くし、さらに幼くして産んだその子供を亡くした母親がいました。母親は嘆き悲しみ「なぜ、私だけがこんな目に遭わなければならないのか」と子供の死を受け入れることができません。

子供の亡骸(なきがら)を抱え、「この子を生き返らせる薬をください」と村中を歩き回っていました。そして、お釈迦様のところに辿り着き、「どうか、我が子を生き返らせる薬をください」と懇願します。

するとお釈迦様は「では、ケシの実をもらってきなさい。ただし、今まで一度も死人を出したことがない家のケシの実でなければなりません」とおっしゃいました。

母親は家々を周り、聞いて回りました。しかし、村中の家を周っても、今まで死人を出していない家など一軒もなかったのです。

そして母親は気がつきます。「死は誰にでもおとずれるもので、悲しい思いをしているのは自分一人ではない」と。
こうして現実を受け入れた母親は子供を弔(とむら)い、お釈迦様の弟子になったと伝えられています。

このお釈迦様のお話の中に登場した母親のように、困難や悲しみの渦中にいる人は「自分だけがなぜ、こんなにも不幸なのか…」と孤独を感じ、現実を直視できないもの。こんな状況から脱しない限り、なかなか立ち直ることができません。

このような例は、死別に限りません。例えば、離婚したショックから立ち直れない人は、離婚の悲しみに暮れる人が集まるブログなどで他者の体験を知ることで「自分だけではない…」と他者とのつながりを感じ、自分も頑張ろうと思えたりします。

また、癌(がん)になった人は、同じ癌の人が集まる患者会に参加したり、同じ病気の人の体験談などを読んで、「癌に苦しんでいるのは自分だけではない」と勇気をもらうことがあります。

同じ苦しみを味わう人は簡単に見つけられる

私も実は癌を患う一人なのですが、癌になってから多くの癌サバイバーと出会い、多くの癌患者さんの闘病期を本やブログで拝読しました。

ある末期の肺がんになった医師の方は、1年と持たない自分の命の期限を悟っていました。そして、「自分は癌だけど、まだ時間がある。飛行機の墜落事故でなくなった人は、家族にお別れをする時間もなかったんだ。自分は癌で死ぬなら恵まれている」と自分を励ましておられました。

そして私は、その肺がんで亡くなられた医師のブログを読んで、残された時間をどう生きるのかということを考え、「命の期限を感じているのは、自分一人ではない」とつながりを感じ、勇気をもらっています。

人は自分が苦しみの最中にいても、「自分一人ではなく、多くの人が経験する苦難である」と共通の人間性を感じることで、勇気をもらい、立ち上がることができるのです。

もしあなたが、「なぜ、自分だけが…」と嘆いていることがあれば、自分と同じような苦しみの最中にいる人を探してみてください。

今はお釈迦様の話の時代よりも、ブログの体験記などがあふれており、共通の体験をした人を探しやすくなっていますから。

では次回は、セルフ・コンパッション構成3要素の3つ目「マインドフルネス」についてご紹介します!


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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