世の中は「恥をかかすことができる材料」で満ち溢れている

[ 最も付き合いにくい「恥」という感情を味方につける方法 ]

失敗や規律に反すること以外でも、恥をかかせることができる

先回の記事「取扱超注意の「恥」。しかしこれも、必要不可欠な感情。」では、恥は集団の規律を維持し、相手の行動をコントロールするのに役に立つという話をしました。

あなたも子供の頃、「恥ずかしいからやめなさい」と言われ、行動を規制された経験は一度や二度ではなかったはずです。

また、相手が何か失敗してしまったり、規律を乱すことがなかったりしても、恥をかかせることは簡単です。

「ちょっと、成績がいいからといい気になるな」
「チヤホヤされて、調子に乗るなよ」
などと、上がり調子の人を捕まえて言い放てば、恥をかかせることができます。

相手や相手の行動を鼻で笑う、揚げ足をとる、無視する、馬鹿にすることで、相手の気分を一気に悪くすることもできます。


これらの行為は海外ではシェイミングと呼ばれ、
「だらしがないから、そんなに太っているだ」
「不細工だから恋人ができないんだ」
など公の場で相手に恥をかかせることで、自尊心を傷つけることができるのです。

虐待、認めないなどで、存在そのものを恥だと思わせることが可能

性犯罪の被害者に対し、
「お前にも落ち度があった」
「その服装は相手を誘っている」
などの心無い言葉を投げかけることで、被害者が
「私が悪かった。私は汚れてしまった」
と自分を責め、なかなか立ち直れないという“二次被害”も、恥を通じて発生するのです。

だから性犯罪の被害者には、あなたが悪いのではない、あなたの価値は少しも損なわれていないと繰り返し伝えることが大切だとされています。


虐待をされている子供も、親に「お前が悪い。だから私が叩くんだ」と言われると「自分が悪い子だから殴られるんだ」と思い込んでしまうことも多いのです。そして殴られる行為を自分の恥だと感じ、黙って口をつぐんでしまうのです。

子供への虐待は、自分を守ってくれるはずの存在である親から否定され、大切にしてもらえない行為。

・自分には価値がない
・自分は必要とされていない
・私は欠陥品だ
・私は誰にも愛されない
など、自分の存在そのものにかかわる恥「中核的な恥(コア・シェイム)」を生み出します。

虐待だけでなく、
「本当は、女の子じゃなくて、男の子が欲しかった」
「子供がいなければ、私はお父さんと離婚していた」
というような言葉を言われて育っても、恥を抱くことがあります。

また、「これ見て!」「こんなふうにできたよ!」など子供が親の承認を得るためにやった行動や言葉を、親が忙しかったり、ストレスが溜まっていたりして、無視、否定、迷惑がるなどし、それが何度も続くと、自分には価値がないと子供は思うようになります。

これは、親が悪いというのではなく、その親自身も「中核的な恥(コア・シェイム)」を抱くような環境で育ってきた可能性が高く、無意識に代々受け継がれている場合が多いのです。

自分が差別されていると勝手に思ってしまうこともある

子供が、まるで自分自身が「恥」である、自分の本質は「間違っている」と感じて生きることは、その後の人生、仕事や人間関係、家庭生活などあらゆる場面で生きづらさを感じることにつながっていきます。

また、「こうでなくてはならない」という価値観の決めつけ、差別などを体験することで、「自分は他の人より劣る、間違っている」という「中核的な恥(コア・シェイム)」を抱くことがあります。

私たちは、家族、教育、メディアなどからどんどん社会的な価値観が流れ込んでくる環境にいます。

だから、「自分は外部と違うからダメだ」という、みにくいアヒルの子状態は、どんな人にでも起きる可能性があるのです。


次回は「恥」と「罪悪感」の違いについてお伝えします。


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資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら

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