『モナ・リザ』に学ぶ世界一の引き寄せの法則【背景編①】

[ 天才ダ・ヴィンチに学ぶ人生の極意 ]

『モナ・リザ』の背景にも意味があるのか?

世界的な名画である『モナ・リザ』は、ダン・ブラウン著の小説『ダ・ヴィンチ・コード』の中でも絵の中に暗号が隠されているのではないかと話題になっていましたが、これまで俗説を含むいろいろな解釈がなされてきました。

実にさまざまなミステリーに包まれた絵画ですが、前回は2回に分けて、女性の肖像画は一体誰を描いたのか、特に人物にフォーカスしてご紹介しました。

人物編①
URL:https://digi-den.net/sakuragawa-davinci/category-psychology/2023/06/12/16480/

人物編②
URL:https://digi-den.net/sakuragawa-davinci/category-psychology/2023/06/19/16638/

今回は人物の後ろにある背景描写は何を意味するのか、を考察していきたいと思います。そもそも、ただ単に風景を描いただけで、意味なんかあるの? と疑問に思う方もいるかもしれません。本当のところは作者のダ・ヴィンチに聞いてみないとわかりませんが、なるべくダ・ヴィンチの言葉を引用しながら解説していきます。

背景描写の新発見!?

『モナ・リザ』の背景描写について、従来の説を覆す新説の発表がありました。
背景には右側に、よく見ると、『モナ・リザ』の肩の辺りにアーチ状の橋が描かれています。


これまでトスカーナ州にある「ボビオ橋」や「ブリアーノ橋」ではないかと推測されてきましたが、いずれもアーチの数は6つあり、『モナ・リザ』で描かれている4つのアーチの橋とは異なります。

歴史家のシルバノ・ビンチェティは、トスカーナ州ラテリーナにある「ロミート・ディ・ラテリーナ橋」こそが、『モナ・リザ』で描かれている橋のモデルなのではないかと主張しました。

「ロミート・ディ・ラテリーナ橋」は、崩れ落ちて現在は廃橋となっており、実際には1つのアーチしか確認できませんが、両岸の距離と橋のアーチの大きさを測定すると、元々は4つのアーチがあったのではないかという見解を発表しました。

この新説がきっかけで、観光スポット“モナ・リザ橋”としての整備が推進されており、橋がある地域の活性化が期待されています。

参考URL:This is media
https://media.thisisgallery.com/20276670

知られざるダ・ヴィンチの秘密の描写

研究者は、人物や背景に描かれた場所がどこだったのかを特定しようとしていますが、案外、的外れな調査をしている可能性があります。

それはなぜかというと、このようなダ・ヴィンチの言葉があるからです。

「数多くの美しい顔立ちを眺めて、その中から優れていると思われる部分を集めよ」

出典:絵画の書 レオナルド・ダ・ヴィンチ

『モナ・リザ』は、ある特定の人物では実はなく、優れた顔のパーツを集めてそれを組み合わせ、理想の美を体現した人物を描いていたのかもしれません。

また、人間以外にも、ダ・ヴィンチがドラゴンを描く際には、このように言っています。

「架空の動物を描く際、どうすればリアルに見せることができるか。それには、実在する動物に似せる必要がある。たとえばドラゴンを描きたいのなら、頭はマスティフ犬かポインター犬、眼は猫、耳はヤマアラシ、鼻は猟犬、眉はライオン、額は老いた雄鶏、首は亀を参考にすればいい」

出典:アシュバーナム手稿 レオナルド・ダ・ヴィンチ

それぞれの動物の特徴を抽出し、合体させて生み出すプロセスであることが分かります。

次に背景についてですが、ダ・ヴィンチは、西洋絵画史上、初の単独風景画を描いた人としても知られています。ルネサンス時代、キリスト教主題のテーマやギリシャ神話の登場人物がメインに描かれる中、自然は背景に描かれる脇役的な扱いにすぎませんでした。そのスケッチがこちらの作品です。

風景画 レオナルド・ダ・ヴィンチ


21歳で描いた風景画で、故郷のヴィンチ村の風景とも言われていますが、見たままに描いたのではなく、一説には、造形的に再構築されていると指摘されています。アルノ川の渓谷の代わりに、ニエーヴォレ渓谷が描かれ、城も理想化して描いてあるという報告もされています。

そして、このような風景を再構築した手法が正しいのであれば、ピカソに先駆ける現代的な感覚であると評価されています。

つまり、ダ・ヴィンチの描写スタイルを鑑みると、『モナ・リザ』で描かれた4つのアーチの橋も、見たままに写し取って描いていない可能性があるということです。

背景にも完璧を求めるダ・ヴィンチの言葉

ダ・ヴィンチは絵画を制作する際、妥協は許しませんでした。絵画に向かう姿勢についてこのように言っています。

「人生のすべての時間を費やして、ある一つのことだけを学び、ある程度の完璧な域に達したとしても、確かにそれは大したことではない。だが、絵画とは、自然の生み出したすべてのものと、人間が人為的に作り出したすべてのものと、最後に、眼で想像できるすべてのものを受け入れて、その内部に取り込むものであることを、われわれは知っているので、わたしは人物像だけを得意とする人は、欠陥のある師匠であると思う。人間の多様な動作、動物、樹木、草、花、山、平野、泉、川、都市、公私の建造物、道具類、多彩な衣装、装飾品、工芸品。立派な画家と呼ぶ者なら、等しく立派に仕上げるべきものなのだ」

出典:絵画の書 レオナルド・ダ・ヴィンチ

人物だけうまく描けたとしても画家としては欠陥であり、どんなものでも高いレベルで描写できてこそ立派な画家であるといいます。

実はこの点が他のライバル画家と差別化できるポイントとなります。

なぜ無数といえるほどの絵画が存在する中で、一際『モナ・リザ』が光芒を放つのか。その理由の1つは、一切の妥協を排した圧倒的なクオリティにこだわったからなのかもしれません。

次回はより具体的にライバル画家の描写と比較し、背景に込められた意味について考察をしていきます。お楽しみに!


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