
「本音まで最短距離で到達する」も『質問』の持つ代表的な武器
[ 「質問」は単なる「問いかけ」でなく「必殺技」である。 ]
範囲を広げたり狭めたりしていくのがコツ
前回の記事「質問上手は、2種類の質問を長所・短所を踏まえて使いこなす」にて、拙著『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)を参考に、質問の種類についてお伝えしました。
今回は、大きく2種類に分類できる質問「オープンクエッション」と「クローズクエッション」を、私が実際にどのように使っているかについてお伝えします。
オープンクエッションとクローズクエッションを、相手の考えの深まりに合わせ、回答の範囲を狭めたり広げたりしながら質問すると、短時間で本音にたどり着くことができます。
私がキャリアカウンセリングをする際、就活生に「学生時代に頑張ったことは?」とオープンクエッションで質問した際に、普段から意識を高く持ち物事に取り組んでいる学生は「3年間続けているアルバイト先の飲食店で、常連様の名前やいつも注文するものを覚えて、自分から声をかけるようにしています」など、自分が創意工夫している点を話してくれます。
この場合は、「なせ、そうしようと思ったの?」などオープンクエッション質問を重ねることで、どんどん本人の長所や行動がより明確になっていきます。
しかし、自己洞察ができているこのような学生にクローズクエッションで質問していくと、自由な発言ができず、制限を作ってしまいます。
クローズクエッションで慣らし運転をする
一方、自己洞察する習慣のない学生に最初からオープンクエッションをすると、「頑張ったことなんて特にありません…」と、話を終わらせてしまう場合があります。
それだと困るので、「アルバイトはしてる?」「サークルには入っている?」など「ハイ」か「イイエ」で簡単に答えることができるクローズクエッションをします。
そして、「じゃぁ、アルバイトに行ったらまず何をするの? 1日の仕事の流れは?」などと場面を特定したオープンクエッションをして、自分がどんなふうに普段仕事をしているか思い出してもらいます。
こうして「慣らし運転」「準備体操」というか「土台作り」をした後でいよいよ、「その時、気をつけていることは?」など意識している点などを聞いていきます。この段階でようやくオープンクエッションをぶつけるわけです。

すると、普段自分がしていることを思い出しながら答えてくれます。というのは、質問された相手がアルバイトやサークルで頑張っているシーンを頭の中で具体的に描けている状態になっているので、回答が自由形式のオープンクエッションでも、迷子にならずに答えやすくなるからです。
相手が悪いのではなく質問の仕方が悪いだけ
しかし、キャリアカウンセリングを始めたばかりのカウンセラーの場合、一番はじめに「アルバイトする際に、どんなことを意識して働いてるの?」と聞いたりします。
けれども、普段から自分の行動を分析していない学生にとって、急に自分の考えを聞かれても答えられないものです。そして、心理的負担も大きくなるため、時間だけ掛かって、何もエピソードが出てこないという結果で終わってしまいます。
どんな人でも普段の行動は大抵覚えているので、まずそれをイメージしてもらい、そのあとになぜ、その行動をとったのかという考えを聞いた方が答えやすいのです。行動には必ずそうしようと思った意図があるからです。
「意図(なぜ、やろうと思ったのか?)→行動(何をどのようにやって、どんな工夫をしたのか?)→感じたこと(行動してみて、どう感じたか?)」という順番ですが、行動を思い出すことで、記憶が思い起こされる場合が多いものです。
ビジネスでも「最近、猛暑ですね。現場の従業員様の熱中症対策はされていますか?」とクローズクエッションでまずは聞き、「はい」と回答されれば、「具体的にどんな対策をされていますでしょうか?」とオープンクエッションで聞くなど、それぞれの回答の範囲を調節しながら質問をすることで、相手が答えやすい状態をつくり、相手の本音に最短距離で到達する工夫が必要です。

今回は、相手への質問で回答の範囲を調節することで、相手が答えやすくなることをお伝えしました。次回は、「意見言葉」を「事実言葉」に翻訳する方法についてお伝えします。「意見言葉」も「事実言葉」も初めて聞く単語かもしれませんが、その解説もしながら、質問を武器にする方法をお伝えしますね。

著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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