
「聞き方のあいうえお」
[ 人生で最強の武器「聞き方」を極める。 ]
どんな相手でも成功しやすい「聞き方」の超基本
1つ前の記事”大切なのは、「“何を”お願いするか」よりも「“どのように”お願いするか」”では、伝え方の一流と三流の違いについて解説しました。
このベースにあるのも「聞き方」。それも自分より相手を思うという、相手ファーストのような聞き方が大事になってきます。
マネジメントの父と称されるピーター・ドラッカーは「多くの人は、自分は話し上手だから人間関係は得意だと思っている。でも、対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない」と言っています。
あのドラッカーが強調するくらいですから、聞く力は多くの人が想像する以上に絶大だと思っていいでしょう。
とはいっても、「相手によって歓迎される聞き方って変わるんじゃない? 察する力、それも生まれもっての才能がないと限界があるのでは?」という声が聞こえてきそうです。
おっしゃる通りですよね。
では、実際にどうやってやればいいのか?
今回も拙書『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)からになりますが、ヒントになることをお伝えできると思いますので、以下でご説明していきます。
「聞き方」には基本があり、それを押さえるだけでかなり上達します。
その聞く力の基本ですが、ある小学校では、人の話を聞くときの約束事を「聞き方のあいうえお」と名付けて教えています。
あ…相手の目を見て
い…いい(良い)姿勢で
う…頷(うなず)きながら
え…笑顔で
お…終わりまで聞く
それぞれの頭文字をとって「あいうえお」としています。

子供たちでもすぐわかる、素晴らしいまとめ方ですよね。
ただ、子供向けとあなどるなかれ、大人にとっても大切な聞き方ですし、多くの大人がこれができていません。
相手から情報を引き出したかったら、どんどん頷きなさい
「あ…相手の目を見て」は、「目は口ほどにモノを言う」といいますが、視線が合う回数が多いほど好感度が上がるという実験データもあるくらいです。
しかし、苦手な相手は無意識に目をそらせてしまうことがあるので注意が必要。
以前の職場で、下を向きながら誰にも目を合わせず「おはようございます」と挨拶する人がいましたが、これは声は出していますが、コミュニケーションがとれているとは言い難いでしょう。実際に社内の人からは、話しかけてもらいやすい雰囲気がつくれていませんでした。
二番目、「い」のいい(良い)姿勢では、腕組みや足組みをしないのはもちろんのこと、やや前傾で、正体(顔だけでなく、おへそを相手に向ける姿勢)をして話を聴くのが基本となります。ちゃんとした実績があるプロカウンセラーなら、必ずと言っていいほど実践しています。
「身を乗り出して聞く」という表現がありますが、人は何かに強い興味を持つと、自然と前傾姿勢になるものです。
ですから相手に心を開いて話をしてもらおうと思ったら、まずはこちらが傾聴できる、いい(良い)姿勢を整えておくことが大切です。
三番目、「う」の「頷きながら」ですが、講師の中には、「私は参加者のみなさんが頷いて熱心に聞いてくれると調子が上がって、普段しゃべらないお得な情報まで、サービスで話してしまいます。だから是非、頷いて参加してください!」という人もいるくらいです。
このように相手にたくさん話してほしい場合は、「うなずき効果」が有効となります。これこそ誰でも簡単にできることなので、ぜひ実践してみてください。
次に、四番目の「え」の笑顔。
初対面の時、挨拶する時、誰かと目が会う時、笑顔の人は、「あなたに心を開いていますよ」と相手に心の中を見せています。すると相手も声をかけやすくなります。
「面白いことを言わないと笑わないぞ」という人がいますが、これはお店でいえば、「お客さんがきたら、入口のシャッターを下ろします」と言っているのと同じです。すると当然ですが、お客様はお店が閉まっていると思って帰ってしまいます。
同様に話しかけやすい人というのは、特に楽しいことや面白いことがなくても笑顔なのです。

仕事が速い上司ほど聞き下手?
五番目の「お」の「終わりまで聞く」は人の話を遮らないことです。
上司に多いのですが、部下の話の途中で急に早口になり、「要は、こういうことですよね? 他のプランに変更してもらってもいいですか?」とイライラしたように相手の話を遮る人がいませんか?
これは、「そんなこと、長々と話さなくてもわかるよ。こういうことでしょ?」と言いたげなので、部下は「仕事ができない奴だなぁ」と言われたように感じ、仕事へのモチベーションが下がります。
頭の回転が速く、部下の話を先読みし、さっさと結論を言わないことにイライラしてしまう人は注意が必要です。
人は思考の速度が会話のテンポに現れます。テンポが速い人の方は、遅い人にイライラします。これは、テンポがずれているディスペーシング(反同調行動)が起こっているから不快なのです。

しかし、本当に部下に良いパフォーマンスを発揮してもらおうと思ったら、自分が部下のペースに合わせ、最後まで話を聞くことで、部下の自己重要感(=自分は大切な存在だという感覚)を育てていくことが大切です。
部下にプレッシャーをかけて能力を発揮できなくするのではなく、部下のパフォーマンスを上げるように話を聞いたほうが、結局は、上司自身の仕事の負担を減らし、社内の評価も上がるのです。
優秀な上司がどんどん進行させたほうが成果は出る、というのもごもっともです。しかしそんなことばかりしていたら、部下はなかなか育ちません。
最も大事なのはチーム全体で成果を出すこと。となれば、部下がどんどん育つことはないがしろにできないのです。
以上から仕事ができる人もやっぱり、聞き上手となります。
聞き上手になりたい方は、まずは「聞き方のあいうえお」を意識してみてください!
基本中の基本ですが、誰でもすぐにできて効果が高いエッセンスがぎゅっと詰まっていますから。

著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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