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秋は抜け毛の季節…。でも大丈夫! キーワードは「血を余らせること」

[ 僕たちのビューティフル・ライフを探そう ]

秋は普段よりも倍以上毛が抜ける季節

9月、10月くらいになってくると毎年、お客様から悲鳴が聞こえてくるんですね。「最近抜け毛がすごいんです!」と。お風呂の排水口に髪がどっさり…、なんてこともあるとびっくりしてしまいますよね。

通常、人は1日に50〜100本の髪が自然と抜けているのですが、秋はなんと200〜300本も抜けてしまうといったデータがあります。秋は自然と抜け毛が増える時期なんです。

「なんで秋は抜け毛が多いの?」という疑問ですが、これにはいくつかの説があるんですね。
・人は動物と同じで、秋から冬にかけて毛が生え変わる時期のため
・夏の紫外線や冷房によって、頭皮が乾燥したりダメージを受けたりしてしまったため
・夏に冷房の効いた室内と、灼熱の外の気温差が激しいため、自律神経に異常が出たり睡眠の質が悪くなったりすることで体が疲れているため
・夏の暑さで食生活が乱れるため

などといった説があり、秋は一時的にどさっと抜け毛が増える傾向にあります。

心配になってしまいますが、安心して大丈夫です。秋の抜け毛は一時的なものですから。そんな秋の抜け毛のお話しでしたが、抜け毛=脱毛について掘り下げていきます。

脱毛症は全部同じではない。いろいろな種類と原因がある

まず、正常な髪の寿命は2〜6年の「成長期」があります。その後髪は2週間~1カ月かけて短くなったり細くなったりなど衰えていき、しばらくは「休止期」という変化の状態が続いた後に、5カ月以内には自然と抜け落ちていきます。そしてその後また成長が始まります。以上の工程を繰り返しているんですね。

でも、なんらかの異常が起きてこのサイクルが乱れると、成長しきらない髪が増えたり、生えてきたばかりのうぶ毛が抜けたりしてしまうんです。

こうして起こる脱毛症には、次のような種類があります。

●男性型脱毛症(AGA)

ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが、髪の成長を阻害してしまうことが原因で起こると言われています。

●びまん性脱毛症

女性の場合はこのパターンが最も多い症状です。男性型と違って全体的に薄くなるのが特徴。加齢による女性ホルモンの変化、ストレス、ダイエットによる食生活の乱れなど原因は様々です。

●脂漏性脱毛症

皮脂の過剰な分泌によって、頭皮に炎症が起こって生じる脱毛症。

●牽引性脱毛症

髪を強く引っ張って結ぶことが長時間続くと、その部分に負担がかかって髪が抜けてしまうものです。

●産後脱毛

出産後の女性ホルモンのバランスの変化で、妊娠中に成長期を維持してきた髪が休止期に入って抜け毛が増えると言われています。一時的なものなのでしばらく経過すると元に戻ります。

●円形脱毛症

突然髪が円形や帯状に抜けてしまう自己免疫疾患の一種。自分の毛根を敵とみなし、リンパ球が毛根を攻撃してしまうと言われています。ストレスが原因とされていましたが、科学的なエビデンスはないようです。

代表的なものを挙げてみましたが、脱毛にも様々なものがあるんですね。男性型脱毛症に関してはここでは割愛しますが、実際にあったお客様の事例をいくつかご紹介します。

ストレスがなくても脱毛症になるケース。実は珍しくない

Aさんはある日自宅でシャンプー中に「あれ? 何だか触り心地が違う部分がある」と頭皮に異常を感じて家族に頭皮を見てもらったところ、5、6カ所ほどあちこちに1円玉くらいの大きさの円形脱毛の症状が見られたそうです。医療機関で受診して薬を処方してもらい治療を続けましたが、その後数年間は「治ってはまた違うところが脱毛する」を繰り返すも、ようやく完治しました。

円形脱毛症の方はこれまで何人も見てきましたが、このような症状は実は珍しくはありません。そして多くの方が、「特別ストレスを感じるようなことはなかった」と言われることが多いです。どこまでをストレスと感じるかは人それぞれなので、やっぱりストレスとの因果関係はハッキリとはしないのが現実ではありますが。

Bさんは5〜6カ月ほどで25kgのダイエットをしました。ご来店のたびにみるみる痩せていったのですが、同時に髪がどんどん細くなって量も少なくなってきたんです。Bさんに聞いてみると、ダイエットなので当然かもしれませんが、猛烈な食事制限で体重を落としていったのだそう。必要な栄養素が足りていないと、髪に影響が出てくることを実感した一例です。

Cさんはもともとかなり人に気を遣うタイプの方なのですが、ある日ご主人の親戚の集まりに参加しなければならない時があり、粗相があってはいけないと必死に周囲に気を配り出席したそうです。ご主人も厳しい方で「親戚の集まる中だ。うまくやれよ」とプレッシャーをかけられていたのだそう。なんとかその日を乗り切ったらしいのですが、あまりにも神経を使いすぎたようで翌日から2、3日寝込んでしまったそうです。さらにそれでは終わらず、しばらく経ったある日、なんと髪が全て抜け落ちてしまったんです。

全てです。その後1年ほどウィッグをつけて過ごしていると、次第に髪が生えてきたそうです。人よりも繊細なCさんだったから余計にかもしれませんが、心と髪の密接な関係を目の当たりにした事例でした。

「血余」の状態にすることがポイント

いくつか事例を挙げてみましたが、東洋医学では髪は「血余」(けつよ)と言われています。字の通り、「余った血」ですね。

人間の体は生命を維持することが第一ですよね? なので「気」や「血」はまずは内臓や大切な器官に届けられます。一方で「髪」は生命には関わらないので、体内の「余った血」が届けられるんです。つまり「血が余っていないと、髪は健康に育ってくれない」わけです。

「じゃあ、どうやって血を余らせればいいのか?」という部分ですが、ここが前回もお話ししましたけど、重要なポイントになってきます。

・バランスの取れた食事
・適度な運動
・十分な睡眠
・ストレスをためない
でしたね?

ここにつながってきます。食事、運動、睡眠で体に血を十分に巡らせ、「血」に余裕を持たせるということです。

それと、ストレスをためないことで、心にも余裕を持たせる

同時に、これも前回のお話に出ましたが「頭皮マッサージ」です。頭皮は心臓から一番遠いところにありますよね? 血が届きづらい場所なんです。ですから、自分で頭皮に血を十分に巡らせることが必要になるんです。

「体、心、頭皮に余裕を持たせる」

      ↓

「気」や「血」を余らせて余裕を持たせる

体をこの「血余」の状態にしていくのが、忙しい現代人には本当になかなか難しいのですけど、必要のない抜け毛はなるべく減らしたいですよね。「血余」の状態を意識して、繰り返しますが「できること」をやっていきましょう。

このように脱毛は、遺伝やホルモンバランス、生活習慣など様々な要因が絡み合って起こります。

進行してしまった脱毛症や、お薬の副作用による脱毛など、医療機関でないと対処できないものはあります。でも、防げる抜け毛は防ぐに越したことはないですよね? 美容師として僕もなるべく皆さんの髪が健康で生き生きしていてもらえるよう、できることを伝えていこうと思います!

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