
勉強でも仕事でも、成果を出したいのなら…。真っ先に付き合う人間を選べ
[ 「勉強は環境が9割」~難関校に続々と合格させたカリスマ講師だけが知っている ]
勉強と仕事の意外な共通点
受験の世界はとてもシビアなもので、どんなに頑張っても成績が伸びない子もいれば、トントン拍子で上がっていく子もいます。
目標を持って勉強ができているのか、集中できる環境があるのか、など様々な要因が重なって成績が変化していくわけですが。
その中でも非常に大きく影響を及ぼしているものは、何だかわかりますか? 正解は「人間関係」です。
勉強と人間関係って、違うもの同士では? と思われるかもしれません。ただこれを大人の社会に当てはめると、しっくりくるのではないでしょうか。
よくある話として、自分と仲がいい友達5人の平均年収が自分の年収になるというものがありますよね。
勉強と仕事は同じではありませんが、普段から頑張ったり工夫したりするものであり、「成果を出す」という意味では同じになります。

結局人は、最終的に自分と同じラインに位置する人たちと一緒にいることで安心ができますし、それでいいやということになってしまいます。
だから、そういう友達と一緒に居酒屋に行くと会社や上司の愚痴ばかりになってしまうので、改善する努力をしなくなっていくのです。私も経験があるのですが、こういう時期は現状維持が続いてしまうんですよね。
成績上位グループと平均以下グループでは、盛り上がる話題が全然違う
この「年収」の部分を「成績」に置き換えるとよく分かるはずです。
生徒たちの話を聞いていても、成績が上位のグループは成績の話で盛り上がることが多いようです。
「この問題が解けたんだ! すごい」
「今回の模試はどうだった?」
こうやって、お互いの意識を知らず知らずのうちに高めあっているのです。こういうグループに属している子は成績を意識する機会と適度なプレッシャーがあるので、勉強も頑張ることができます。
一方で、中間層のグループはゲームや友達の話などで盛り上がることが多くなります。
「新作のゲーム買った?」
「あの先生の授業は分かりづらいよね」
「あの子、先生と喧嘩したらしいよ」

このような勉強とは関係のない会話が多いです。大人に例えると、居酒屋で上司の愚痴をこぼしているのと同じですね。息抜きとしてたまには、こういう話もいいのかもしれませんが、友達と会う度に毎回このような話をしているならば、成績のアップには限界がすぐにおとずれそうです。
また話題によっては、勉強を頑張らない理由を作るようなものもあります。
「あのボスが全然倒せない。今日もやんなきゃ」
「まだあの漫画全巻読んでないから読んでからにしたい」
というように。
このようなグループに属している以上は、成績がなかなかアップしません
学年トップの子の成績が急落下した原因
特に親から離れて行動するようになる中学生以降は、友達の影響をモロに受けることになります。
教師時代の話になりますが、とても優秀な生徒がいました。彼は学年でもトップの成績で、このままいけば地元の難関国公立大にも合格できるのではないかと、教師陣で盛り上がっていた生徒でした。
しかし、彼は次第に成績を落としていくことになります。そうなってしまった原因は明らかでした。人間関係の変化です。
彼はとにかく優しい生徒だったので、できない生徒たちに宿題を教えてあげたり、一緒に勉強をしていたそうです。そして、そういう生徒たちと次第に仲良くなっていったのです。
当時の担任としても、できない子が少しでも伸びてくれるなら助かるなという気持ちだったそうですが、教えている側の彼の成績はどんどん落ちていきました。このときに、人間関係の影響力の大きさにゾッとしたことを今でも覚えています。
この話には続きがありまして、実は肝心の彼はそれをそこまで気にしていなかったのです。成績が落ちたとしても友達にとっては勉強を教えてくれる優等生なので、それで満足をしてしまったという訳です。
しかし、当時の志望校は絶対に合格できない成績になっており、知らず知らずのうちに高い意識や目標が失われていったのです。これはとても恐ろしいことだと思います。
このように、誰と一緒に勉強するかはとても重要になってきます。お子様の友達がどういう子なのか、ぜひ気にしてあげてください。

