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【10月前半の運勢】水星逆行を味方につける方法

[ 星を紐解くストーリーテラー ]

9月27日から本格的に逆行しはじめた「水星」について、今回はお話ししましょう。
ここ数年、やたらと話題になる水星逆行ですが、実際には、水星に限らず、太陽と月を除いた占星術で用いる主要な天体(金星、火星、木星、土星、海王星、冥王星)は、すべて逆行します。

これは、星によって「どれくらいの期間で太陽を一周するのか」を表す公転周期が異なるためで、実際に逆向きに動くわけではなく、あくまで「地球からそう見える」という目の錯覚です。水星の場合は約88日、約3カ月で太陽を一周します。その途中に、外側を約365日かけて一周する地球と、軌道が重なる期間が年に3〜4回あり、これを地球上から観測したとき、あたかも逆向きに動いているように見える、というわけです。

(画像下が実際の軌道、画像上が地球上から観測したときの軌道です。)

今でこそ天文学では「見かけの逆行運動」という惑星の運行現象のひとつとして認識されていますが、古代においては、地球が宇宙の中心であるとする天動説を信じる天文学者たちを悩ませ、「彷徨うもの」を意味するギリシア語”planetes” になぞらえて、逆行する星々はやがて”planet(惑星)”と呼ばれるようになりました。江戸時代の日本では「游星」や「行星」と呼ばれており、「ひとつのところにとどまらぬ奇妙な星」という認識は万国共通だったようです。

占星術に話を戻すと、水星が逆行している期間は、本来、水星が意味する分野で普段とは違う流れや出来事が起こりやすいと云われています。時には「屈折して強調される」と解釈する場合もあり、私は必要に応じてこちらの解釈を取り入れることもあります。
水星は、考え方、情報、伝達、コミュニケーション、学習、ビジネスなどを司ります。代表的な水星逆行あるあるとしては、

・言いたいことが上手く伝わりにくい、誤解が生じやすい
・交通機関の遅延や、待ち合わせの時間がずれる
・ケアレスミスが多くなる
・組んでいた予定が乱れる
・電子機器類の不具合や故障が増える

などがあり、以前「流れぬ風はただの空気」のタイトルで寄稿した6月の記事に詳しく書いてありますのでご参照ください(文末*1)。今回は、水星逆行にもれなくついてくる概念である「シャドウ期間」について触れていきますが、けっこうなボリュームになりますので、まず先に気になる10月前半の運勢「かがすこーぷ」からいってみましょう。

2021/09/28〜2021/10/11の運勢

かがすこーぷでは、「半月ごとの基本的な運気」を解説しています。
あなたが生まれたときの星座がなんであれ、私たちがいま生きている世界の星の配置は、日々、刻々と移り変わっています。
例えば、あなたが毎年迎えるお誕生日は、星占いの世界では、太陽が1年かけてぐるっと1周して、生まれたときの星座に戻ってくることを指します。
他の星も同じように巡っています。運気は常に、変動しているのです。

その流れを紐解くことで、運気を取り込み、日常を乗りこなしていきましょう。

この期間に目立つ配置は、

・9/30 水星と冥王星のスクエア(90°)、金星と海王星のトライン(120°)
・10/4 水星と木星のトライン
・10/6 太陽と火星のコンジャンクション(0°)
・10/10 水星と火星のコンジャンクション

奇しくも水星の結びつきが多かったので、重点的にピックアップしていきます。

9/30 水星と冥王星のスクエア、金星と海王星のトライン

水星が司る知性へ冥王星が極限を見せて刺激し、金星の渇望へ海王星が誘惑を仕掛けているような、理性と誘惑の真っ向勝負といった配置になっており、9月15日以降、ストイックな選択をした方にとっては、心を揺さぶられるきっかけがありそうです。天秤座の水星は逆行真っ最中で、そんななか冥王星の大いなる力によって知覚はいろいろな方向へ研ぎ澄まされてしまい、猜疑心がすぐそこで手ぐすねを引いているかのようです。

