「天才」と「知的障害」は表裏一体 ~ダ・ヴィンチが大活躍できたのは、「ADHD」であったから!?

[ 天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意 ]

ADHDだと、忘れっぽい、落ち着きがない、人間関係に問題あり…

「ADHD」という言葉を聞いたことはありますか? ADHDとは、「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(注意欠如・多動性障害)」の略称です。主に次の3つの症状に分類されます。

①不注意(集中力がない)
②多動性(じっとしていられない)
③衝動性(思いつきの行動をする)

そして、この3つのうち、

・「①不注意(集中力がない)」が顕著な場合
・「②多動性(じっとしていられない)」と「③衝動性(思いつきの行動をする)」が顕著な場合
・①②③、すべての症状が混合して見られる場合

があるとされています。

ADHDの症状があると、忘れ物をする、物忘れが多い、整理整頓が苦手、約束を守らない、授業中に立ち歩いてしまう、指名されていないのに答えてしまう、といった言動が生じます。その結果、人から注意をされることが多くなり、スムーズな人間関係を築くことに困難を感じる人も出てきます。

人口調査によると、子供の約5%、大人になると軽減されて約2.5%の人がADHDの症状があるといいます。なぜこのような症状が発生してしまうのかというと、脳の機能、特に脳の司令塔である前頭前野、そしてやる気を持続させる役割を担う即坐核に、ドーパミンなどの神経伝達物質がうまく行き渡っていないからであると推測されています。

ダ・ヴィンチはADHDであった疑いが、論文で発表された

イタリア、ルネサンスの時代に活躍した万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチというと、一度は名前を聞いたことがあるでしょう。『モナ・リザ』などの絵画や彫刻、建築などのアートの分野で才能を発揮し、さらに乗り物や日用品の発明家であり軍事技師、舞台監督であり学者でもあったマルチな人物です。そのダ・ヴィンチが、実はADHDだったのではないか、という論文が提出されています。
(※出典:医学誌 ブレイン  https://academic.oup.com/brain/article/142/6/1842/5492606

この論文の中で、ダ・ヴィンチのADHD気質について、実際に作品が未完に終わっていること、期間を延長して納期を守らないこと、絵を描いている時の集中力の欠如を理由にあげています。

例えば、ダ・ヴィンチが『最後の晩餐』に取り組んでいた際、彼の描写を近くで見ていた人がいるのですが、このように報告されています。

「早朝にやってきては、足場に登って仕事を始める。ときには、夜明けから日没まで一度も絵筆をおかず、飲み食いも忘れて休みなく描き続けることもあった。そうかと思うと、2日、3日、あるいは4日もの間、まったく絵筆を手に取らずに、作品の前で腕組みをしながら数時間も立ちつくし、心の中で人物像を綿密に検討していた。はたまた、急にやってきたかと思うと、日差しを避けて歩くことも頭にないようで、そのまま足場によじ登って、絵筆を取って画面にひと筆かふた筆入れると、また去っていくのだった」

没頭する時もありますが、落ち着きのなさも見られます。このようにして描き上げた『最後の晩餐』ですが、やはり催促をされながら、約3年の年月をかけて完成させています。

ダ・ヴィンチはADHDであると断定できるかはともかく、その気質があったのではないかと、こちらの動画(英語字幕付)でも紹介されています。

(※ADHD could have been the key to Leonardo da Vinci’s genius https://youtu.be/ssYlLhlGGzI

ADHDだからこそ、他人が真似できない才能を発揮することもできる

研究者によって指摘されているように、確かにダ・ヴィンチは、ADHD的気質があったように思います。ダ・ヴィンチが大量に書き残したメモが残っていますが、時には全く違う分野のことが無秩序に書いているあるページもあり、落ち着きのなさが見られます。

そして、膨大なノートを整理することができず、生前出版をすることができなかったという事実もあります。依頼主から、「このテーマの作品をこのように描いてくれ」と具体的な指示を受けたにもかかわらず、衝動的に自分の思いを優先して描き上げていったところなんかも、ADHD的な特徴が表れていたといえるのかもしれません。

このように短所ばかり聞くと、ADHDはどうしようもなく不利であると思うかもしれません。しかし、ダ・ヴィンチは、500年経った今でも注目され続ける存在です。自分には“ハンデ”があると捉えてクヨクヨしていたのではなく、むしろ他の人にはできない“ギフト”と捉え、強みを発揮していました。

ADHDの人は、注意散漫になりやすいですが、反対にひとたび興味を持つと、ものすごく没頭することができます。『最後の晩餐』は、没頭の側面で見ると、なかなか他の人にはマネのできない描き方をしています。

また従来のルールに則って何かをするよりも、自分で新しく創造して取り組むことが得意です。そのため、ルールに縛られた企業で働くよりも、起業をしたり、フリーランスやアーティストといった自由なライフスタイルの方が力を発揮しやすく向いています。好奇心旺盛で思考が常に変化しているので、単純作業ではなく変化があるかどうかを基準にするといいでしょう。

ダ・ヴィンチが万能の天才としてあらゆる分野で才能を発揮できたのも、ADHD的特質があったからだとすれば、今ADHDで困っている人の希望になります。

このように、ADHDの人に限らずですが、ハンデと思える裏側に潜むギフトに気づき、自分の興味のある分野でそれを生かすことができないかを熟慮してみましょう。世界に1人しかいない、自分の個性を輝かせられるチャンスが、「人生」という名の舞台で待っていてくれる人は必ずいるはずです。

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