質問することは、答えを与えるよりはるかに有効な方法である

[ 「質問」は単なる「問いかけ」でなく「必殺技」である。 ]

他人に言われたことより、自分で出した答えに、人間は従う

前回の記事「過去よりも未来を見据えた質問ができる人は、うまくいきやすい」では、拙著『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)を参考資料として、「解決志向未来型の質問」についてお伝えしました。
今回は「指示を与えるのではなく質問する」をテーマに展開していきます。

次の2つの言葉を聞いて、あなたはどう感じますか?

A「私、人前で話をするのが得意なんです。」
B「私、昔は人前で話すのが苦手だったんです。」

Aのように言われると、本当かどうか確認したい気持ちになりませんか?

一方Bは「この人話すのが上手なんだ」と素直に思えませんか?
本人は話すのが上手と一言も言っていませんが、相手は「昔は話すのが苦手ってことは、今は得意なんだ!」と思うのではないでしょうか?


「今はどうなのかわからない部分=空白」を、聞き手が勝手に埋めたのです。
人間は他人に言われたことではなく、自分で出した答えに納得し、行動します。

コーチングでは、クライアントが目標達成するためのサポートをします。
コーチが「やせるために、毎日腹筋を30回やりましょう」と指示を出すのではなく、クライアントに「やせるために、何かできることはありますか?」と質問し、クライアント自身が「う〜ん。毎日30回くらいなら腹筋ができそうなので、やります」と自ら考え、答えを出せるように働きかけます。

人から与えられたものではなく、自分で出した答えだからこそ、自発的に行動し目標を達成しようと思えるのです。

質問によって、やるもやらないも「あなた次第」にできる

上司が部下に、あるいは親が子供に一方的に答えを与え、行動を指示していたら、きっとやらされ感がいっぱいになり、やる気が起きないでしょう。

さらに、相手は自分で考えようとせず、依存的で指示待ちの人間になる可能性もあります。相手自らが「自分で選択した」と感じなければ、やる気も自主性も育たないいのです。

私も経験があるのですが、以前勤めていた会社で「〇〇をやってください!」と常に命令系でヒステリックに話す人がいました。これは、何事も自分の思い通りに進めたいというコントロール欲求の強い人がやりがちな言葉がけ。強く、命令形で言えば相手が従うと思っているのです。

しかし、このような「親が小さな子供をコントロールするときに用いるやり方」は、大人同士のコミュニケーションでは通用しません。今は「ハラスメントだ!」と言われかねません。

それよりも「〇〇お願いしてもいいですか?」と質問系で相手に依頼した方が有効です。質問されるということは、断るも引き受けるも選択権が依頼された側にあります。

選択権があるということは、自由があるということで、指示命令されたときのような「コントロールされている」という「やらされ感」がなくなるのです。

だからソクラテスも「質問することは、答えを与えるよりはるかに有効な方法である」と言ったのです。


今回は8回にわたるシリーズで、質問の仕方についてお伝えしてきました。
ぜひ、相手の力を引き出し、良い関係を構築できる質問力をつけて、あなたも感じのいい人になってください!


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。

資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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