みんなが一年で最も焦る「師走」を上手に乗り切る方法、教えます。

[ 気遣いこそ現代最強のサバイバル術である ]

12月を「師走」や「年の瀬」と呼ぶ理由

師走ですね。
「師走」の由来は、お坊さんが東西に忙しく走り回ることからとされています。「師(=お坊さんという説がある)が馳せる(走る)」から「しはす」になり、「師走(しわす)」に落ち着いたようです。昔はこの時期に、お坊さんを招いて読経などの仏事を行うご家庭が多かったことから、お坊さんは多忙を極めたのだそうです。

また年末は「年の瀬」ともいわれます。「瀬」とは河川の中で流れの急な所を意味し、一年の終わりが差し迫った慌ただしさ(急な流れ)の意味があり、12月の終盤を指します。


実はこの年末である「師走」「年の瀬」の時期が、一番交通事故が増えることをご存知ですか?
夕方すぐに暗くなるため、歩行者の発見が遅れたり、気忙しく焦るあまり安全運転ができなくなったりすることから、事故が増えるといわれています。

心理学的には、交流分析でいうところの「急げ」のドライバーを持っている人が、焦りやすくなります。さらには師走だけでなく、常に落ち着きが持てるような工夫も必要です。

拙書『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版)の中でも紹介した交流分析の5つのドライバーの中から、「急げ」のドライバーについてご紹介します。

5つのドライバーは、次の通りです。
・完璧であれ
・一生懸命やれ
・他人を喜ばせろ
・急げ
・強くあれ

今回は、これらの中でも「急げ」を扱います。

ところで多くの方が「ドライバー」という言葉を知らないと思いますので、ご説明しておきます(「運転手」や「ネジを締める工具」のドライバーとは違います)。
「ドライバー」とは交流分析で使われる用語で、「自分を駆り立てる心の声」のこと。

幼い頃、親からの関心がほしい子供が、親から言われ続けた言葉に従っていれば、親が自分を認めてくれると信じて頑張るというのは、よくあることでしょう。この時の親からの言葉こそ、ドライバーとなることが多々あります。

例えば「急げのドライバー」とは、「自分を急ぐように駆り立てる声」となりますが、親の口から「急げ」という言葉がよく出ていれば、その親の言葉こそ、ドライバーとなるわけです。

子育て中によく使う言葉が、子供を一生焦らせる

「急げ」のドライバーについて、もう少し詳しくみていきます。「急げ」のドライバーは、私が最も駆り立てられたものでもあります。

幼い頃、母から「早く、早く」と言われて育った人も多いのではないでしょうか。「早く食べなさい!」「早く準備しなさい」「早く歩きなさい」「早く寝なさい!」といったふうに。

大人からすると、子供がやることは時間がかかるので、私たちは子供の頃、いつも急かされてばかりいます。

私も、母から
「あんたは、丑年で、何をやらせてものんびりして、遅い。早くしなさい」
とよく言われました。


幼い頃に「早くしなさい!」としつけられることで、なんでも早くやろうとしてしまいます。充分吟味することができず、ゆっくり落ち着いて取り組むことができなくなってしまうのが、この「急げ」のドライバーを持っている人の特徴です。

私も長い間「自分はノロマだから、早くしなきゃ」と思って、何事にも取り組んできました。出かける準備でも仕事でも「時間がない」と思ったり、急がなくてはならない場面にとても焦ったりしてきました。

そして、「急がなければならない」といつの間にか、母のようにイライラしている自分がいました。

「焦らない」ではなく「落ち着いて」が効果があるのはなぜか?

まず、「急がなくては!」と思うと、心臓がドキドキして、頭に血が上り、うまくできないのが人間です。だから急いでいる時ほど、他人にも自分にも「早く、早く」と言わないことがポイントです。

すると、多くの人は「焦らない、焦らない」と否定語で、自分を落ち着かそうとします。しかし脳は否定語を理解できないので、頭の中には過去に焦った経験をしている自分が浮かび、より焦ってしまうのです。

だから、最も簡単な焦らない方法は「落ち着いてやればいい」「ゆっくりやればいい」と、肯定語で自分に声をかけることです。

周りに気遣いができる人ほど、運転していても「後ろの車が迫ってくるからスピードを上げた方がいいかしら…」と思ったり、銀行で長い列ができていると「本当は、あと2件振り込みしたいけど、後ろで待ってる人がいるから、後にしようかな?」など、相手に気を遣って自分を焦らせてしまう人もいます。


しかし自分が焦ってしまえば、それが事故につながったり、さらなる自分へのプレッシャーになったりして、悪循環です。

自分自身が落ち着いていなければ、良いパフォーマンスが生み出せません。
だからまずは、「ゆっくり、落ち着いて」と安心できるセルフトークを心がけて、年の瀬をお過ごしください。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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