FIREの再現性と目指すべきオーナーの姿 ~普段からできることを金額から見極めよ

[ 膨大な富裕層から学んだ、新人社員でもできる!意外に知らないお金の話 ]

目次
がむしゃらに貯金してもFIREは99%無理
FIREと一口にいっても、ざっと4種類もある
FIREするためには、こんなに副業や積み立てをしないといけない
期限を倍にするだけで、だいぶ難易度は下がるつみたて

がむしゃらに貯金してもFIREは99%無理

前回の記事では、「昨今のFIREブームに惑わされてしまうと、目の前の生活に悪影響が及ぶ可能性がある」という点について解説してきました。

解決策としては、「お金を手に入れること」そのものを目的にせず、「お金を手に入れて何をしたいのか?」を自分にしっかりと問いかける。そのうえで必要な金額をきっちり計算して、そこに向かって突き進む。

つまり、「自分の真の目的地(ゴール)を決めたうえで、最適な羅針盤を作って進路を決めましょう」というのが結論でした。

とはいえ、これだけだとあまりにも夢がないですし、「絶対にFIREしたい!」という方もいるかもしれません。

実際、選択肢はかなり限られてきますが、目指すオーナーの種類によっては本気で取り組めばFIREは達成可能です。絶対に手の届かない目標として諦める必要はありません。

一方で、ただやみくもにお金を貯めるだけで目指せる場所ではないのもまた事実。そこで今回は、FIREに必要な金額をパターンごとの数値に落とし込み、再現性を検証していきます。

FIREと一口にいっても、ざっと4種類もある

さっそく具体的な内容に入りたいところですが、まずFIREの前提を揃えていきましょう。近年のブームでFIREはどんどん枝分かれしていて、今ではこんなにたくさんの種類があります。

①Lean FIRE(リーン・ファイア)
最小限の元手で質素な生活をするスタイル

②Fat FIRE(ファット・ファイア)
莫大な元手で不自由のない生活を送るスタイル

③Side FIRE(サイド・ファイア)
元手が足りない部分を副業やパートで補って生活するスタイル 

④Coast FIRE (コースト・ファイア)
元手が足りない部分を好きな仕事で補って生活するスタイル

このように、働きながら生活するパターンも出てきていますが、オーソドックスなFIREの定義は次の状態といわれています。

資産所得 > 年間生活費

つまり、働かなくても生活が出来るだけの所得を資産から得ており、経済的に自立していることがFIREの条件です。

FIREするためには、こんなに副業や積み立てをしないといけない

今回は夢のあるパターンを見ていきたいので、①と②。つまり働かずに生活を送るFIREの場合で解説していきます。この場合、年間生活費の約25倍ほど資産があれば条件達成とされています。

かなりざっくりとした計算ですが、例えば「年間生活費が400万円なら、その25倍にあたる1億円を年利4%(税引後)で運用できれば働かなくてもいい!」といった考え方です。

以上の前提をもとに、10年以内にFIREを実現するために必要な金額を、毎月の生活費ごとに見ていきましょう。

結果は次のとおりです。

積立額を年利4%(税引後)で運用した場合

毎月の生活費年間の生活費必要な資産額毎月の必要積立額
10万円120万円3,000万円20万円
30万円360万円9,000万円65万円
100万円1,200万円3億円200万円

※『毎月の必要積立額』の求め方(計算方法)はかなり複雑なため、割愛します。金融庁のHPでシミュレーションできるので、興味のある方はご自身の目標額に合わせてカスタマイズしてみてください。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html

右列の「毎月の必要積立額」がだいぶ異常な数値になっていますね。
さらに、前回の記事で紹介したライフイベントごとの費用をもう一度見てみましょう。

【ライフイベントごとの費用】(日本FP協会調べ)
就職     10万円
結婚      469万円
出産        52万円
子育て  1,002万円
住宅資金 3,469万円

このどれかが上乗せされると、必要な金額はさらに上がってきます。

会社員で数十万円~数百万円を毎月コンスタントに積み立てられる人はなかなかいませんし、株式や仮想通貨の短期トレードなどで稼ぎ続けるのも困難です。

この場合には「ビジネスオーナー」になって入金力を一気に高めるか、「不動産オーナー」になってレバレッジで資産額を一気に増やす方法が選択肢として考えられます。

とはいえ、会社員×オーナーを目指す場合には使える時間がかなり限られているため、その点は考慮が必要です。

副業収入を時給換算すると中央値は1,883円といわれているため、毎月20万円以上を狙うためには毎月100時間以上もの時間を費やす必要があります。

そのため、睡眠時間はもちろん、趣味や家族・友人との時間や健康を失う覚悟で挑まなければなりません。仕事が上手く取れなかったり時間単価を上げられなかった場合には、さらに苦しくなります。

不動産投資についても時間と手間が想像以上にかかりますし、優良物件が手に入るかどうかはそのときの景気や市場次第です。

短期間で買い集めようとすると高値掴みをしてしまう可能性もありますし、何より多額の借り入れにはリスクがあります。

このように、短期間でFIREを達成しようとすると「時間」「労力」「安全」を相当に差し出す必要があるため、かなり難易度は高め。絶対に手の届かない目標ではありませんが、まさしく人生を賭けて勝負しないといけません。

期限を倍にするだけで、だいぶ難易度は下がる

では、FIREまでの期間を10年から20年にしてみたらどうなるでしょうか。結果は以下の通りです。

積立額を年利4%(税引後)で運用した場合

毎月の生活費年間の生活費必要な資産額毎月の必要積立額
10万円120万円3,000万円7.5万円
30万円360万円9,000万円22万円
100万円1,200万円3億円75万円

この場合、毎月10万円あれば生活できる人であれば、毎月7.5万円を毎月積み立てれば20年でFIREできます。

普通に暮らしているとそこまで切り詰めるのは難しいですが、生活費を抑えたうえで長期的なプランに切り替えればFIREは不可能ではないのが分かると思います。

このように、数字に落とし込んで必要な金額が把握できれば、「収入を増やす」「支出を減らす」「期間を延ばす」といった要素の調整が可能です。自分の中で羅針盤がしっかり作れていれば、どの要素なら飲み込めるのかすぐに決められます。

目の前の生活やライフイベントを大事にしたいなら「収入を増やす」「期間を延ばす」を選ぶことになりますし、時間と労力、安全を差し出せるなら「支出を減らす」「期間を延ばす」を捨てて「収入を増やす」を選ぶのもアリです。

今後の記事ではオーナーごとの特徴を解説していきますが、「どれが一番正しい」とか「どれが一番優れている」といった考え方はありません。「どれが一番自分に合うか」が大事になってきます。

今回解説したFIREの再現性についても十分理解したうえで、目指すべきオーナーの姿を選んでみてください。


大手税理士法人の富裕層対応チームで育ったさすらいのマガモ。
Twitterを中心に、家計・副業・投資に役立つお金の知識を発信中。
かもさんの紹介ページは→こちら


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