金星が受信する感覚は話がうますぎるように思えるし、かといって弱みを外に見せるのはなにかに負けた気がするし、と、八方美人を通り越して、神経過敏までいってしまいかねない組み合わせです。心も身体も力を抜いてリラックスできる環境を意識的に作ってみましょう。不確かなものを疑うより、大切なものをただ信じることで、心の聖域をガードできます。

10/4 水星と木星のトライン

膨らめば膨らむほど尖ってゆく水星の葛藤へ、木星が豊かな風を送り、広い視野を与えてくれます。なにが足りていなくて、なにがトゥーマッチなのか。判断力への影響を拭い去り、本来持っていた基準を一度取り戻してしまえば、目先のことで迷うことなく、自分がどうありたいかをしっかりと優先した選択ができるでしょう。
必要悪、偽善、フレネミー(友を装う敵)。人の心の在り方を表現する言葉は数多くありますが、ここ数日に及ぶであろう薄ぼんやりとした葛藤の最適解は、自分自身の内側でごくごくシンプルに、ぽつんと残るものにあるようです。

10/6 太陽と火星のコンジャンクション

自我を表す太陽と、意欲の象徴である火星がエナジーを共有する組み合わせです。水を得た魚のように、ともすれば、すこしせっかちなんじゃないかと思うくらい、自分自身を充実させるための実行力に恵まれるでしょう。
この強力な配置が暴走してしまうと、弱いものを支配したがったり、やたらと好戦的になるなど、自分の弱さを彩るための牙を剥きますが、ふたつの星は共に天秤座にあって、闇雲に動けばそれでいいわけではなく、なにもしないこともひとつの行動であることを弁えています。シリアスさとユーモアを交えた、絶妙な押し引きが光る日となるでしょう。

10/10 水星と火星のコンジャンクション

数あるアスペクトのなかでも、最も明確にそして強力に作用すると云われているコンジャンクションが、水星と火星でも起こります。軽妙なコミュニケーションや自己アピールの巧みさを示す配置ですが、口角泡を飛ばして解説していますとおり、水星は逆行ど真ん中。控えめに出たつもりが逆に浮いてしまったり、手段そのものに夢中になり肝心の目的を忘れてしまうなど、積極性が過剰になる側面が強調されやすくなります。

しかしこの日は、月が土星とややうっすらですがセクスタイル(60°)になるので、心のショックアブソーバーは機能してくれます。「あ、これ以上はだめかな」という感覚が、実際の言動と矛盾しにくくなるため、ちょっぴりギリギリなトピックも実験的にねじ込んでいけるし、こちらがされたとしてもすんなり対応できるでしょう。

この期間の動向

ザ・天秤座祭!といった様相で、主要な天体が天秤座に集合、木星と土星も天秤座と同じ風の星座である水瓶座にあり、おまけに水星は19日まで逆行します。情報の応酬、早いレスポンス、二転三転する意見、スキャンダラスな話題。良くも悪くも「風通しがすごい」期間となるでしょう。
前半はジメジメした雰囲気もあり、季節の変わり目のさみしい気分がイメージされますが、10日以降はふわりと肩の力を抜いて深呼吸ができそうです。

【シャドウ期間】水星逆行を味方につける方法

10月前半の流れがつかめたところで、「シャドウ期間」について把握していきましょう。見出しの通り、この期間をうまく使うことができれば、人生の様々な躓き、曖昧さ、自身の弱さなどを解決していくことができます。しかも1年に3, 4回、そのチャンスは巡ってくるのですから、使い方を知らずにおく手はありませんよね。
では、順を追って解説していきます。

水星逆行は、ある日を境にいきなりガクッと逆行し始めるわけではありません。逆行の様子を地球上から観測したとき、水星は普段とは変わった動きを見せます。逆行を開始する日に向けて徐々に動きが遅くなり、動きが止まったかのように見えるタイミングを経て、そこから反対方向へ徐々に加速するように動きます。順行になる日が近くなるとまた速度を緩め、留まってから、順行の軌道へゆっくりと進んでいくのです。シンプルに言ってしまえば、「減速、一時停止、加速があるよ」ということです。

