「忘却」こそ、許せない相手への最強の復讐方法である。

[ 仕事が辛い時の処方箋 ]

社会人をしていると、「かったるいなあ」「面倒くさい!」くらいはいつだってありそうですが、「あー、明日から仕事行くの、本当に憂鬱になる…」となると、ちょっと考えたほうがいいかもしれません。

もう年が明けてしばらく経ってしまいましたが、正月明けにはよくあること。年末年始で生活リズムが乱れたり、楽しい行事がつづいて、いざ会社にいくとなると気分が落ち込む症状です。「お正月鬱」とも呼ぶことがあります。
同様に5月のGW後も起きがちですが、こちらは「五月病」と付いていて、さらに知られています。


会社に行きたくない一番の理由は、人間関係という人は多いのではないでしょうか。

今日は、拙書『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の中から、許せない相手がいる場合の最大の復讐についてお伝えします。

Aさんは以前、職場でパワハラ上司の部下になってしまいました。Aさんは、「やられっぱなしにはなるな!」と祖父に厳しく育てられたので、上司に高圧的に何か言われても、負けずに自分の意見を伝えていました。「あんなことを言われた。許せない……」と腹を立て、毎日のように上司と戦っていたのです。

Aさんはかなりのストレスを溜めていましたが、「ここで負けたら、今までの自分の努力が水の泡だ」「一矢(いっし)報いるまでは、負けるものか」と頑張っていました。しかし、とうとうストレスがたたり、体調を崩して職場を退職してしまいます。

「他人を押さえつけている限り、自分もそこから動くことはできない。」(ジョージ・ワシントン)

英国の植民地であったアメリカの独立革命を勝利に導き、初代大統領となったジョージ・ワシントン。元軍人でもあった彼は、「他人を押さえつけている限り、自分もそこから動くことはできない」と言っています。


ただでさえ、嫌な思いをした相手のことは忘れたくても忘れられないものです。嫌な感情と記憶が結びついてしまう原因は、脳で隣り合う海馬と扁桃体が関係しています。
海馬は記憶を司り、扁桃体は不安や恐怖などの感情を感じます。ストレスを受けると、海馬は働きが鈍くなり、記憶力が低下。現在と過去というタイムラインが曖昧になります。
一方、扁桃体は活性化し、強い過去の感情体験を、今現在経験しているように感じます。

その結果、嫌な思いをした記憶は、過去のものであっても、今、ありありと経験しているかのように感じやすいのです。
それなのに、相手を負かせてやろうと躍起になっていては、ストレスの元凶である相手と接点を持ち続け、嫌な記憶もさらに強化されるのです。

絡みついた楔(くさび)を断ち切る

ドイツの哲学者ニーチェは「怪物と戦うものは、自らも怪物にならないように心せよ。君が久しく深淵を見入る時、深淵もまた君を見入るのである」と言っています。


「会社で目を合わせずに挨拶する嫌な人がいて、自分も目を合わせないように挨拶するようにしていたら、会社以外でもその癖がでて、人間関係がうまくいかなくなった」
「新入社員時代嫌だと思っていた上司に、数年後自分が昇進し部下を持つようになると、そっくりになっていた」
なんていうのは、割とよくあることです。

人には、「観察学習」という習性があります。近くで見ているとその人の考え方や行動を、参考にしたくなくても自然に見て真似てしまうという現象です。

しかも、相手が意地悪をしてくる場合、「次はこのように攻撃してくるだろう。だから自分はこう防衛しなくては」と考えて繰り返している行為でも、自分も嫌なその相手に似てきてしいます。

自分が怪物にならないためには、嫌な相手とは距離を取ることです。嫌な相手に対する一番の復讐は、その相手のことを忘れて、幸せになることだからです。

嫌な相手を忘れる簡単な方法

記憶の研究者であるケンブリッジ大学の認知神経科学のMichael Anderson教授は、「動機性忘却」を実践することで、望ましくない記憶の影響を制限できると言っています。

その動機性忘却の1つに「思考置換」という方法があります。
例えば、嫌な相手や出来事を思い出しそうになったら、好きな人の顔とかペットとの思い出とか何かいい感情が蘇るような出来事を思い出すようにするのです。


いつも自分がいい気分でいることで、いいパフォーマンスが生まれます。
だから、楽しい気分で過ごせる工夫をして、嫌な相手に思考をハックされないことが重要です。

ぜひ、「忘却」という武器で、自分の心の中に平和を呼び込んでください!


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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