
トリートメントで髪をむしろ傷めている人、大量発生! 正しいトリートメントとは?
[ 僕たちのビューティフル・ライフを探そう ]
「サロントリートメントのウソ、ホント」。これが、今週のテーマです。
トリートメントで枝毛は“絶対に”治せません
サロンワーク(美容室などサロンでの業務全般)をしていると、たまにお客様に言われることがあります。
「枝毛が増えてきちゃったから、今日はトリートメントしてほしいんです」
「最近髪がパサつくから、トリートメントをやってもらいたんですが」
といったご要望ですね。
「髪が傷んだら、美容室でトリートメントをすれば治る」と思っている人が一定数いる、ということです。さっそくこの答え合わせなのですが、半分正解で半分間違いです。
まず、「枝毛をトリートメントで治す」というところですが、これは“不可能”。完全否定してしまいますが、“絶対に”治せないんです。
髪は「死滅細胞」というものの一種で、自然治癒力(自己修復力)がありません。なので、一度傷んでしまった髪は元には戻ることはなく、その後ダメージを重ねるだけになってしまうからです。

ただし、「パサつきをトリートメントで“改善する”こと」は可能です。“治す”と“改善する”は、似て非なるものです。これから解説しますね。
厳密にいうと、「傷んでしまってパサついている状態」は“治せない”のですが、「パサつき」による「質感」はトリートメントによってある程度改善できます。
髪の表面にあるキューティクルが傷んではがれてしまうと、髪の内部にある水分や栄養成分が流れ出てしまうんですね。そうやって髪がパサついてきます。
キューティクルの傷みは治せないのですが、傷むのに伴って失われた水分や栄養成分をトリートメントで補給することはできるので、髪に潤いや質感が戻ってきます。よって、「パサつきをトリートメントで治す」は半分正解という言い方になるのです。
多分90%くらいの美容室には、「トリートメント」というメニューがあると思います。最近では多種多様なトリートメントが出てきていて、聞いたことのない名前の「◯◯トリートメント」とかたくさんありますが、どれも一言で言えば上記でお話しした通り、髪の傷み自体を治すのではなく、栄養補給をして「質感」を改善するもの。このことを知っておくと、「トリートメントをしたのに枝毛が治っていない…」という情報不足によるショックも防げるはずです。
どんな美容室に行こうが、普段自宅で行うヘアケアも、必ずしないといけない
髪の「質感」をよくしようと、2ヶ月に1度美容室に行く度にトリートメントをしたとします。その日は髪もサラサラツルツルになり最高の状態なんですが、翌日からその質感は次第に悪化してしまうんですね。というのは、徐々に栄養成分が髪の中から流れ出ていくからです。1ヶ月もすれば、トリートメント前の質感に逆戻りです。
トリートメントをしたからといって、永遠によい質感が持続するわけではないんですね。
そうです。もうお気付きですよね? 2ヶ月に1度、年に6回美容室でトリートメントしたとしても、よい質感を継続させていくには残りの359日はご自宅での「ホームケア」を日々実践していくことがとっても大切なんです。
そうなると必然的に毎日おうちで使うシャンプー、トリートメントなどの数あるヘアケアアイテムの中の「何をどう使うか」が重要になってきます。

「リンス」「コンディショナー」「トリートメント」の違いとは?
これも時々聞かれる質問ですね。何が違ってどういう順でつければよいのか?といったところですね。具体的に説明すると、
●リンス、コンディショナー:髪の表面をコーティングしてなめらかにするもの
●トリートメント:髪の内部に成分を浸透させて水分、栄養分を補給するもの
リンスやコンディショナーは髪の内部まで働きかけてはくれず、表面をコーティングするもの。もし「トリートメントもしたいし、リンスもしたい」というのであれば、まずはトリートメントで髪の内部に栄養成分を入れて、その後リンスでコーティング(フタをする)という流れが正解です。
ただ、リンスやコンディショナー以外に、トリートメントが自宅にあるようならばトリートメントだけで十分だと思います。その理由はこの後説明しますね。
そのトリートメント、非常に危険! 抜け毛の原因になることも…
やりがちなトリートメントの失敗例を挙げてみますね。
・髪をしっとりさせようとして頭皮からトリートメントをつけてしまい、頭皮と髪がベタついた
・細い髪にしっとり系のトリートメントをつけてしまい、ペッタリしてしまった
・トリートメントをより浸透させようと、長時間放置した
・しっとりさせたくて、あらゆるトリートメントをつけてしまっている
このような失敗例をよく耳にします。
解説しますと、「頭皮と髪がベタついている」方がたくさんいらっしゃいます。汗や皮脂で髪と頭皮が濡れているのかなと思いきや、そうではないんですね。
そういった方に「普段の自宅でのトリートメントのやり方」を聞いてみると「しっとりさせようとして、頭皮からトリートメントをつけている」と答える方が非常に多くなっています。
実はこれ、非常に危険な行為。頭皮も髪もベタつくうえに毛穴にトリートメントがつまって、抜け毛の原因にもなります。
基本的に根元の髪は健康な髪のため、トリートメントをしなくても潤っているんですね。ですので根元はトリートメントをする必要がないのです。トリートメントは必ず髪の中間から毛先のパサつきの気になる部分だけにつけたほうが、効果を発揮してくれます。

それと、トリートメントは髪質に合わせたものを必ず使って下さい。細い髪にしっとりと重いトリートメントは危険です。細い髪の方は、サラッと軽い仕上がりになるトリートメントを選んで使ってみてくださいね。
そしてけっこうお風呂でやっている方も多いかもしれない「トリートメントの長時間放置」ですね。これは「やってもいいけど限界がある」が正解。
髪に対するトリートメントの浸透率というのは限界があります。しっとりさせたいからといって1時間もトリートメントをつけっぱなしにしても効果は変わりません。中には放置時間は必要のないトリートメントすらあります。
もし浸透させたくて時間を置くようであれば、5分で十分だと思います。
それに栄養補給を求めていった結果、「Aのトリートメントをつけて次にBのトリートメントをつけて、最後にコンディショナーでコーティングして…」など欲張っていろんなものをつけても、先ほどのお話ししたように、浸透率には限りがあるということと、いろんなものをつけすぎると髪の表面が重くなってしまい、ベタつきの原因になります。
時間も量も使用する種類も欲張らずに、「必要なものを必要なだけ」にしてみてください。
最後に「せっかくトリートメントしたから、全部シャワーで流してしまうのはもったいない!」といってトリートメント後のヌルっと感を残してしまう方もいらっしゃいます。でもご心配なく。栄養成分は髪の中に入っています。ヌメリ感がなくなるまでしっかりと流してほしいのですが、これで髪の内部に染み込んだ栄養成分まで流れていくことはありませんので。シャワーで流さないといいことはなく、髪のベタつきの原因になってしまいます。

髪の最高の状態は「中は水分、栄養分たっぷり。表面はサラッと」の状態です。ぜひご自宅でもトリートメントを正しく使ってきれいな髪をキープしてくださいね。
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