本格的な逆行期間は約3週間ですが、シャドウ期間は、この前後に付随する予兆や余韻のようなもので、これらを含めると、水星逆行の影響は約58日続きます。

(地球上から見た水星逆行の軌道。逆行・順行の前後に水星の速度が変わっていることが分かります。)

これは加賀画伯による、地球上から見た水星逆行の軌道を簡略化した図なのですが、
本格的な逆行期間以外にも、水星の影響力が目立つシャドウ期間の動きを、色で分けてみました。

これをおおまかに挙げると、以下の5ステップに分けられます。

・9/6〜9/25 プレシャドウ(逆行開始前の減速)
・9/26 逆行前ステーション(順行から逆行へ切り替わる前の一時停止)
・9/27〜10/17 逆行(加速しつつ逆行し、順行が近づくと減速)
・10/18 順行前ステーション(逆行から順行へ切り替わる前の一時停止)
・10/20〜11/3 ポストシャドウ(加速しながら順行へ)

の部分はその直前の水星が止まっていた影響が残るので色分けをしてあります。加速・減速の期間でもあります。ここからは、この5つのステップについて説明していきます。

プレシャドウ期間(今回の水星逆行なら9月6日〜25日)

本格的な逆行で向き合うべきテーマの提示のような出来事が起きやすくなります。たとえば、「感情を表現する言葉がスッとでてこない」という体感があれば、コミュニケーションに関することなのかも、とぼんやり浮かんできますよね。
テーマの提示は水星が減速してくるほど強く作用する(23〜25日)ので、特に占いへ関心がない方でも「あれ?なんだか普段と空気違うかも」と思うのはだいたいこのあたりであることが多いです。

逆行前ステーション(26日)

逆行の軌道へ乗るためにギチギチと蓄電している、強力だけれども不安定な状態です。ときどき見かける「水星逆行は恐ろしい」という解釈は、このあたりだけをピックアップされてしまっているのかなと思います。
ここでは、プレシャドウ期間中に提示されてきたであろうテーマが確定されます。例に挙げたコミュニケーションに関する工夫や改善の必要性が「言った言わない問題」や「ダブルチェックが両方ミス」など、分かりやすく、ともすれば少々過激な形で現れやすい時期です。

水星逆行へ(9月27日〜10月1日)

水星は本格的に加速しつつ逆行(27日)へ。よく云われている「大切な契約や大きい買い物は禁物」という解釈に関しては、個人的には「遅かれ早かれ欲しいものは手に入れるんだから、日程が被ってしまったら仕方なくない?」というスタンスであまり気にしていません。しかし、見直しや修正が必要な流れに逆らうということでもあるので、多少、向かい風の運びになるという意味では、この時期を避けるのも頷けます。
あとあと冷静になったときに、「もっと好条件で契約できたかも」とか「もっとお安くゲットできたかも」と、結果オーライなんだけれども釈然としないというような、モヤっとしたイメージが浮かんでくるようです。

水星逆行中の速度安定期間(10月2日~14日)

速度が安定してきたら、テーマに取り組むために水星の力を享受できる期間(10月2日〜14日)となります。例題の「感情を表現する言葉がスッとでてこない」のは、なぜだろう? どうしたらよくなるだろう? と、具体的なアプローチを模索し実行に移してゆけるでしょう。意識が過去へクローズアップされて、疎遠だった人から連絡がきたり、懐かしい体験をすることも増えるでしょう。

とはいえ逆行中の空気感としては、まるで逆再生している音楽のように「絶対知っている曲のはずなのによく分からない」という、どこかもどかしいエナジーが充満します。「思い通りにならないことで回っている部分もある」という俯瞰の目を開眼できるよいタイミングでもあるので、通常運転の気分ですべてをコントロールしようとすると、かなり大きなストレスになりがちです。

水星逆行中の減速期間(10月15日〜17日)から、順行前ステーション(18日)

