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夢は大きく。日々のゴールは小さく。これが成功の秘訣

[ プロ野球選手 中道大波の「ビッグウェーブを乗りこなせ! ]

同じ野球選手でも、目指すポジションによって練習方法は全然違う

僕は中学生になると、野球に対する考え方が変わってきました。目標がプロ野球選手になるだけでおさまらず、具体的に「どんな選手になるのか」という細かいところまで考えるようになっていったのです。

野球にはポジションがありますが、「ピッチャーを目指すのか?」「バッターを目指すのか?」というところでも練習の方法が変わってきます。今は、大谷翔平選手のように「二刀流」と言われる凄い選手もいますが、大概の選手は選択肢をどちらかに絞ることが多いです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざの通りですね。

そこで僕は“ホームランバッター”になることに決めました。やはり、僕の中で野球界の“花形”と言えばホームランバッターだと思ったのが大きな理由。プロ野球選手がホームランを打つと観客やベンチの仲間も総立ちで歓迎してくれますし、ヒーローインタビューを受けるのも大体が決勝打を決めたバッターが多いからです。それを自分自身で味わいたいと思うようになったのです。

最初からあまり狭めるのも、もったいないかもしれません。でも、夢がハッキリしているのなら、そこに向かって練習などしていくことは、夢の達成の近道だと思います。

高望み大歓迎! 人は、望む以上の者にはなれないから

僕はまず、身体を動かす前に頭を動かすことにしました。何も考えずやみくもに練習をしているだけでは、プロになるどころか、貴重な時間すら無駄にしてしまうと思ったからです。

最初に考えたことは、ホームランはヒットの延長はではないということ。よく考えてみたらわかることなのですが、ゴロを打ったら絶対にホームランになることはありません。他にもボールの下の部分を打たないと打球は上には飛ばないことや、パワーやスイングスピードを上げなくてはいけないなどと、“ホームランバッター”になるためだけの練習をしていくことにしたのです。

いつしか、試合になると必ず全打席ホームランを狙うようになっていました。
ランナーがいようがいまいが、負けていようが勝っていようが関係ありません。どんなときでも「ホームラン一択」。それ以外は考えたことはありませんでした。
どんなコースでボールが投げられてこようが、ホームランを打ちにいくということ。実際にできるかできないかも大事ですが、それよりも、全部狙っていくという姿勢が大事なのです。

これは勉強でも同じことが言えると思います。テストで100点を目指して勉強して、結果的に80点のことはありますが、最初から80点を狙っていたら絶対に100点を取ることはできません。このようなことを中学生の頃から考えて、練習に取り組んでいたのです。

プロ野球中継は「観る」ものではなく「参加する」ものである!?

僕の父はプログラムを組み込まれた機械のように、毎日帰宅時間が決まっていました。毎日必ず18:30に家に到着するのです。しかも別の連載でもご紹介しましたが、プロ野球関係の仕事をしていています。そんな几帳面で野球業界にいる父に「プロ野球選手になるんだ」と言い切ってしまった以上、だらけている姿など見せられません。

父が帰宅する前には、近所にランニングに出掛けるのが日課になっていました。最初はランニングも辛かったので「辞めたいと」思っていまし、何よりも父が怖すぎて、最初は父に怒られるからという理由だけで走っていました。しかし、いつしかその考えが変わっていったのです。

ランニングも慣れてくると、ただ走るだけでは物足りなくなり、自分の中でメニューに変化を加えていくようになりました。
例えば、1つ目の電柱から2つ目の電柱まではダッシュ、2つ目から3つ目までは軽く流す、3つ目から4つ目はまたダッシュという感じです。
もちろん家に帰ってきても、頭の中は「技術力を磨くこと」しか考えていませんでした。でも、野球の本や雑誌などは1冊も買ったことがありません。言葉で説明するのは難しいのですが、僕の中で静止画や文章だけでは上手くなるイメージが全くわかなかったのです。

