相手を考えているのにうまくいかない…。それ、自分の内面が整っていないからです

[ 気遣いこそ現代最強のサバイバル術である ]

「ドヤ!俺様ゾーン」は、なぜ気遣いができないのか

気遣いは、相手の気分がよくならないと元も子もないというお話を、前回はしました。
https://digi-den.net/fujimoto-rieko/category-psychology/2022/11/04/12716/
でも、自分の内側を整えないとできないのが真の気遣い。
「気遣いって、なんだか面倒くさいなあ…」と思わず、ぜひ今回の記事を読んでください! 自分の内側を効率よく整える方法を、お教えしますので。

例えばAさんが、「あいつはアホだ」「あの人は本当に仕事ができん」と陰で他者を批判したとしましょう。これは「ドヤ!俺様ゾーン」の人に多いパターンです。

この行為は、心理学では「仮想的有能感」といいます。自分が成功体験を積むことではなく、他者を批判・軽視して引き下げることにより、自分の優位性を感じるという行為です。

人間関係に常に上下関係を持ち込むので、相手を気遣うことができないのです。その結果、周囲はYESマンしか存在しません。そのYESマンでさえも、自分に少しでも逆らおうものならすぐに切り捨てる冷酷さを備えているのも、このゾーンの人の特徴です。

他の例も挙げましょう。実際に私が目撃したシーンになります。
ある喫茶店の店員さんがトイレ掃除をしていました。お客さんがトイレに入りたそうにドアの前に立っていると、その店員さんは戸棚なども開けっぱなしで、黙ってトイレから出てきました。そして、同じアルバイト店員に「『使っていいですか?』とか言って欲しいんだけど」と愚痴っていました。

私は、お金を払っているのはお客さまなので、「すいません、どうぞお使いください」と店員さんのほうがお声がけするのが普通ではないかと見ていて感じました。そして、私のように他のお客さんも見ている可能性があるのに、トイレに入ったお客様の愚痴を店内で話すのも気遣いがないと感じました。
これも、いつでも自分中心に考えているからこその結果で、気遣いができないのだと感じました。

いつも自分を優先してほしい、大切にしてほしいと自分ばかりに目を向ける習慣があっては、相手を気遣うことができないのです。

こんな、「ドヤ!俺様ゾーン」の人が心を整えて、気遣いができるようになるためには、常に相手が間違っていると決めつけて、自分を正当化するのをやめることです。
「自分も配慮が足りなったかな?」と一旦、自分を顧みる習慣をもちましょう。

また、仮装有能感、つまり、相手を批判し、引き下げて、自分が優位に立ったように見せるのではなく、筋トレでも資格取得でもなんでもいいので、自分で計画した目標を自分でクリアして、真の成功体験を積みましょう。そうすれば、「やればできる」と本当に自分に自信がつき、誰かを引き下げる必要がなくなります。

拒絶を恐れる人が、絶対に知っておくべきこと

自分の内側を整えられないがゆえに気遣いがちゃんとできないのは、「ドヤ!俺様ゾーン」以外の人にも残念ながら当てはまってしまいます。

「クタクタ空回りゾーン」の人や、「げっそり恨み節ゾーン」の人は、自分に自信が持てず、相手から拒絶されるのを恐れます。拒絶恐怖があると、コミュニケーションをとる時に、相手に気を遣いすぎたり、積極的に関わることができなくなってしまいます。

最近の心理学の研究では、拒絶恐怖が強い人のほうがトラブルに巻き込まれやすいという結果が出ています。拒絶を避けるため、自己防衛の姿勢をとり、自分にばかり心の矢印を向け、周りの人を慮(おもんぱか)る余裕がなくなり、客観的に考える視点を失うからです。

相手に心の矢印を向けることができなければ、対人関係のトラブルが起こった時に、客観的に相手の立場なども考えて解決策を出すことができません。

人は誰もが、よかれと思って行なった気遣いが、拒絶されることもあります。でもここで覚えておいてほしいのは、たとえ拒絶されたとしてもあなたの価値は何一つ変わらないということ。相手の要望と合わなかっただけです。

では、「クタクタ空回りゾーン」の人や「げっそり恨み節ゾーン」の人が拒絶恐怖を克服するためには、どのように心を整えればいいのでしょうか。

世界中の著名人によるプレゼンテーションを配信しているTED(Technology Entertainment Design)で、ジャ・ジャンさんの「100日間拒絶チャレンジで学んだこと」では、拒絶されることへの免疫力をあげるためのチャレンジについてお話されました。
彼はビルの警備員に借金を申し込む、他人の庭に球根を埋めさせてほしいと頼むなど、断られるためのチャレンジをします。

実際にやってみると、自分の頭の中で想像しているような、相手からのひどい暴言や拒絶はなく、多くの人から「なぜ、そうしたいの?」と聞かれたにすぎませんでした。

そして、彼は気づきます。世界を変えるような人は皆、拒絶に遭っていると。キング牧師、ガンジー、ネルソン・マンデラなどの偉人たちは、拒絶によって自分を見限ることはなく、拒絶後も行動を起こし、自分の枠を広げ、望みを叶えていたと知るのです。

一方で、良かれと思って行なった気遣いも、拒絶されることもあります。

あなたに足りないのは、拒絶される免疫です。だから断られるかもしれないけれど、電車で席を譲る、友人にお願いごとをしてみるなど、小さなチャレンジをしてみましょう。
きっと、あなたの頭の中で考えているほど恐ろしいことは起きません。ぐるぐる頭で考えていて、無駄に恐怖心を煽(あお)っている状態なので、まずは小さな行動をとることで、恐怖心から解放されて心が整います。

なぜ内面を整えることが成功につながるのか

生きていくために細菌を全て殺すことができないと考えて、合わない相手に対しても免疫をつけて上手く共存することが大切です。

拒絶される免疫力が高ければ、恐れず相手を気遣うことができるのです。免疫力は、内面を整えることで身に付きます。

幼児期は友達のおもちゃを取り上げて、喧嘩になることがあります。まだ幼く、自分のことしか考えられないからです。

青年期になれば、友達に配慮することを覚えます。しかし、勉強やスポーツなど自分を成長させることに力を入れている時期ですから、まだ周囲にまで目を配る余裕は十分に備わらないことが多いです。

成熟して親になると、自分のことは傍に置いて、子供の面倒を見ます。これは自分が成長し内面も成熟したから、自分より相手を大切にできる状態になったからです。

さらにいえば、相手が自分の子供でなくても、このような行為はできます。自分の内面を整えさえすれば、相手が子どもでも大人でも関係ありません。

では、内面を整えた上で実際にどんな気遣いをするといいのか、次回はそこを掘り下げていきます。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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