
筆記用具が集中力を奪ってしまう
[ 「勉強は環境が9割」~難関校に続々と合格させたカリスマ講師だけが知っている ]
集中が続かない子、続く子
子どもたちを見ていると、目の前の問題に何時間も集中して問題を解いている子もいれば、すぐに飽きて投げ出してしまう子もいます。この差は、集中力の有無で決まってきます。
当然ですが、この集中力は学力に多大な影響を及ぼします。しかし、多くの親は集中力より、問題が解けたか解けなかったかばかりを気にしているため、集中力に対して意識をする機会が少なく、適切な指導ができていないことが多いのです。
小学校高学年より年齢が高くなってくると、偏差値が高い低いでその子を判断してしまいがち。しかし、偏差値よりもその子の背景を気にすることが、今後の学習指導に必要になってきます。背景を確認する際は、以下のグラフが役立つでしょう。

どの生徒も大きく分けると、次の4つに分類することができます。
- 集中力が高くて、学力も高い(優等生タイプ)
- 集中力が高いのに、学力は低い(記憶型タイプ)
- 集中力が低いのに、学力は高い(早熟タイプ)
- 集中力が低くて、学力が低い(不足タイプ)
目指すは①ですが、残念ながらこのタイプに属する子はほとんどいません。
まずは、自分の子どもがどのタイプに属しているのかを見極めることが、学力を伸ばす際にとても重要になってきます。その中でも特に気をつけなくてはいけないのが、②と④のタイプ。
ただし、②と④を同一に考えてしまうと悲劇が生まれてしまいます。学力が低いという共通点はあるものの、学力が低い“原因”がそもそも違うので、対処方法も大きく変わってきます。
なぜ成績が伸び悩むのか
頑張ってはいるけれどなぜか成績が伸びない子は②に当てはまります。こういう子の特徴としては、公式を暗記している、英単語をひたすら覚えているといった記憶学習ばかりに力を注いでしまう傾向にあります。
そのため、思考的な学習に力を入れることができないのです。このような子に対しての効果的な学習指導は、勉強の質を上げることになります。
では、④に当てはまる子はどうすればいいのか。実はこのタイプの子はいくら勉強をさせても学力は伸びません。
公式を覚えるにしろ、理論的なことを理解するにしろ、その瞬間だけは集中をしなければならないのです。
ですからまずは、集中力を高めることから始めないといけません。コツとしては短時間でもいいので、その時間だけは集中して頑張らせるのが有効。タイマーなどを使うと効率的です。

最初は5分でもいいので、その時間だけでも集中して頑張ってみる。これを毎日続けてみてください。継続をすることで、集中できる時間を増やしていきましょう。そうすれば、学力も少しずつではありますが改善されていくはずです。
良くないパターンは、無理やり長時間集中させること。集中力がない子にとっては、こういう時間の使い方は本当に意味がないです。
勉強で「理解すること」ではなく、勉強をすることが「目的」に変わってしまうので、気がついたときには取り返しのつかないケースになっていることもよくあります。一度、このような状況になってしまうと、元に戻すことは難しいので気をつけて下さい。
一方、③の子は早熟タイプ。今学んでいる内容は成長が早い分、成績が高く出ていますが、放置をしていると危険です。入試直前になって、追い抜かれることもよくありますので、やはり④と同様に集中力を高める訓練をしてあげましょう。
筆記用具がなぜ問題になるのか
初めて小学校の授業を受けたとき、先生の話を集中して聞けたのか。これが、運命の分かれ道です。
小学1年生の子に授業をしていると、大体目をキラキラさせながら先生の話を聞いてくれます。例えば、タンポポは冬越しのために、冬はロゼットという姿になっているんだよという話をします。そうすると「私見たことあるよ!」と嬉しそうに語ってくれる子がいます。これが話を集中して聞けたということです。
一方で、周りが楽しそうに話している中、筆記用具をずっといじっている子もいます。こういう子は、非常に危険な状態と言えます。筆記用具が遊び道具になってしまうので、目の前に筆記用具がある以上は、先生の話が聞けないのです。

私も見つけ次第、すぐに注意をするようにしていますが、先生が注意するよりも親がしっかりと「筆記用具はおもちゃじゃないんだよ」と教えてあげることが必要です。
消しゴムやシャーペンが分解されていたら危険信号
有名な話ですが、野球選手のイチローは、練習後にバットとグローブを毎日磨いていたそうです。彼が道具を大切にする姿勢は、私たち大人も見習うところがあるのではないでしょうか。
営業マンとして優秀な人は、やはり靴やスーツといった身につけるものを大事にする傾向が強いようです。要するに、どの世界でもトップクラスの人は自分の道具を大切にする習慣があります。
この傾向は、子どもにも当てはまります。
・シャープペンシルを分解している
・すぐに筆記用具をなくしてしまう
・消しゴムをちぎってしまう
・ノートが上手く管理できていない
・筆箱に落書きが書いてある
・消しカスでねり消しを作ってしまう
・友達と定規を弾きあって遊んでいる
上記のように、勉強の道具に対して無頓着であることはいい傾向ではありません。
気になるようでしたら、一度子どもの筆箱の中を覗いてみてもいいかもしれません。大量のねり消しが出てくるかもしれません。そのねり消しは、授業に集中できないときに出来上がったものなので、危険信号と言えるわけです。

先生にできず親にしかできないこと
筆記用具で遊んでしまうのを防ぐ最良の手段は、親が筆記用具を管理してあげることです。
もし前述の傾向があるようでしたら要注意。筆記用具は大切な勉強の道具で、「道具を大切にできないと成績が伸びない」と教えてあげましょう。
学校の先生にとって、子どもの筆箱の中身までは言及しづらいものです。ですからこれは、親の大事な役目。お子様の筆記用具を管理して、集中できる子にさせてあげてくださいね。

学生時代は学年最下位の成績をよく取っていた。その原因を知りたく、大学卒業後に中高一貫校の教諭として働く。教師として働く中で、幼少期の教育が人生に多大な影響を及ぼすことに気がつき、現在は中学受験で最難関校の合格に向けて算数と理科を教えている。黒田ゆうきさんの紹介ページは→こちら
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