『モナ・リザ』に学ぶ世界一の引き寄せの法則【注目編】

[ 天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意 ]

『モナ・リザ』は盗難されていた

ルネサンスの天才画家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた傑作『モナ・リザ』は、現在ルーヴル美術館で展示されていますが、かつて盗難されたことがあります。
そしてこの盗難事件が世界的なニュースとなり、世間の目を『モナ・リザ』に向けるきっかけになりました。

前回の記事では、『モナ・リザ』が1枚の絵画として技術的に優れていたことを3つの側面からお伝えし、世界的名画の地位を得たことをご紹介しています。

前回URL:https://digi-den.net/sakuragawa-davinci/category-psychology/2023/05/29/16241/

今回は絵そのものではなく、他の要因で絵が注目されることにつながった背景を中心に解説していきます。

『モナ・リザ』を盗んだのは誰か?

1911年、ルーヴル美術館から忽然と姿を消した『モナ・リザ』。ちょうどこの日は美術館の休館日で、最初は撮影か何かで運ばれたのだろうと盗難に気がつかず、翌朝に大騒ぎになりました。新聞の一面記事となり、世界を駆け巡るニュースとなりました。

犯人探しが始まり、画家のピカソが逮捕されています。ピカソは以前盗難品である彫刻を購入していた経緯があって疑われたのですが、実際は事実無根の無罪。

犯人が判明したのは、『モナ・リザ』が盗まれてから2年後。犯人はイタリア人のヴィンチェンツォ・ペルージャで、ルーヴル美術館に出入りをしていた作業員でした。ペルージャは、『モナ・リザ』を保護するガラスケースの設置作業の経験があり、業者として不審者には見えなかったのでしょう。

『モナ・リザ』を持ち帰ったペルージャは、パリ市内にあるアパートにずっと隠し持っていました。そして、2年後にイタリアの画商に「我が国の誇りの象徴」を持っていると打診をして転売を試み、鑑定の結果本物と判明しました。

ペルージャはイタリア人であるダ・ヴィンチの絵画がフランスにあるのは納得できないとして、“愛国心”から絵を盗んだと主張し、祖国に帰還させたことに対する報酬を期待しました。

もちろん窃盗の罪で逮捕されますが、7ヶ月間の懲役期間を経て釈放され、愛国心を刺激されたイタリア人の間では、祖国に名画を取り戻した英雄と評価されています。

その後、『モナ・リザ』は一時的にイタリアで展示された後、無事ルーブル美術館に帰還。現在、『モナ・リザ』は防弾ガラスケースに入れられて展示されています。盗難被害にあったこと、その後、来場者に酸をかけられる事件が発生したことから、特別な保護をすることになりました。

2019年、レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年展がルーヴル美術館で開催された際には、防弾ガラスケースもより透明度が高いガラスに新調され、ガラスケースが埋め込まれている背景の壁もベージュから紺色に一新。展示室は、より特別感がある重厚な雰囲気になりました。ルーヴル美術館では、『モナ・リザ』の他に、このようなVIP待遇をしている絵画は他にありません。


盗難に遭って世界的なニュースとなり、その後、他の絵画では決してされていない特別扱いの展示をされることで、一気に『モナ・リザ』への注目度が高まりました。

以前、『モナ・リザ』にケーキが投げつけられた事件についても記事を書いておりますので、よければ合わせてお読みください。

モナ・リザのケーキ事件から学ぶアートの意義
https://digi-den.net/sakuragawa-davinci/category-culture/2022/06/06/10289/

裸の『モナ・リザ』

『モナ・リザ』が絵画として特別扱いされ、世界一有名な名画と言われるのは、ダ・ヴィンチの死後もなお注目される事件が幾度も起きていたことがその一助になっています。

『モナ・リザ』はダ・ヴィンチにとって、最高傑作の1枚であり、10年以上に渡って死ぬまで加筆修正をするほど思い入れが深い作品です。

弟子たちが『モナ・リザ』の模写をした作品が残っていますが、少し異様な作品があります。『モナ・ヴァンナ』と言われる“裸のモナ・リザ”です。

『モナ・ヴァンナ』(裸のモナ・リザ) 左:弟子のサライ作 右:レオナルド・ダ・ヴィンチ作


右のモノクロの作品は、フランス北部にあるコンデ美術館が所有している作品で、ルーヴル美術館の調査チームによると、ダ・ヴィンチの真筆である可能性を指摘しています。

師匠の作品にならって、着色して完成させたのが左の作品で、作者は弟子のサライが有力視されています。

なぜ、ダ・ヴィンチがこのような“裸のモナ・リザ”を描いたのかは、ハッキリとはわかっていません。

しかし、いつの時代でもヌードというのは衝撃的なインパクトがあります。
私は、『モナ・リザ』と類似する構成であえてヌードを描くことで、より正規の『モナ・リザ』に注目させようとした意図があったのではないかと推測しています。

ダ・ヴィンチ自身が仕掛けた鑑賞者を惹きつけるための一種の工夫だったと考えてみると、衝撃的な告知をすることが何かを伝える上で有効な手法であるといえるのではないでしょうか。

まず知ってもらうことが先決

私たちが何か人に伝えたいものがある場合、そのコンテンツの内容を素晴らしいものにすることは必要不可欠ですが、同時にそのサービスやモノの存在を知ってもらわなくてはいけません。

どんなに素晴らしいものがあったとして、知らなければ誰も触れることができないからです。

しかしながら、超情報化社会に生きる私たちには、毎日スマホやパソコンのインターネットを通じて大量の情報が入ってきます。

情報の処理がしきれないため、自分が関心のあること以外はスルーしています。

他の情報に埋もれないように認知させるには、“衝撃的な告知”を使う必要があります。

たとえば、携帯電話の通信会社の例でいうと、後発で参入した楽天モバイルが、当初「月額0円」(月当たりの通信量が1GB以下)を売り文句に、ショッキングピンクのカラーでのCM展開で強い印象を与えました。その後プランは変更になっていますが、他社から乗り換えた人も多かったのではないでしょうか。

今は誰でもSNSで拡散をすることができる時代です。ウソをついてはいけませんが、どうすれば衝撃的な告知になるかを考えてみるのがおすすめです。

うまく有効活用して自分の伝えたいことを発信していきましょう。


『超訳ダ・ヴィンチ・ノート』(飛鳥新社)を出版し、
発売2週間で重版。翌年の2020年には、韓国語版も出版される。桜川Daヴィンチさんの紹介ページは→こちら

【桜川Daヴィンチさんの書籍、そして最近ハマっているものをご紹介します!】

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。