コントロールしようとしすぎたせいで、せっかく明確になったテーマが置き去りになってしまうのは非常にもったいないです。順行に向けて再び水星が減速してくるとき(15日〜17日)から順行前ステーション(18日)にかけての数日で、ある程度のやり過ごし方やテーマに関しての目処をつけておくことが大切です。そうしないと感情への処理が追いつかず爆発したり、自分を過去に縛る鎖がひとつ増えただけでした、という遣る瀬ない期間に終わってしまうことになるのです。

水星逆行終了(19日)から、ポストシャドウ(10月20日〜11月3日)

ホロスコープの表記上では19日には水星逆行は終了となり順行へ移るわけですが、いきなり順行モード全開ではなく、以前の記事「月の光は寄り添い、使いこなそう(文末*2)」で解説したポストシャドウというフェーズへ移ります(10月20日〜11月3日)。ヒトの力では絶対に起こせない大いなるゆらぎを抜けた余韻はまだ残っていて、水星は順行ながら、まだゆっくりと動いています。水星の力がダイレクトに出やすく、「うっかり本音が出てしまう」とか「張り切りすぎて周りと歩幅がずれる」といった「つい」が絡むイベントが起こりやすくなります。

肩慣らしくらいの気楽さで構えておくのがベターですが、その随所に、プレシャドウ期間中に提示されたテーマに関するデジャヴュがおさらいのように再現されます。

真正面から向き合った、遮二無二努力した、柳のごとくやり過ごした、ぐっと堪えて我慢した、普段通りでなんともなかった。表現やあり方はいろいろあって当然ですが、それよりなにより、「自分自身から目を逸らさなかった」人は、意外なところからヒントを見出したり、気持ちをスムースに切り替えられたり、ステップアップへの確実な手がかりを得る、問題解決の糸口を得るなど、多かれ少なかれ、なんらかの切っ掛け、あるいは答えを受け取ることができるでしょう。

まして今回は天秤座での逆行ですから、多面的に物事を捉える力が養われているはず。そのデジャヴュがラッキーな出来事であれ、予期せぬトラブルであれ、堂々と受け容れ、難なく対処してゆけるはずです。

(自分のことが)好きだよと言えずに初恋は

今回はごりごりの占星術解説をしてしまったので、最後はちょっぴりパーソナルな話題を。

みなさんは、初恋を大切にする派ですか? 忘れちゃった派ですか? それとも、なにかの戒めのために覚え続ける派ですか? 私はずばり後者です。恋愛のやりかたというか、恋愛に対して求めることや最終形の違いというか、それが両者で噛み合わないとき、あるいは、歩み寄れなかったとき、だんだん醒めて、最後には別れちゃいますよね。

私の初恋もそんな感じで、向こうは自分の強さを実感するために軟弱だった私を求めたし、私はそんな彼の侵食的な態度を愛情だと勘違いして、アクセサリーにすらしていました。貧しくて、そして儚くて、甘酸っぱい恋だったなと思います。そんな関係がいつまでも続く筈もなく、秋に別れるなんて絶対だめよ!と友人たちに釘を刺されていたのですが、見事に9月、破局を迎えたのでした。

現在、万全とはいえない体調のため、隔週で半月ごとの運勢をお届けしていますが、来週は感傷的な気持ちを呼び起こす「秋」に寄せて、少しだけ私の恋の話をしてみようかと思います。


儚く移ろう季節のなかで心に波が打つように、みなさんひとりひとりの運気も常に変化しています。ここではそんな運気の流れを、西洋占星術やタロットカードを用いて、毎週お知らせしていきます。私の言葉が、頭で分かるだけじゃなく肌で感じるなにかのヒントになりますように。

【参照ページ】
*1 「流れぬ風はただの空気」(https://digi-den.net/kaga-yusaku/hobby/2021/06/15/3177/)
*2 「月の光は寄り添い、使いこなそう」(https://digi-den.net/kaga-yusaku/hobby/2021/06/29/4030/)

前回の記事→強がりは【9月前半の運勢】我慢とワクワクは紙一重

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