
ホームランを打ちまくっていた僕が、 なぜ怒られてばかりいたのか?
[ プロ野球選手 中道大波の「ビッグウェーブを乗りこなせ! ]
4打席連続ホームランを打った僕へ、父が放った予想もしない一言とは?
ホームランバッターになることだけを考えていた僕ですが、どんなことがあっても一番の練習コーチである父に褒められることはありませんでした。
中学生の時の試合で、4打席連続でホームランを打ったことがありました。その日に僕はウキウキで父にホームランの報告をしました。僕は「よくやったな!」とか「日頃の練習の成果だな」とかそういった温かい言葉が返ってくると思っていた。
しかし、父の言葉は「で? だから? 4打席打ったんだったら、5打席目もホームラン打てよ」。僕は、「あ…、うん」。
その時は「なんて冷たいだ。この人は本当に僕の父親なのか?」とも真剣に考えました。しかし、今になってみると「上には上がいる。絶対に、現状に満足するな。上を目指せ」という意味が込められていたのかな?っと振り返っています。
ホームランを打ったのに、監督からも怒られてばかりいた
これは、中学3年の春の大会での出来事です。4番バッターの僕にノーアウト一塁で回ってきた時、一般の選手なら監督のサインを見るのが当たり前。もう後がないからと一発逆転に出る必要はなく、チャンスをしっかりと活かすために冷静に監督に従うのが賢明だからです。しかし、僕は「4番バッターに、送りバントなどの作戦系のサインはないだろう」とベンチを見ずに打席に入っていました。
初球はボール。2球目と入ろうとした瞬間にベンチから「おいっ、サインをちゃんと見ろ!」。出たサインは「ヒットエンドラン」。ヒットエンドランとは、ランナーは盗塁をし、バッターはどんなボールも振ってヒットまたはゴロを転がしランナーを進めることを最優先する作戦です。
僕はそのサインが出た時に首を傾げ、サインを無視しようとしました。「タイム!」。監督に呼ばれると、ものすごい剣幕で怒られたのです。まあ、世間一般からしたら監督のサインを無視したのですから、当たり前ですよね(笑)。
4番である僕は納得がいかずに、サインをわかったフリをして打席に戻ります。そして次の球でフルスイングして、右中間にホームランを打ちました。ベンチに戻ると監督に、とんでもない勢いで罵声を浴びせられ怒られました(涙)。
こんな調子で、中学生の頃は何をしてもよく怒られていました。その中でもこれからお話するエピソードが、一番理不尽でした。
中学3年生最後の練習試合でのことです。4番であった僕は、特大のホームランを打ったのです。「よっしゃ! これはめちゃくちゃいい感覚で打てたな」と、僕的にも手応えは十分でした。ダイヤモンドをゆっくりとまわっていると、普段であれば味方ベンチから「よっしゃ~」「ナイスバッティング!」などいう言葉が飛び交っているはずなのですが、その時は誰も言葉を発していませんでした。
「おかしいな」っとダイヤモンドをまわり終わりベンチに戻ると、監督に一言。「お前! 車どうするんだ?」と、いきなり怒鳴られました。僕は何のことかさっぱりわからずにいると、どうやら僕が打ったホームランがスタンドの奥に停めてあった車のフロントガラスに直撃し、ボールがめり込んでいたようなのです。

僕は正直に思いました。「おい監督。まずは『ナイスバッティング』だろ? なんで言わないんだ? というか、素直に言えよ!」と。その後、車は保険が降りたみたいでチームは一安心していました。とはいえ、車が停まっていた場所には「ここには車を停めないで下さい」という看板が建てられたみたいです…。
頑張って結果を出した人に、神様は必ずご褒美をくれる
でも、僕の活躍は確実に周囲に伝わっていたようです。これも中学3年の時の話になりますが。
中学生には何個かのリーグがあります。皆さんがよく知っているのは「ボーイズリーグ」や「リトルリーグ」だと思いますが、僕は「ポニーリーグ」というところで3年間野球をやっていました。中学3年になると、ポニーリーグの日本代表に選ばれました。しかも、そこでキャプテンまでやらせて頂き、本当に今の野球人生に活きていると思っています。
北海道から沖縄まで20名の選士が選抜されました。試合が行われたグラウンドは、福岡ソフトバンクホークスの本拠地である「福岡 Yahoo! JAPANドーム」(現「福岡 PayPayドーム」)です。

初めて中に入ったのですが、本当に興奮しました。なによりもスタンドの広さ高さ、全てに驚きました。そして、「ここで何万人っていう人の前でプレーしたい! いや、必ずするんだ」と自分自身で再確認することができたのです。
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