AIが描く、超絶技巧の『モナ・リザ』とは?

[ 天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意 ]

AIはどうやって絵を描いている?

前回の記事では、AI画像生成サービスMidjourney(ミッドジャーニー)がいかに優れたクリエイティブツールであるかということをご紹介しました。

前回URL:https://digi-den.net/sakuragawa-davinci/category-psychology/2023/04/10/15253/

Midjourneyは、単語を入力するだけで、AIが自動的に素敵な絵を描いてくれるのですが、一体どうやってAIは絵を描いているのでしょうか。

仕組みとしては、WEB上に存在する大量の画像と文章を学習し、そこから適切な画像を生成しているそうです。いわゆる“ビッグデータ”の活用です。Midjourneyは新しいアップデート版がリリースされていて日々進化を続けていますし、インターネット上に画像が増えていくことで、同じ単語を入れても異なる画像が生成されることでしょう。

今回の記事では、AIと人間の創造的なアプローチの違いはどこにあるのか、誰もが知る世界的な名画、『モナ・リザ』を使いながら具体的に解説をしていきます。

AIが表現する創造的な『モナ・リザ』

さて、それでは本題に入っていきたいと思います。
前回は歴史上の人物であるレオナルド・ダ・ヴィンチをリアルに描いた画像をご紹介しましたが、今回は『モナ・リザ』に置き換えてMidjourneyで作成してみました。絵の中の人物もリアルに表現することができます。

キーワード:Mona Lisa, hyper realistic, detailed 4k


4人のリアルな女性が出てきました。思ったよりも少し若く見えます。まるで絵から飛び出してきているようで面白いです。
次に表現を変えて、『モナ・リザ』を墨絵で描いたらどうなるのかを試してみました。それがこちらです。

キーワード:Mona Lisa painted in sumi-e ink


雰囲気が異なる4パターンのスケッチが出てくるので、自分の好みに合うものを選ぶことができますし、気に入ったものを選んで少しずつ変化させることもできます。私は左上の『モナ・リザ』を選び、別のバリエーションを増やしてみました。微妙に表情や背景などが変化していることに気がつきますでしょうか。


他にも水彩画風やアニメ風という表現もできるので、自分の気になる対象で試してみるといいでしょう。

異質なものを融合させると何が起こる?

さて、今度は『モナ・リザ』and○○という組み合わせをするとどうなるかを試してみました。あえて“カレー”という単語を選び、モナ・リザとはまったく関係のないもので設定してみました。

この記事を読み進める前に、もしあなたが『モナ・リザ』とカレーを融合させるなら、どのような表現をするのかを一度考えてみてください。

そして、自分で絵を描いてみて、それからAIで制作した作品を見比べてみると気づきがあります。そこに人間にしか思いつかない想像力が隠れているかもしれません。

キーワード:Mona Lisa and Curry

Midjourneyはこのような異国の『モナ・リザ』を作成しました。手前のテーブルにはカレーのナンが置かれてあり、服装はインド風、背景にもタージ・マハルのような建物が見えます。シンプルな単語を入れるだけでこのクオリティの絵ができるのには驚きです。


微調整していくと、隣にインド人の男性が現れました。特に男性を追加という指示はしていないのですが、勝手にAIが判断して提案をしてくれます。


私自身、『モナ・リザ』とカレーを融合させるなら、どんな表現ができるかを思案し、イラスト風ですが実際に描いてみました。


カレーといえば、人参や玉ねぎ、牛肉などの具が入っていますが、具の色合いとカレーのイメージカラーである黄色をベースに配色しています。また、背景の空には、うっすらとカレー粉をまぶして文字通りカレーと『モナ・リザ』を融合させました。

この作品のポイントは『モナ・リザ』の顔で、目と鼻と口は米粒で表現しています。作品名も、MONA CURRYにしてみました。こちらとAI作品を見比べてみると、それぞれまったく異なるアプローチで、『モナ・リザ』とカレーを融合させようとしていることがお分かりになると思います。

AIと人間の想像力の違いは何か?

AIは、“量が多いものがふさわしい”という判断をしています。ネット上に同じ情報が、たくさん上がっているということはそれだけ重要であり、多くの人に関心を持たれていることの証です。

膨大な情報の中から選別して表現を生み出すAIに対し、人間の場合はその個人が人生で培った経験や考え、独自の感性から紡ぎ出します。

そのため、今回見比べたように、人間にしか思いつかない表現があるはずです。

AIを使うことで、瞬時に見栄えのいい作品を生み出すことが容易な時代になりました。しかし、現段階では、AIは背景にあるストーリーを熟慮するほどの制作はしてくれません。Midjourneyの場合、4つランダムに提示してくれますが、選び取るのは人間の仕事です。

Midjourneyにどのような意図を持って作成を指示するか、そして出来上がった画像をどのように使用していくか、そこは人間にしかできないクリエイティブな役割といっていいでしょう。実際に、イラストレーターの方で、自分の作品の中にMidjourneyで作成した画像を融合させている人もいます。

AIも活用しながら人間の想像力を発揮していくとより魅力的なものが生み出されるはずです。ぜひご興味のある方は一度試してみてください。


『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』(飛鳥新社)を出版し、
発売2週間で重版。翌年の2020年には、韓国語版も出版される。桜川Daヴィンチさんの紹介ページは→こちら

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