
ヘアスタイルには、「賞“味”期限」ならぬ「賞“美”期限」が存在する
[ 僕たちのビューティフル・ライフを探そう ]
ヘアスタイルも食べ物と一緒
皆さんはどれくらいの周期で美容室に行っていますか? 1ヶ月? 2ヶ月? もしくは「年に1回しか美容室には行かないよ」という人も中にはいらっしゃるかもしれません。僕のお客様でもご来店の周期は様々なんですね。3週間の周期でご来店される人もいれば、1年に1回のご来店の人もいらっしゃいます。
ペースに関しては個人の自由なので、とやかく言うつもりはありません。ただし、ぜひお伝えしておきたいことがあります。
ところで、食品には「賞味期限」というものがありますよね? 賞味期限とは『デジタル大辞泉』(小学館)によると、「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日(3ヶ月を超す場合は年月)」と説明されています。
この「賞味期限」ですが、それが転じて、我々美容師のあいだでは「賞美期限」という言い方で、業界用語になっているんです。「味」を「美」に変えたわけですが。「賞美期限」とは「品質が変わらずにヘアスタイルが美しく見える期限」です。今回はここを掘り下げていこうと思います。

「カットの賞美期限」は髪の長さに全く関係なく同じ。その期限とは?
まずカットについてですが、皆さんショートからロングまで様々なヘアスタイルをされていらっしゃいます。1か月で約1cm髪は伸びていきます。
ロングヘアの場合、カットした後数ヶ月経過して数センチ伸びたとしても「形」の変化はあまり感じられませんよね? けれど髪の長さがミディアム〜ショートと短くなればなるほど、カットしたてのきれいなシルエットはより短期間で崩れていきます。
実際に僕のお客様で見てみるとロングの人は半年に1回、ショートの人は2〜3か月ほど、ベリーショートの人は1〜2ヶ月でカットをされる人が多いようです。
「そろそろカットしたいなあ」と思う瞬間は人それぞれなので一概には言えない部分があったり、「髪を伸ばし中だからしばらくカットはしたくない」といった人もいらっしゃると思いますが、「賞美期限」として考えるとロング、ミディアム、ショート長さに関係なく、「2ヶ月」として僕は提案しているんですね。
ショートに関しては、髪が伸びてくると明らかに形が崩れてくるので分かりやすいですが、ロングでも形の崩れはないにしても、長さがあるぶん「毛先が傷んでくる」ことや、髪の量が多い人は「量が増えてふくらんでくる」といった問題が2ヶ月ほどで出てくるんですね。
そういった理由で「メンテナンスカット」を定期的にしたほうが、品質のよい状態のヘアスタイルを維持できる、というわけです。伸ばし中の人以外はカットの賞美期限は「2ヶ月」を目安にしてみてください。
ただし、パーマやカラーも考えた場合は、事情が変わってきます。パーマは髪質やかかり具合の強さにも影響を受けますし、カラーは色や明るさによるからです。

パーマの賞美期限もカットと同じく2カ月ではある。ただし…
基本的にはパーマも目安としてはカットと同じく、「2ヶ月」ほどで効き目が消えてくるんですね。
中には「毎回パーマをかけても1週間くらいですぐに取れちゃう!」といった人や「私は一度パーマをかけたら半年〜1年は取れないの!」なんていうお客様もいらっしゃいますが、そこは髪質によって誤差が出てきてしまう部分でもあります。
ただしパーマは取れてきたらゆるくなるものの、それはそれで楽しむことができるんですね。
かけたてのパーマにだいぶ近い状態をキープできるのが、平均すると約2ヶ月だと思ってもらえれば大丈夫です。

ブリーチをした場合は、賞美期限はわずか2週間
カラーについては、以前も私の連載記事でもお話ししましたが、賞美期限は約2ヶ月です。色が落ちてくるのと同時に、根元が黒くプリン状態になるのが目立ってくるのがちょうどその頃です。それが気になる度合いは人によって違うと思いますが、2ヶ月ほどで色は完全に落ちることが多いです。
ただし、ブリーチをしてある髪に色を入れた場合の賞美期限はかなり短く、2週間程度。髪は明るくすればするほど、賞美期限は短くなるということを知っておいてください

ストレートパーマは、かなり効き目がしっかりキープできる反面、それが仇になり…
ストレートパーマもかける薬剤の強さや、地毛のクセの強さによって賞美期限は変わってきます。比較的元々のクセが弱く、そこまでしっかりとしたストレートパーマをかけなくても大丈夫な人は一度かけてしまえば、ある程度長期間そのままでも髪はまとまると思います。
ただしクセの強い人に関しては、強めの薬剤でかけないとクセが伸びてくれないんですね。クセが強くストレートパーマをかけた経験がある人は分かると思いますが、強い薬剤でしっかりとストレートにした部分の髪というのは「半永久的に」ストレートなんです。
なので約3ヶ月すると、伸びてきた「根元の本来のクセのある髪」と「すでにストレートのかかっている髪」の境目がクッキリと分かれてしまうんですね。すると頭の形も悪く見えてしまい、髪のまとまりも悪くなってきてしまいます。その状態になってしまうまでの賞美期限が約3ヶ月になります。

トリートメントの賞美期限は実はかなり短い
「美容室のトリートメントってどのくらい持ちますか?」と、よくお客様にも聞かれます。これについても以前の記事でもお話ししましたが、今では様々な種類のトリートメントが出ているので一概には言えませんが、トリートメントしたての最高の状態の質感は1週間ほど経過すると徐々になくなっていき、1ヶ月経つと以前の状態に戻ってしまうんですね。トリートメントの賞美期限は割と短いのです。
賞美期限とは別の理由で、美容室に定期的に行くべき理由とは?
今回のお話では「ヘアスタイルの賞美期限」をあえて数字にして見える化してみましたが、あくまでこの期間は「目安」なので、絶対にこの期間でヘアスタイルが崩れてしまうということではありません。
それよりも大事なことは、今回の「ヘアスタイルの賞美期限」を参考に「美容室に行くペースをもう一度考えることです。

忙しい現代人は、自分自身と向き合う時間がなかなか取れないかもしれません。それは僕自身も含めてなのですが、年を重ねてくると人は考えなければいけないことが増えてきます。すると自分にかける時間が圧倒的に減ってくるんですね。お金のこと、仕事のこと、子どものこと、老後のこと、親の介護などなど…、髪のことなんてだいぶ後回しになってしまう人も多いでしょう。
でも美容室に行けば、鏡の前に座ってゆったりしている自分と必然的に向き合うことができます。単純にリフレッシュにもなりますし、「自分自身を見つめ直す時間」として美容室はとても有効です。
それに、「賞美期限切れ」のヘアスタイルでは、人に与える印象もよくありませんよね?

ヘアスタイルはこうして考えると、社会生活においてとても重要な役割を果たしています。他人への印象は変わりますし、鏡で自分を見た時もヘアスタイルが決まれば、テンションは上がりますよね? 今回の「ヘアスタイルの賞美期限」を参考に、美容室をちょうどいいペースで上手に活用してみてくださいね!
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