
嫌なことは抵抗するよりも味わい尽くすほうが、なぜすぐに頭の中から消えるのか?
[ 人生を好転させる潜在意識の活用法 ]
今置かれた状況を、あたかも観察しているように受け止めよう
セルフ・コンパッションとは、テキサス大学教育心理学部のクリスティン・ネフ氏により「自分の愛する人を思いやるように、自分自身を思いやること」と定義づけられています。
その「セルフ・コンパッション」を構成する3要素というものがあり、ここ最近取り上げてきたのですが、今回はいよいよ最後となる3番目の【3】マインドフルネスを掘り下げましょう。
まずは【3】マインドフルネスについてご説明します。マインドフルネスとは、評価・判断を手放して、今現在起こっている経験に注意を払い、気づきを得ることです。感情に振り回されず、今起きていることを受け入れることを意味します。
セルフ・コンパッションにおけるマインドフルネスは「今、何を経験し、何を必要としているのか?」「どんな苦痛を感じているのか? そんな自分にどう優しくできるのか?」に気づくこととなります。
楽しいことより、嫌なことのほうが覚えていませんか?
私なりに、マインドフルネスについて、もう少しご説明します。心理学ではよくいわれるのですが、感情は味わい尽くすと消え、抵抗すると残るものです。だから、マインドフルネスは、自分が抱いている感情に同化はしませんが、傍観者として気づき味わい尽くす=受け入れていくことを大切にしていると、私は感じます。
ちょっと質問です。「あなたは、楽しかった思い出はすぐに忘れてしまって(あまりはっきりと思い出せず)、嫌な思い出ははっきりと思い出せると感じませんか?」。まさにこのことこそ、感情は味わい尽くすと消え、抵抗すると残るの原理が働いているからなのです。
例えば、遊園地に行ってジェットコースターに乗ったとしましょう。ジェットコースターが好きな人は、乗って「キャー!」と叫び、乗り終えたら「あー楽しかった!」と満足して終わります。ジェットコースターを味わい尽くして楽しみ尽くすので、感情が後に残りません。このように人は、楽しいことを体験するのに抵抗したりしないのです。

一方でジェットコースターが苦手な人は、乗る前から「嫌だな〜、怖いな…」と思い、なるべく恐怖を体験しないように目を閉じたり、安全バーを強く握ったりすることで、ジェットコースターを抵抗しながら体験します。すると味わいきれなかった恐怖の感情が残ります。だから乗り終わった後も、「あー怖かった。まだ足がガクガクする。もう2度と乗らない…」と恐怖が残り、結果、強いネガティブな感情も記憶に残ります。
しかも心理学では、ネガティブな情報や感情のほうが記憶に残りやすいと言われています。嫌な思いを今度も避けて安全を確保したいという欲求が、人間にはあるからです。いわば防御反応のようなものなのです。
暗いのが怖いからと抵抗しても、暗闇が明るくなることは絶対にない
自分が抵抗する感情というのは、さらにタチが悪いことに、自分の中でますます力を増し、我々に強く影響を及ぼします。
例えば、自分が抑え込みたい嫌な感情を、泣いている子供だとしましょう。そんな子供を泣いているのがうるさいからと、押し入れに閉じ込めたら、その子はさらに大声で泣き出しますよね? 自分が無きものにしようと思っている感情も同様に、より大きな声であなたの中で泣きだし、あなたにこの感情に気づいてほしいと、さまざまなトラブルを巻き起こします。
例えば、孤独を感じたくないと思ったらどうなるでしょうか? 孤独を避けるため、仕事に没頭する、酒に酔う、大して好きでもない人たちの集まりに出て時間を潰す、こんなことをする人も多いのではないでしょうか?
でもこれって、孤独を覆い隠そうとしているだけで、孤独に正面から向き合っていません。ですから孤独は依然として残り続けていて、あなたが一人になるたびに襲いかかってきます。
例えば、山奥で道に迷い、夜になったとしましょう。その夜の暗闇が怖くて、懐中電灯をつけたり歌ったりしても、夜の闇は決してなくなることはありません。気を紛らわしてるだけにすぎません。

だから、私たちが「恐怖」や「孤独」などネガティブな感情を抱いたら、まずは一歩ひいて傍観者となり、感情に同化しないことが大切です。
そして、「そうだよね。怖いよね」「そうだよね。寂しいよね」とその感情に向き合い、受け入れることが大切。泣いている子供をなだめるとの同じです。感情の相手をするわけです。
だからマインドフルネスで、その状態・その感情に気づくことが重要なのです。傍観者として感情を観察できれば、感情に飲み込まれることがありません。湧きあがった感情を無理に消そうとしないので、変な抵抗もなく感情を味わうことができます。そして、味わい尽くした感情は消えていきます。
まずは1日に少しの時間でもいいので、マインドフルネスを取り入れることをお勧めします。
次回は実例として、私のマインドフルネス体験をご紹介します。

著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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