そうであれば、テレビのプロ野球中継は観ていたの?と考える方もいると思います。はい、それは観ていました(笑)。しかし、僕は普通の中学生とは全く違った視聴方法だったと思います。まず、テレビでプロ野球観戦している方も多いと思いますが、そのとき皆さんはどのようにして観戦していますか? ご飯を食べながら、他にもお風呂上りにお酒やおつまみを片手に観ている方もいるかもしれません。

僕は中継が始まると、バットを持ってテレビの前に立っていました。そもそも「観戦」ではなく、試合に「出場」していることをイメージしていたのです。

ピッチャーがボールを投げると、それに合わせてバットを振る。そして、右ピッチャーや左ピッチャー、ストレートが強い、変化球でカウントを取るなど考えてタイミングをとり、配球を読んだりしました。
「ファールを打ったら、次はこのコースに投げてくるな」「ストレートの後は変化球で一球外角に外すな」などと常にイメージしながらバットを振り続けていたのです。もちろん全て、ホームラン狙いのスイングフォームだけをとりました。

夢が決まれば、普段の生活一つひとつまで変わる

お風呂に入ると必ずしていたことがありました。窓ガラスって湯気で曇るじゃないですか、そこにサインの練習をしていました。今でも当時に考えたサインを書いています(笑)。中学生になったばかりなのに、プロになった時の立ち振る舞いについても考えていたのです。

実は今でもそうなのですが、翌日に試合を控えているときは実際に使うバットを常に握っています。もちろん寝るときも一緒に寝ています。これは中学生の頃から変わっていません。一緒に戦う相棒ですから、常に一緒にいて感覚を身体に染み込ませているのです。そして、常にこのバットで打つ良いイメージをしてウキウキしながら寝ていました。もう本当に野球は家族同様です。

また、僕は中学生の頃から現在もずっと「タマザワ」というブランドの黄色いグローブを使っています。それは、帝京高校(ポジションは、ファーストで決まっていた)で使うために祖父に買ってもらったファーストミットの色が黄色だったからです。

祖父は、僕が中学3年生のときに体調が悪くなって入院していて、集中治療室に入っていましたが、合格証書を見せたその夜に亡くなりました。
実は10日前から危篤だったのですが、僕の帝京高校の合格発表まで頑張ってくれました。僕の合格発表の報告を待ってくれていたのかと思います。

この「タマザワ」というブランドは有名ですが、プロ・アマ関係なく使っている人が案外少ないのです。ですから、いずれ僕がスポンサー契約を結んでやると思い使っていました。今ではその目標を達成して、野球道具からウエアーなどスポンサーとして道具の提供をして頂いております。

何に対してもそうですが、まずは自分で考えて行動することが大切です。誰かがやっているからということではなく、自分に一番合った方法で野球を愛せば、必ず野球のほうから近づいてきてくれると思っています。

ゴールはそのときの状況で自在に変えるのが成功の秘訣

それと、どんなことでもドツボにハマる人は自分の前に大きな壁を作りがちです。そうではなく、ちょっとしたゴールを作るのです。その目的が達成したら、もっと険しい道のりで到達できる所にゴールを設定します。勉強でいえば、簡単な問題から解くようにして、それが解けたらもっと難しい問題を解く、そんなイメージです。

今までの僕がやってきたことを読んでくださった方は、「中道のように目標が高い人がそんなことを言うのは意外」と思ったかもしれませんが、僕だってスランプはしょっちゅうあります。先に進めなくなったときは、ゴールを小さく設定して、まずはそこをクリアするようにやってきました。そうすれば悩むこともなく、スランプの“波”も少なくなるはずです。

「夢は大きく。でも、行き詰ったらゴールを小さくして、まずはそこを乗り越える」
これで無理やストレスを極力減らしつつも、楽しみながら大きな夢に近づくんじゃないのかな?そんな風に思っています。

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