会話は掛け算。

[ 人生で最強の武器「聞き方」を極める。 ]

デキるビジネスパーソンは、メリットを最優先する

1つ前の記事「リアクション王が喜ばれるのは、お笑いの世界だけの話。」にて、自己中心のリアクションがその場を凍り付かせるということをお伝えしました。
それを受けて今回は、相手のメリットを一番に考えるというお話を拙書『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)より紹介します。

ビジネスでは、相手の“メリット”を考えて話が聞けるかということが重要です。

次の会話は、あるクリニックで患者さんが受付担当者から予約をとる場面での会話です。

NGパターン

受付「次回のご予約はいつになさいますか?」
患者「4月7日でお願いします。」
受付「4月7日はちょっと…。8日ではいかがですか?」
患者「4月7日は空いてないですか?」
受付「こちらとしては4月8日のほうが都合がいいのですが……」
患者「…。私は4月7日のほうが都合がいいので、7日でお願いします」

この会話で残念な点は、受付担当者が「こちらとしては4月8日のほうが都合がいいのですが……」と相手ではなく、自分の都合を優先させたことです。

患者さんからすると「それ、あなたの都合でしょ? 私のこと、全然大事にしていませんよね」と感じます。

もしここで、次のように答えていたらどうでしょうか?

OKパターン

受付「4月7日は混み合っていて、待ち時間が長くなるかもしれません。8日なら空(す)いているので、待ち時間が短くて済みますが、いかがですか?」

こう言えば、患者さんも4月8日にするメリットがわかるので、4月8日に予約を変更してくれたかもしれません。
もし予約変更しなかったとしても、自分を大切してくれたと感じるので嫌な思いはしなかったはずでしょう。

0×100=?

人は意識しないと、自分中心に考えがちです。常に相手に心の矢印を向けていなければ、自分のメリットを考え、自分目線の言葉選びや提案になってしまいます。

お客様は自己重要感(=自分は重要で価値ある存在であるという感覚)を満たしてくれた相手に好意を抱き、相手に貢献したいと感じるものです。

だから、お客様と良い関係を構築しようと思ったら、これは前回もお伝えしたことであり、ビジネスシーンに限ったことではありませんが、相手(ビジネスではお客様など)を大切に思う気持ちを伝える。ビジネスでは、お客様のメリットを伝えると、成功につながることが多くなります。

言葉がけは「かけ算」なのです。「伝えたいこと」だけにするのではなく、「メリット」が掛け算されることで、いっそうスムーズに相手に「伝えたいこと」も伝わるのです。
一方で、会話中にどんなにいい言葉をかけても、自分本位(=マイナス)の言葉や提案で終われば、相手のあなたへの評価もマイナスになってしまいます。

提案一つにしても、いつも自分目線ではなく、相手目線で話を聞いていなければ、自分中心の言葉選び、提案になるので注意が必要です。

ビジネスでも平素はお客様からの問い合わせを煩(わずら)わしく思い、適当に話を聞き、回答したり、自己中心的な対応しかしないのに、契約更新が近づいたときだけ、やたらと親切にして契約更新をしてもらおうとする人がいますが、お客様だってバカではありません。

ここでも、「言葉がけや会話はかけ算」の理論が働きます。
今までの会話やサービスが0なのに、最後だけ100を持ってきても、0×100=0なので結果は0です。


次回は、仕事で成果を上げている人たちはどんな聞き方をしているか、ご紹介しましょう。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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