
オーナーデビュー最初の一歩 ~iDeCoって本当に使った方がいいの?~
[ 膨大な富裕層から学んだ、新人社員でもできる!意外に知らないお金の話 ]
目次 |
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・iDeCoの優先順位が低い3つの理由 ・共稼ぎこそ、老後2000万円問題は関係がない ・2000万円必要なのは、まさか定年直後だと思っていませんか? ・老後の不安があっても、解決策はiDeCo以外にもある |
iDeCoの優先順位が低い3つの理由
前回の記事では、
「オーナーデビューの第一歩としては『つみたてNISA』と『iDeCo』がチャレンジしやすいですよ。ただ、どっちも投資リスクからは逃げられないので注意しましょうね」
という内容を解説してきました。
また、この手の話題で質問の多い
「つみたてNISAとiDeCoはどっちがオススメなの?」
への回答として
「どちらかをとりあえず始めてみたいなら『つみたてNISA』がオススメ」
「もっと言うと、投資初心者なら『つみたてNISA』、老後資金を効率よく増やしたいなら『iDeCo』が向いていますよ」
という内容をお伝えしました。
今後の記事では3回に渡って「なぜ先につみたてNISAを始めた方がいいのか?」の補足として「なぜiDeCoの優先度は低いのか?」について深堀していきます。
先に結論をお伝えしておくと次のとおりです。
①老後資金はそんなに必要ない可能性がある
②iDeCoは平均以上の収入がないと使いこなすのが難しい
③資金拘束中に税制が改悪されるおそれがある
今回は「①老後資金はそんなに必要ない可能性がある」について詳しく見ていきましょう。
共稼ぎこそ、老後2000万円問題は関係がない
詳細に入る前に、まずはiDeCoが注目されるきっかけとなった「老後2000万円問題」をざっくりおさらいします。

事の発端は、金融庁の報告書に記載された試算結果です。
この中には、「老後30年間で約2,000万円が不足する」という内容が書かれており、マスコミによって大きく報道されたことで話題になりました。
「2,000万円不足」の具体的な計算方法は次のとおりです。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均
実収入209,198円/月 - 実支出263,718円/月 = 赤字額 54,520円/月
赤字額 54,520円/月 × 12ヶ月 × 30年 = 19,627,200円 → 約2,000万円
この計算結果を見て老後資金に不安を抱える人が急増し、「老後2000万円問題」の名前が一気に広まりました。
ただ、この計算結果はあくまで「統計データがベース+ざっくり計算」になっているため、実はあまりアテになりません。
注目すべきポイントを大きく分けると次の3つです。
①実収入はもっと多くなる場合がある
②実支出は平均値のため少なくなる(できる)
③老後にいきなり2,000万円が必要になるわけではない
①実収入はもっと多くなる場合がある
先ほどの計算にあった実収入209,198円/月 のうち、191,880円は年金による収入です。
令和元年における年金の平均受給額は国民年金56,000円・厚生年金88,000円のため、配偶者が専業の場合には次のような計算結果。大きくブレはありません。
国民年金 56,000円×夫婦2人=112,000円
厚生年金 88,000円
合計 200,000円
ただ、最近は共働き夫婦が増えてきています。
もし配偶者の平均年収が350万円あった場合には次のような計算結果となり、実収入はだいぶ増えます。
国民年金 56,000円×夫婦2人=112,000円
厚生年金 88,000円+配偶者62,000円=150,000円
合計 262,000円
実支出の263,718円とほぼ同額のため、老後資金問題はこの時点でほぼ解消されます。
2000万円必要なのは、まさか定年直後だと思っていませんか?
②実支出は平均値のため少なくなる(できる)
実支出263,718円の内訳は次のとおりとなっており、あくまで平均値です。
「住居費1.3万円は賃貸じゃ無理では…?」などのツッコミどころはありますが、支出状況は個々人の状況によって大きく異なり、倹約して減らすこともできます。
食料: 6万4,444円
交通・通信: 2万7,576円
教養娯楽 :2万5,077円
光熱・水道 :1万9,267円
保健医療 :1万5,512円
住居 :1万3,658円
家具・家事用品:9,405円
被服及び履物:6,497円
教育:15円
その他の消費支出: 5万4,028円
非消費支出:2万8,240円
→税金・社会保険料・借金の利子など

③老後にいきなり2,000万円が必要になるわけではない
老後2,000万円問題は、毎月5.4万円の赤字が30年ずっと続いた場合の累計で計算されています。そのため、定年退職したタイミングでいきなり2,000万円が必要になるわけではありません。
つみたてNISAだけで事足りるかもしれませんし、老後期間を30年と考えれば複利効果で不足分を補填できる可能性も十分あります。
夢のない話ではありますが、定年時点で老後資金不足が明らかであれば再雇用やアルバイトなども視野に入ります。
このように、「老後2,000万円問題」には注目すべきポイントがあり、必ずしも老後資金が不足するとは限りません。
老後の不安があっても、解決策はiDeCo以外にもある
なお、2022年11月現在では「老後2,000万円問題」は無くなったとまで言われています。
上記の計算は2017年の家計調査がベースですが、2020年版で同じ計算をすると30年間で55万円しか不足しないとされているためです。
コロナによる給付金+旅費・食費等の支出減も要因の一つですが、「収入増・支出減によって計算は大きくブレる」ということの証明でもあります。

楽観視しすぎるのも良くないですが、「老後2000万円問題」は当時話題になったときほどの大問題ではなくなっている。と考えると、必ずしもiDeCoを使う必要はないといえます。
とはいえ、次のような方は老後資金に不安があるかもしれません。
・もらえる年金が少ない
・勤め先に退職金がない
・老後は豊かに暮らしたい
この場合、たしかにお金が足りなくなる可能性があります。
ただ、解決方法は本当にiDeCoでしょうか?
次回の記事ではこの点について詳しく解説していきます。

大手税理士法人の富裕層対応チームで育ったさすらいのマガモ。
Twitterを中心に、家計・副業・投資に役立つお金の知識を発信中。
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