中には、子どもの人間関係に口出しすることに違和感を覚える親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、取り返しのつかないことになる前にアドバイスをするのは、子どもの、この先何十年もの長い人生を考えれば、簡単に断念するほど軽い問題ではないと思います。
教材や先生の質よりも、クラスメートの質のほうが影響は大きい
これも意外かもしれませんが、世の中に出回っている教材に大きな差はありません。もちろん、多少は見やすい配色であったり、良問が揃っていたりということはあります。
ただ、それで成績が大きく伸びるきっかけになるわけでもないのです。教材は「中身」よりもその「扱い方」で随分と効果が変わってきます。
当然、その教材で授業をする講師の実力も重要ではあるのですが、それ以上に一緒に勉強する仲間の影響が大きいです。
むしろ、一緒に勉強している仲間の実力が高いから、教えている講師も上手く授業ができるのです。
授業をしたことのある先生であれば分かるかもしれませんが、同じ先生であっても授業の質は受け手によって大きく変わります。
例えるならば、やる気のない生徒であふれている教室は、講師の声が宙に舞ってしまいます。誰も先生の話に共感もしていないし、理解もしていない。講師としてもやりづらいと感じてしまうのです。そんな状況で良い授業ができるはずがありません。
一方で、やる気に満ち溢れているクラスでは、講師の声が共感と理解の声で返ってきます。なので、より理解を深める質問なども飛び交うことになります。
当然、同じテストを受けさせても後者のほうが平均点は高くなります。自分がどの教室で授業を受ければいいのか分かってくるのではないでしょうか。
こんな塾には、通わせてはいけない
塾を選ぶ際に見なければならないのは、教材や先生ではなく、受けている生徒たちです。その子たちにやる気があるのか、よく見ておきましょう。
特に次のような子が多い塾には注意が必要です。
・親に言われたから塾に通っている子
・目標がない子
・授業中に集中が切れている子
・学力が低すぎる子
・宿題が丁寧にできない子
・先生を尊敬できない子
こういう子の影響力は計り知れないです。どんなに自分の子どもが高い目標を持って入塾したとしても、目標を持っていない子と仲良くなってしまうとあっという間に失速していきます。

特に、子どもは割り切りの関係が築けないので、そもそもこういう子がいない環境を選んであげることが大切だと思います。
できる子を認めると、成績が伸びる
これは保護者にも当てはまることなのですが、他の勉強ができる子を認めることが学力を上げるコツです。
認めることで、そのできる子の行動など習慣にも興味が出てきて、いろいろと知っていきます。それを真似ていけば当然その子にも近づいていくはずです。
家庭内でも、できる子を評価できる雰囲気作りは必要になってくるのではないでしょうか。
中には「あの子は勉強だけしかできない」と勉強ができることに対して敵対心を向けてしまう方がいますが、そんなことをしても何も生まれません。
そんなことをしている暇があったら、どんどん観察して、どんどん真似したほうが賢明です。
一応、付け加えておくと、中には超人的な天才がいて、周りを気にしないでトップに立つ子がいます。こういう子は例外になりますが。とはいえ、真似できそうなところは、真似したいですよね。
実は、教師の世界でも、授業を自己流でやっていると、授業の質がよくなることにすぐに限界が見えてしまいます。
それよりも、良い授業をする先生のフレーズや立ち振舞いを真似てみることが、上達するきっかけになったりします。
大人の世界でも、できる人を認められる人は上達が早いのだと思います。


学生時代は学年最下位の成績をよく取っていた。その原因を知りたく、大学卒業後に中高一貫校の教諭として働く。教師として働く中で、幼少期の教育が人生に多大な影響を及ぼすことに気がつき、現在は中学受験で最難関校の合格に向けて算数と理科を教えている。黒田ゆうきさんの紹介ページは→こちら
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