
美容師という職業の話
[ 僕たちのビューティフル・ライフを探そう ]
はじめまして。群馬県高崎市で美容師をしている、ミヤザキマサヤです。
現在、日本全国にある美容室の軒数は約25万軒。皆様もお気づきだと思いますが、ふと街を歩けば、あっ美容室、あっまた美容室といった具合に、1km圏内に何軒もの美容室がひしめきあっている状況です。コンビニの軒数が全国約5万軒なのに対し5倍の数。激戦市場です。
そんな激アツ市場の中、おかげさまで、僕自身は今年で美容師歴19年目。高崎市でhair salon LiNO(リノ)という小さな美容室を経営しています。LiNOは市内の閑静な住宅街の中に古民家をリノベーションした隠れ家サロンとして、今から5年前にオープンしました。
- 大通りからはまず見えません。
- 駅からめちゃくちゃ遠いです。
- カーナビに入れてもなぜかきちんとお店に案内してくれません。
- 看板は出してありますが、小さすぎて全然目立ちません。
- そんなわけで新規のお客様の90%が道に迷ってしまいます。
それでも、ありがたい事にオープン以来、毎日忙しくサロンワークをさせて頂いています。

僕の『ビューティフルライフ』は車内泊から始まった
さて、ではまず、僕の経歴、少しだけお話しさせて下さい。
出身は群馬県嬬恋村(つまごいむら)。田舎です。村です。キャベツの生産量日本一の村です。
20年ほど前、当時、大人気だったキムタク主演の美容師ドラマ「ビューティフルライフ」におもいっきり影響を受けた世代で、当時はなりたい職業ランキングも美容師が1位を飾っていまして。そのキムタクが本当にかっこよくてですね、ただただ「かっこいい」だけで僕も美容師を志しました(笑)。
20歳で美容学校を卒業し、当時人気だった全国チェーンの大型店、フランスはパリのブランド、モッズヘアに就職。地方ではスタッフが何十人もいる大型店は珍しくて、「あそこは厳しい」と評判のサロンでしたが、あえて、その厳しい環境に身を置くことにしたのです。
入社したは良いものの、そこには今では考えられない毎日が待っていました。
サロンワークが始まる前の早朝から朝練。閉店後は、再び日付が変わるまでまた練習。3、4時間寝てまた朝練。今の日本では確実にパワハラと言われるであろう根性論の毎日。超がつくほどのTHE体育会系でした。立ったまま寝てしまうなんてこともありました。
その上で、社会人1年目の給料は月10万円。一人暮らしの生活は完全に成り立っていませんでした。根性論も月10万円の給料も、技術を教えてもらっているんだから当たり前の世界でしたが、今では考えられませんね。
それでもやりたい事をやっていたからでしょう。大変でしたがそんな生活が楽しかったんです。
3年間アシスタントとして勉強し、4年目でスタイリストデビュー。
休みも取らずに仕事に没頭してきた甲斐もあって、次の年に【モッズヘア 新人スタイリスト売上ランキング】で、全国トップ10に入りました。トップの美容師さん達と一緒にお台場Zepp Tokyoでヘアショーもやりました。
頑張ってきて良かったなあと、心の底から思った瞬間でした。
その後、サロンが別ブランドでの展開となり、そこで店長を7年間努めさせて頂き、人材育成に尽力しました。店長時代もこれまた難しく、教育の難しさを痛感しました。まあスタッフが辞めちゃう辞めちゃう(笑)。それでも付いてきてくれるスタッフに支えてもらい四苦八苦してなんとか7年間やりきりました。で、その後に、自分のサロン、LiNOをオープンさせたというわけです。
LiNOをオープンしてからのその後
で、話は飛びますが、ここからは、5年前にLiNOをオープンしてからのお話になります。
僕はサロン外の活動をやっています。学生の頃、とあるきっかけで韓国にボランティアに行きました。軽い気持ちでその時は行ったのですがそこで何かに気づいたんです。
そのボランティアとは、ソウルから離れた地方都市の孤児院に行って子供達と一緒に遊んでお世話をしてくるというものでした。身寄りのない子供達とただ一緒に遊んでいただけなんですけれど、言葉は通じていなくても楽しそうに笑って遊んで懐いてくれた彼らの姿がずっと心にあって。
ボランティアというと賛否両論ありますが、僕は「やらない善よりやる偽善」の思想なので、とりあえずアクションを起こす事を優先しています。で、LiNOがスタートしてからは、市内の児童養護施設に子供達の髪をカットしに行ったり、今は毎月、月に一回老人ホームに出張カットに行ったりしています。
美容師という職業もそうですが、僕は何か人の役に立てる事をしたいのかもしれません。自己満足かもしれませんがやりたいんです。美容師として、人として何か力になりたい。ゆくゆくは海外で何かできる支援や活動もやっていきたいと考えています。
日本中には、大勢の素晴らしい美容師さんがいると思いますが、この連載では、19年間、僕なりに積み上げてきたリアルな体験と、これまで約4万5千人の方の髪を担当させて頂いた僕なりの視点で、「髪で人を振り向かせる方法」などをお話していきたいと思います。

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