
正確な状況を相手に教えてあげる質問 ~「意見言葉」を「真実言葉」に変える
[ 「質問」は単なる「問いかけ」でなく「必殺技」である。 ]
人間は真実よりも意見をたくさん述べる生き物
1週間前にアップした記事“「本音まで最短距離で到達する」も『質問』の持つ代表的な武器”でも、拙著『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)を参考に、質問で話の展開を早める工夫について、お伝えしました。
急かもしれませんが、ここでクイズを出します。
次の訴えは、事実でしょうか? 意見でしょうか?
【例1】
部下が上司に「あのアルバイト、いつもサボっているし、何度注意しても反省の色無しなんです。辞めさせてください!」
【例2】
生徒が教師に「先生、みんなが私のことを嫌ってるんです…」
どちらも本人にとっては、事実であり、そう感じていることは間違いありません。
しかし、どちらも意見を述べています。人は事実ではなく、意見を述べる生き物なのです。

ここで、「事実言葉」と「意見言葉」というものをご紹介しつつ、このあたりを深堀していきましょう。
・事実言葉…“客観”的で、いつ、どこで、誰が見ても同じ表現ができるもの
・意見言葉…“主観”的で、見る人によって表現が異なるもの
例えばボールがあったとして、「このボールは大きい」という表現が意見言葉です。人によってそのボールを大きいと感じる人もいれば、小さいと感じる人もいるからです。
一方で、「このボールは10㎝です。(計測した結果に基づく)」というのは事実言葉。こちらは計測可能で、いつ、どこで、誰が測っても10㎝で同一の答えとなるからです。
コミュニケーションにおいて、いつ、どこで、誰に聞いても同じになることは、どれぐらいあるでしょうか? 恐らく、少ないのではないでしょうか。主観的な意見が多くなることは、なんとなくでもお分かりですね。
具体的にどれくらいなのかを聞いてみる
では、意見言葉を事実言葉に翻訳するには、どうすればいいのでしょうか?
おすすめは、NLP心理学のメタモデルの質問です。メタとはギリシャ語で「上に」「超えて」という意味。
この手法を使えば、人が思い込みという制限から抜け出し、選択肢を広げ、行動していくために、より具体的な情報収集をするための質問ができるようになります。
メタモデルには「一般化」「歪曲」「省略」があります。
今回はその中でも一般化に焦点を当てます。
「一般化」とは全ての例外や可能性を考慮せず、一部の出来事を全体だと考えることです。先ほど挙げた2つの例にあるような「いつも〇〇だ」「みんな〇〇だ」は一般化の代表的な表現です。
先の【例1】の訴えをあなたがされた場合は、次のように質問をしてみましょう。
「そのアルバイトの人が、“いつも”サボってるってことだけど。具体的に、いつ、どれぐらいの頻度でサボってるの?」
こんなふうに具体化することで、正確な情報を集め、事実に辿りつくようにします。
【例2】の場合は、「みんなって誰?」と質問します。
すると仲の悪い人は2、3人で、ほとんどのクラスメートとは何の問題もなく付き合っているという事実がわかることも多いのです。
すると悩んでいる本人も、
【例1】なら、「ちょっと数えたら、あいつ、そんなにサボってないかも」
【例2】なら、「全員に嫌われているわけじゃない。あの子とあの子とあの子とは、間違いなく仲は良いかも」
などと気づくこともあるでしょう。
正確な情報がとれたところで、こちらから決めつけない
ここで大切なのは、相手の意見を疑って、いきなり事実を突きつけるのではなく、「金曜日の夕方はよくサボってるんだ」とか「2人から嫌われていると感じるんだね」など、意見の中に含まれている気持ちをしっかり汲んでいくのが先決。
そうすることで相手も受け入れられたと感じ、自己洞察を冷静に深めていくことができます。

今回は、冷静な判断ができていない相手の視野を広げるために、「意見言葉」を「事実言葉」に翻訳する方法についてお伝えしました。
次回は、漠然とした不安を解消する質問についてお伝えします!

著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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