
「俺だけ見てりゃいいんだ!」の超自己チューの自分が、周りに感謝するようになったきっかけ
[ プロ野球選手 中道大波の「ビッグウェーブを乗りこなせ! ]
名門校のキャプテンでしたが、僕ほど向いていない人間はいなかったかも…
「理想的なキャプテン」といえば、皆さんはどのような人物を思い浮かびますか? 頭が良くしっかり周りを見て、常に的確な指示ができる。そういったことをこなすのが、世間一般的な理想なキャプテンだと思います。
しかし、僕は幼い頃から野球しかやってこなかったせいか頭は悪く、しかもキャプテンとして最も向いていないことが一つあります。それは、めちゃくちゃ「短気」であることです(笑)。何かあるとすぐにカッときてしまいました…。

試合中でも「チームがどう戦うか」よりも「自分さえ打てればいい」、ずっとそんな感じ。「自分が! 自分が!!」という考えが昔から強かったせいか、野球の名門校でキャプテンを任されたものの、それはそれは想像を絶する辛さを味わうことになったのです。
「チームのことより、俺のことを聞けよ!」。こんな自己中な性格…
名門校でのキャプテンはメディアや周りの高校野球ファンからの注目度が、他の高校とは俄然(がぜん)違いました。しかも、どの質問も「今年のチームはどうですか?」「今年は甲子園に行けそうですか?」「注目の選手は?」というように、聞かれるのはチームのことばかり。
昔の僕なら「今年のチームも最強だし、甲子園行くのは当たり前。注目選手は俺だって!」と答えていたかもしれません(笑)。そんな僕に地獄の日々が待っていたのは、この頃には知る余地もありませんでした。
自分の成績と、チームの成績。どっちが大事なのか?
高校三年生で迎えた春季大会。この大会は夏の甲子園予選に向けてシードが取れる大切な大会です。なんとしても勝って、夏の大会に向けていいスタートを切りたいところ。結果はベスト4で、シード権を取ることができました。
しかし、シード権は取れたものの、チームの雰囲気は最悪。しかもキャプテンであり4番バッターでもある僕の打撃不振が続き、悔しさと不安が残る結果となりました。
練習が終わり帰宅すると、夕飯も食べずにひたすらバットを振り続けました。泣きながらバットを振り、そのまま公園で寝てしまうこともありました(笑)。

しかし、ここで自分は「キャプテンの使命とは?」「キャプテンとはそもそも何者なのか?」と考えるようになったのです。
「自分の結果ばかり気にしているキャプテンが引っ張るチームは、果たして良いチームといえるのか? 自分の打撃不振が続こうが、チームが勝てれば良いのではないか。それがキャプテンである僕の一番の仕事なのではないか。チームの結果は、自分の結果でもある」。こんなふうに考え方が変わっていったのです。
敗北を喫するも、今度は悔し涙が一滴も出なかった
そして迎えた【3年間の集大成。甲子園へのラストチャンス】となる、最後の大会。自分がキャプテンでこのチームをどうしたいのか。みんなが一つの目標にだけ向かえるように、それだけを考え迎えた最後の大会。打撃不振が続いていた僕も初戦から2打席連続のホームランを放ち、それがチームの勢いを付けることができました。
その波に乗ってくれチームは1回戦、2回戦、3回戦、準々決勝と試合をこなすごとに強くなっていき、一つの束になっていった気がしました。
しかし、結果は準決勝で敗れ、甲子園に行くことはできませんでした。でも以前と違い、泣き崩れるチームメイトを横目に、僕は涙が出ることはなかったのです。

1人の選手としてだったら、甲子園行けなかった悔しさから立ち直れないくらい泣き崩れると思います。しかし、キャプテンとしては何かやり遂げた手ごたえは感じていたせいか、そこまで悔いは残らなかったからです。
心底の喜びを得るためには、まずは自分ではなく周りから見よう
名門校でのキャプテンをやらせていただいた経験は、僕自身の財産になり本当に一生モノの宝物です。野球を辞めてからも、今後の長い人生に必ず活かされていくことでしょう。
そして、僕が今回の記事で何が一番言いたいかというと、自分が良いを思いをしたいのなら、まずは周りのこと、そして周りの人の気持ちを考えなきゃいけないということです。自分が良ければ良いでは、絶対に良い思いはできません。人に対して、何かに対して、自分が犠牲心を持つことではじめて、必ず良いことが自分自身に返ってくると思います。そう信じて僕は上を目指して頑張っています。
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