なぜ僕は今も昔も、野球を趣味にしていないのか?

[ プロ野球選手 中道大波の「ビッグウェーブを乗りこなせ! ]

僕の趣味は野球ではありません。

僕は野球ゲームは、全然好きではありませんでした。幼い頃からもともと。

もちろん、グラウンドでリアルでプレーする野球は大好きですよ! やはり野球は「観戦するもの」ではなく「プレーするもの」だと思っていたからです。

とはいっても、野球は実は趣味ではありません。もっと言いますと、野球を趣味にしたくないと、今でもずーっと思ってさえいます。

皆さんの趣味は何ですか? 旅行、カラオケ、ドライブなどあるでしょうし、スポーツでもサッカー、バスケなど様々です。一口に野球といっても、観戦しながらお酒を飲むこともあれば、休日に草野球をすることなど、いろいろあります。

僕の場合、野球はあくまで職業であり、趣味にはしていません。なぜ野球を趣味にしたくないのかというと、もし趣味にしてしまうと、ちょっとでも楽しくなかったりしんどいと思った時に、したくなくなりそうだからです。せっかくこれまで幼い頃から頑張ってきた野球、この先も上を目指すために中途半端に野球をしたくはありません。趣味にすると、中途半端に終わるリスクが高いと考えているのです。

とはいっても、「本気で取り組みたいのなら趣味にするな!」とまでは言うつもりはありませんし、自分にそんなことを言う資格はありません。目指すことが、他の物事と比較してどれくらいの比重を占めているのかにもよりますし。目標は達成されえすればいいわけですから、その最短ルートが描けられればいいだけです。効率的に成果が出る行動を、モチベーションが維持する範囲で続けられるか否かが大事だと思います。趣味くらいにするのが自分にとってベストでしたら、趣味に位置付けるのがいいでしょう。

硬式野球に本気で取り組むのなら、軟式野球をしてはならない

僕は昔から外で遊ぶのが好きで、家でじっとしていることが本当に嫌いでした。小学生の頃は学校が終わると、帰宅してランドセルを玄関にぶん投げてすぐに遊びに行き、宿題なんて後回しみたいな小学生でした。

しかし、中学生になると一変します。地元の硬式グラブチームに入団したある日、父からとんでもない一言を言われたのです。
「おい、お前本気で野球やりたいんだよな? だったら、中学校の3年間は外出禁止。以上」

「えっ、なんで…??」、僕は茫然としました。そして、友だちは放課後に外で楽しく遊んでいるので、「なんで自分だけ、こんな仕打ちを受けないといけないだよ…」と、怒りすら込み上げてきました。

そんな僕の気持ちとは裏腹に、地獄の中学時代の日々が始まります。ただ、父の命令が正しかったことに気付くまで、そんなに時間はかかりませんでした。その理由をお話しするにあたり、野球には硬式と軟式があるところからお話しさせてください。

中学校には軟式の野球部がありましたが、僕が既に所属していたクラブチームでする野球は硬式であり、軟式ではありません。野球なら軟式も硬式も大して変わらないんじゃないの?と思うかもしれません。でも、全く違うスポーツというぐらい違うのです。

左が軟式、右が硬式

例えば、常に硬式のボールを投げてる僕が急に軟式のボールを投げると、肘・肩が抜けるような感覚になってしまいます。重いものを投げた後に軽いものを投げると、フワッとする感覚があると思います。投げなくても、重いものを持っていた後に軽いものに持ち替えた時に、フワっとしたことがありませんか? それと同じことです。

硬式と軟式とでは、投げるにもバットで打つにしても、飛んできたボールをキャッチするにしても、事情が全然違うのです。軟式の練習ばかりしていると、硬式では通用しません。逆も言えることでしょうが。さらには、区別せずにごちゃまぜで使っていると、肩を壊したりする危険性すらあります。

なぜ硬式野球を選んだのかというと、当時からプロ野球選手を目指していたからです。プロ野球では硬式を使います。

そんなことで僕は実は、父の命令にも従って、中学校の軟式野球部には入部していないのです。夏場しか活動しない水泳部に入部しました。なので、ほとんど部活動がありません。水泳部でも基礎体力は養われるので、やっていて損はありません。

15時30分頃に帰宅すると、外出禁止にされてしまった僕は、さっさと宿題や明日の準備を終わらせると、18時30分ちょうどに帰宅する父を待ち、ランニング・素振りの猛特訓を受けていました。所属していた硬式クラブチームでは、土日・祝日に専用グラウンドで練習していましたが、それだけでは練習量は全然足りません。そこで平日は毎日、父と練習をしていたのです。

なぜオモチャのバットが、一番の練習道具になったのか?

父も幼い頃から野球をやっており、甲子園出場経験もある東京の修徳高校出身で、そこで4番バッターでした。皆さんは、「そんな外出禁止なんてよく守れるなー」とか、無視して遊びに行っちゃえばいいじゃんと思うかもしれませんが、僕はそんなことできませんでした。

なぜかというと、父がとてつもなく怖かったからです。もちろんプロに行きたいから練習する!のは当たり前ですが、僕の場合はどっちかというと、父に怒られないために練習するのほうが勝っていたかもしれません(笑)。

そんな父との練習で、毎回口を酸っぱくして言われ続けていたことは「スイングスピード上げろ!」。スイングスピードとはスイングした際のバットの回転スピードのこと。これを上げることによって、飛距離がグッと上がってくるのです。

僕はスイングスピードを上げるために、ひたすらバットを振りました。とはいっても、ただバットをやみくもに振り続ければ、スイングスピードが上がるということではありません。

僕は、オモチャのカラーバットの先端に粘土を入れ、軽いけどトップに重さを感じられるバットを作り、そのバットで連続してスイングをしてスイングスピードを上げていきました。

なぜ軽いバットで振ることがいいのかというと、皆さんは「遅筋」「速筋」という言葉を聞いたことがありますでしょうか? 遅い動きをすることによってそれに対応しようと体が反応し、遅い動きの筋肉である「遅筋」がつきます。重いバットで振るとスイングが鈍くなり、遅筋がついてしまいます。それではスイングスピードは上がりません。なので僕は、速筋をつけるために改造版オモチャのカラーバットで、素振りを続けていました。

周りの人たちからは、奇妙に奇妙に見られたかもしれません。オモチャのバットを、真剣な顔つきで一心不乱に素振りを繰り返していたわけですから(笑)。別に、おもちゃのバットを勧めたいわけではなく(共感してくだされば、お勧めしますが)、何を目指すのかを明確にすることがまずは大事で、その目指すことに合致する方法を一生懸命考えて見つけ出すのが、スポーツだけでなく勉強や仕事でもとても大切だと思います。そしてその方法は、何だっていいわけです。

このように鬼のような父との練習の日々で、手のひらがズタボロになるまでバットを振り続けた中学校3年間の平日でした。

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