物語の主人公として、英雄になると言い聞かせる。

[ 仕事が辛い時の処方箋 ]

「愛される」より「尊敬される」を目指す

前回に続き、拙書『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の中から、仕事で心をラクにする考え方をご紹介します。

Aさんは、現場からマネジメントの仕事に昇進した際、上司から「マネジメントの仕事は、現場の仕事のようにお客様から直接感謝されることもない。嬉しくも、面白くもない仕事だ。だけど、自分が一番成長できる仕事だよ」と言われました。

Aさんの会社は中途採用の社員ばかりで、他社や他業界でバリバリ仕事をしてきて、誰かの指図は受けたくないから転職してきたという人ばかり。その人たちをマネジメントすることは至難の業です。社内ではマネジメント担当者は「猛獣使い」といわれていました。


当初、Aさんが部下に「会議室で少し話をしましょう」と声をかけると、「別に、ここで話せばいいじゃないですか!」と食ってかかられるありさまでした。そこでAさんは、「まずは、愛される人になるより、尊敬される人を目指そう」と決めました。

最初から部下に愛されようと思うと、注意すべきところでできなかったり、必要以上に部下に迎合してしまったりする可能性があるからです。

建設的な提案ができれば、どんな部下もあなたを尊敬するようになる

今は、叱れない上司も増えています。知人のマナー講師は研修を担当する際、「上司が叱れないから、代わりに厳しく叱ってほしい」と依頼されることがあると言います。しかし、上司が叱るべき時に叱らないと組織は乱れ、生産性も下がります。

例えば、新入社員に対しきつく当たり、何かとヒステリックにまくし立てるベテラン女性社員に対し、古くから業務を担当し彼女にしかわからない業務があるからと、困っている社員がいても、上司が見てみぬふりをしていたとしましょう。

当然離職率も高く、いい人材は定着しません。部下の評価を気にする人にとっては、かなり憂鬱な作業かもしれません。


しかし、感情を相手にぶつける怒りではなく、部下の立場も理解した上で叱る理由と改善策をセットにして伝えることができる上司は、部下から信頼されます。自分を成長させる機会をくれているとわかるからです。

Aさんはそのことがわかっていたので、まずは愛される上司ではなく、尊敬される上司を目指したのです。反抗的な部下と向き合うなど憂鬱な仕事から逃げるのではなく、それをやり抜くことで、部下も成長する機会を得て、上司であるAさん自身も成長しているのです。

なぜ『桃太郎』がいつの時代も読まれているのか?

NLP心理学では「ヒーローズジャーニー(英雄の冒険)」と言われる考え方があります。これは、世界中の神話の中にみる共通性でもあります。かいつまんでお伝えすると、次の通り。日本でいえば、桃太郎のお話がまさに英雄の冒険です。

  1. 最初は普通の人【桃太郎は、おじいさんとおばあさんのもとにやってくる】

2. 自分のミッション(使命)に気づき、旅に出る【鬼退治に行くと決める】

3. 自分を助けてくれる仲間と出会う【犬、キジ、猿などお供していれる仲間と出会う】

4. ミッション達成を阻(はば)む敵と出会う【鬼を退治する】

5. ミッションを達成し、故郷に帰る【故郷に帰り、鬼のいない平穏な生活を皆に提供】

このように、ヒーローはいつも、困難という敵に出会います。

物語は親から子に読み聞かせられています。なぜでしょうか?
それは、物語のヒーローが困難に出会うというのは、「誰の人生でも困難が訪れること。そして、それは必ず乗り越えられる」という普遍的な教えを伝えるためです。

多くの人は、上手くいかないことがあると、もうダメだと諦めてしまいます。
しかし、困難に出会うということは、あなたがまさに主人公として、英雄の冒険を生きている証拠であり、人生が自分の成長に向かって進んでいる証拠なのです。
だから、もう一歩でうまくいくことを信じ、時には憂鬱なことに立ち向かう勇気も必要なのです。いつも夜明け前が一番暗いのです。

困難に遭遇した時、あなたの英雄の冒険がそこからはじまることを忘れないでください。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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