
タイムマシンでダ・ヴィンチに会いに行く研究者
[ デジデン編集部の『聞いた、見た、書いた!』 ]
今回は、毎週月曜日に『天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意』を執筆中の桜川Daヴィんち先生が登場。
ダ・ヴィンチ研究者として活躍する桜川Daヴィんち先生。2019年には著書『超訳ダ・ヴィンチ・ノート 神速で成長する言葉(飛鳥新社)』を出版。自身が主催する「ダ・ヴィンチ勉強会天才秘伝ダ・ヴィンチ学」では、学者視点ではない、わかりやすくクリエイティブな手法で「ダ・ヴィンチ思考」を伝えている。
【桜川Daヴィんち】という名前から、ただならぬ気配が漂う。レオナルド・ダ・ヴィンチに関連する方であることは間違いなさそうだ。芸人の名前のようにも感じる(前回から芸人という単語を使いすぎる筆者で恐縮だ)。一体、どのような人物なのだろうか。

ダ・ヴィンチと出会う前から「ダ・ヴィンチ思考」だった?
まずはこちらの絵を見てほしい。これは桜川先生が大学2年生の頃に描いた作品で、『The Face Of History(歴史の顔)』というタイトルが付けられている。描いた当時、先生はまだダ・ヴィンチに出会っていない。大学2年生にしてこのような抽象画を描いていたという。この絵から、読者のみなさまは何を発見し、どのようなメッセージが込められていると考えるだろうか。
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桜川先生:歴史を学ぶうちに「本当の真実は正しく伝えられておらず、隠蔽されていることがあるのではないか?」という疑問が湧いて、それを絵で表現したものがこちらです。
この絵の中には、大きな口を開けて怒った顔、何やら意味深な顔、楽しげな愉快な顔など、絵を横にしたり、逆さまにすることで隠されている7つの表情を見つけることができます。見つける手がかりとして、クリーム色の枠に4つの表情を抜き出して描いています。このように、本来歴史とはさまざまな表情をした人間が試行錯誤しながら作り上げたものなのです。
この絵の中心の黒い部分、これはブラックホールを意味しています。歴史の闇に閉ざされたブラックホール。ここから飛び出している人物(絵の左中ほど、飛び降りているような姿で描かれている)は実は私自身です。歴史の中でどんなことが起こっていたのか、真実を本気で探究しようという決意を表した絵画です。
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桜川先生は、ダ・ヴィンチ絵画を「全面暗号絵画」と呼び、絵の中には深いメッセージが込められているのが特徴だ、と力説する。
ダ・ヴィンチと会う前からこのような「暗号」を絵の中に散りばめ、自己表現していたという。そんな先生は、ダ・ヴィンチを研究する以前から「ダ・ヴィンチ思考」で行動していたただならぬ人物なのではなかろうか。

挫折することで見つけた「強み」と研究者魂
スマートな方だ。大きな瞳が好奇心旺盛さを物語る。どんなことも自分の目で確かめよう、という強い意思が伝わってくる。クルクルと動く目とは裏腹に、落ち着きある穏やかな物腰で、言葉一つ一つをていねいに的確に選び、無駄がない。
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桜川先生:「大学を出て大学院に進み、文系の研究者になろうと思っていました。でも悩んだ末、研究者の道を諦めました。研究を続けることを考えた時、その情熱がずっと続くとは思えなかったのです。研究者になると、学会で論文を発表する機会があります。アカデミックな場で、アカデミック用語で語られる論文。一般の方には難解な言葉でほとんど馴染みがない。同じ研究をする人たちだけで行われる意見交換です。学問を追求する価値は理解していますが、反面、アカデミックワールドの外にはその情報が広がらず、非常にニッチな研究だったため、私はもっと多くの人に伝える活動をしたいと思いました。また、周囲にはスタンフォード帰りの学生がいたりして、論理ではとうてい勝てませんでした。苦い挫折感を味わいましたね。
自分が優秀な学生に勝てる「強み」は何か。日々考えました。そこで気づいたのです。「多くの人に分かりやすくクリエイティブな方法で伝えることが得意だ」と。院生時代、音楽や紙芝居、あるときは人形を使ってプレゼンをしました。その時は優秀な学生に勝つことができたんです。自分の強みを活かし、大学院を辞めて、デザインや広告の分野で仕事しようと決心しました。就職が決まり、働く前にどこか異国の地に旅行しようと思い立ち、海外の美術館巡りはしたことがあるけれどルーヴル美術館にまだ行ったことないな、ではパリにしようと。そこで衝撃的な出会いがあり、人生が大きく変化したのです。

