大切なのは、「“何を”お願いするか」よりも「“どのように”お願いするか」

[ 人生で最強の武器「聞き方」を極める。 ]

トップセールスパーソン5人から学んだこと

先回の記事「会話は掛け算。」では、相手のメリットを一番に考えるということをお伝えしました。
今回は一流の聞き方について、拙書『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)より紹介します。

営業成績の良いセールスパーソンは高い傾聴能力があります。
これは、トップセールスパーソンが5名ほど集まった打ち合わせに参加した時のことです。
彼らは、私が話し出した瞬間にさっと私のほうに注目し、注意深く、相槌を打ち、頷きながら気持ちに寄り添って話を聞いてくれました。

そして、私が話していない本音まで、表情や声のトーンなどから察し、「あの流れでは、やりにくいですよね?」「修正してもらうようにお願いしましょうか?」などと声をかけてくれるのです。一流の人は言葉ではなく、感情を察するのがとても上手でした。

やがて、打ち合わせをしていた喫茶店から別の会場へ、みんなで移動することになります。私はたくさんの荷物を持参していたのですが、何も言わなくても、「お荷物、会場までお持ちします」とさっと持ってくれるのです。


「この気遣いがあるから、多くのお客様に支持されるのだな」と感じました。言葉にしても荷物を持つなどの行動にしても、「相手が今、何を考え、どうしたいのか?」ということに心の矢印を向けていなければ、できません。

そして、傾聴能力の高い先輩たちの背中を見て育つ若手社員の方もまた、自然に高い傾聴能力を身につけていくことができます。社内に見本となるような聞き上手がいるというのは、最高の人材育成です。

嘘はつかなくていい。でも本音を全部伝える必要もない

人は環境の動物です。どうしても近くにいる人の影響を受けざるをえません。
だから、社内に自分中心の不機嫌な人が充満しているより、相手目線で話を聞く人がいたほうが、上機嫌な人たちが増え、仕事も捗り、すべてがうまくいくのです。

私は以前、ある会計担当者に「書類をお持ちしたほうがいいですか?」と言うと、「書類の受け渡しなんて、郵送でいいです。会うなんて時間の無駄なんで」と言われたことがあります。


年末の忙しい時期だとは思いますが、この言い方はいただけません。「あなたに裂く時間はない。その価値にあなたは値しない」と言っているのと同じだからです。

なぜ、「お手数をおかけしてもいけませんので、郵送でかまいません」と言えなかったのでしょうか。
郵送でやり取りすることになるという結果に変わりはないのでしたら、どちらのほうがいいのかは明らかでしょう。

この一件があったので、全て郵送でやり取りするのだと思ったら、会計処理が終わると、何事もなかったかのように「書類一式、お渡ししますので、事務所に寄ってください」と言われて、驚きました。
もちろんその後、この事務所にお願いすることはありませんでした。

忙しい時ほど、相手を思いやる言葉が必要です。何かお願いした時に、「今、無理なんで、後で」という受け答えと、「今、立て込んでいるので、後で回答させていただいてもよろしいでしょうか?」では、相手に与える印象がまるで違います。

傾聴で相手の気持ちを汲む訓練をすると、受け答えも相手を不快にしない表現を選ぶようになります。受け答えと聞くことはセットだからです。

聞き方を鍛えることは、相手への思いやりを鍛えることでもあるのです。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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