大学院を辞めようと決めたのに、これから一生かけて研究したい研究材料に出会ってしまった。アカデミックなスキルは大学院で習得していたので、働きながら独学でダ・ヴィンチの研究を進めることにしました。そして8年以上の歳月をかけて手稿、図録、学術書など100冊以上の資料を分析し、ダ・ヴィンチの思考を解明し、出版したのがこの『超訳ダ・ヴィンチ・ノート 神速で成長する言葉(飛鳥新社)』です。これは、ある出版オーディションに出場し、最優秀賞をいただいて出版できたものです。出版社6社から手が挙がり、最終的にご縁をいただいて飛鳥新社さんから出版いたしました。
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デジタルデン「私の人生を変えたダ・ヴィンチ(前編・後編)」の記事でも、桜川先生とダ・ヴィンチとの出会いについて書かれているので、こちらも合わせてお読みいただきたい。
働きながら独学で研究を重ね、出版オーディションで最優秀賞を獲得、6社もの出版社からオファーをもらうという偉業を成し遂げた桜川先生。著書『超訳ダ・ヴィンチ・ノート 神速で成長する言葉(飛鳥新社)』では、ダ・ヴィンチが残した膨大な直筆ノートを桜川先生が独学で研究し、主にビジネスにおいて役立つ言葉、習慣、考え方をわかりやすく伝えている。その中の一節、「やると決めたら1ミリも残さずやり切る」とは、まさに桜川先生自身が体現していることだ。ダ・ヴィンチの教えだけに留まらず、一流の成功者の体験談もふんだんに織り交ぜ、AI時代を生き抜く我々の道標となっている。ぜひこの機会に購入し、あなたも「ダ・ヴィンチ思考」を体現してほしい。
タイムマシンでダ・ヴィンチに会いに行っているに違いない
この記事の冒頭で、大学時代に桜川先生が描いた『The Face Of History(歴史の顔)』について語っている。ダ・ヴィンチに出会う以前からダ・ヴィンチ的思考で絵を描いていた桜川先生にとって、ダ・ヴィンチとはどのような存在なのだろう。
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桜川先生:「人生で大切なことは全てダ・ヴィンチから教わった」という、どこかで聞いたことがあるような言い回しで表現していますが、私にとってダ・ヴィンチとは生き方の模範のような人物、師匠のような存在です。目指す人であり、ロールモデル。その中で幸いにも考え方が共通する部分、似ていると思うところはありますね。
筆者:今で言う「メンター」のような存在でしょうか。
桜川先生:自分が悩んだ答えはダ・ヴィンチが教えてくれたので、そういう意味ではメンター的存在と言えるかもしれません。価値観に共鳴できる心の同志、という存在でもあります。
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500年も前に活躍した人物の思考パターンを想像して、桜川先生は研究に没頭し、ダ・ヴィンチを知ろう、ダ・ヴィンチの生き方を模範としようと努めてきた。これほどまでに歴史上の人物を研究し、膨大な資料を読み尽くし、ダ・ヴィンチを理解しようとした人物がかつていただろうか。
話を伺ううちに、500年という時空を超えて、桜川先生とダ・ヴィンチが会話している様子が目に浮かぶようになった。

「ダ・ヴィンチ」的「未知の華」
ルーヴル美術館で出会った『バッカス』に心奪われ、【桜川Daヴィんち】となった先生。このような「人生を大きく変える出会い」とは、どうすれば起こるのだろうか。
このことについては、今後デジデンで詳しく語ってくださるそうなので、ここでは先生のご趣味である「華道」との出会いについて伝えたい。

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桜川先生:華道を始めて10年になるのですが、それも今思えば「衝撃的な出会い」でした。毎年京都で行われる「京都・東山花灯路」に参加したときのことです。これは京都の青蓮院から清水寺までのおよそ4.7kmの小道に、約2.500基の灯りが照らされ、情緒ある京都の夜を楽しんでもらうイベントで、小道には生花が展示されます。
途中の円山公園で、長楽館という洋風の歴史建築物に立ち寄ったときのことです。たまたま有名な華道家がトークイベントを行っていました。そこで私は質問したのです。「美とはなんですか?」と。少し考えてから、その華道家はパッと花が咲いたような笑顔でおっしゃいました。「美とは、エネルギーであり、パワーだ」と。想定外の答えが印象的で、その方の作品集を購入し読んでみました。そこで知ったのです。華道とは自由に自分を表現できるアートなのだと。その華道家は、假屋崎省吾さんでした。
私にとって、京都円山公園にある長楽館という場所は「非日常」の空間でした。そこで出会った人の言葉や価値観に触れることで、自身の価値観を大きく変えるチャンスを手に入れました。それまでの私は、華道とは「床の間で静かに生けるもの」としか認識していなかったので。
コロナ禍でなかなか外出が難しい昨今ですが、「非日常」に身を置くことで、初めて自分の価値観を揺さぶる出会いを経験することができるのです。6/27(日)に開催するセミナーでは、「謎解きアート」という「非日常」の空間を参加者に体験していただきます。常識を覆すような、ものの見方を変えるような、新しい発想が参加者に芽生えるといいな、と思っています。
《イベント詳細は文末に記載》
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華道のお稽古を始めて10年が経つという。先生の作品は、見る角度によってさまざまな印象を与える。斬新さで目を引く「ダ・ヴィンチ的」とでもいえるような作品だ。「華道」という言葉のイメージをぶち壊すような、力強く、一方で繊細で、複雑だ。先生は自身の思考を「複雑」とも表現していたが、その複雑さを紐解き、わかりやすく説明してくれることが、【桜川Daヴィんち】の魅力だと理解した。
現在二冊目の本も執筆中とのこと。これからの桜川先生に目が離せない。
《桜川先生イベント概要:オンラインZOOM開催》
日時:6/27(日曜)16:30〜19:00
テーマ:リアル謎解きアート 究極の未完成絵画編
参加費:3000円
ダ・ヴィンチ絵画は「全面暗号絵画」というべく仕掛けが潜んでいて、絵の中に深いメッセージが込められていることが特徴。そのメッセージを10年におよぶ研究で解き明かした桜川Daヴィんち先生が、参加者とその謎解きを共有するセミナー。「天才思考」を追体験し、新たな視点を養い、豊かな人生を歩むきっかけとなること間違いなしのチャンスだ。桜川先生は毎回のセミナーで100点近くのスライドを用意するという。豊富な資料、そして桜川先生独自の「謎解き話術」をぜひ堪能してほしい。

文責:長島綾子
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