バーミヤンはファミレスか?

これは、現役バリスタ・柳隆晴(やなぎ・たかはる)さんの連載が始まるにあたって、担当編集の佐藤が執筆をお願いすることになったきっかけをつらつらと書いたものです。それなのになんでこんなタイトル? それは読んでいただければわかります。コーヒーをよく飲むみなさんなら私の気持ち、わかっていただけるはず。そんな話です。

よく飲むけど、よくわからない、それがコーヒー!?

私は毎日、コーヒーを飲む。オフィスに出勤する日も、テレワークで自宅で作業する日も、かならずセブン−イレブンに寄ってコーヒーを買う。出張のときは東京駅でスタバに寄り、コーヒーを買ってから新幹線に乗り込む。

スタバはめったに利用しない。セブン−イレブンよりも高いからだ。毎日飲んでいては私のふところは寒くなる一方である。でも、出張のときはいいものを飲もう……だからスタバでコーヒーを買う。

しかし、なぜ「スタバ=いいもの」と思っているんだろう。セブン−イレブンのコーヒーだっておいしい。それは単純にセブン−イレブンよりも価格が高いからである。ちなみに、ほかのコーヒーチェーンはそんなに利用しない。そこにあまり理由はない。なんとなくだ。

そんなスタバではまれに、店員さんから「今日は2種類の豆をご用意してまして……」と聞かれることがある。しかしコーヒーを価格でしか選べない自分は答えることができない。いつも「おすすめのほうで」となる。

わからないからなんとなく。もしくは高いか安いか。よく飲むものなのに、選ぶのは価格かなんとなく……それってなんかもったいなくない!?

バーミヤンはファミレスか?問題

世の中にはなんとなくで済ましていることが少なくない。これは私に限った話ではない。先日、後輩と話していたら耳を疑う発言が飛び出した。

「バーミヤンはファミレスじゃないですよ」
「はあ? どこからどう見てもファミレスじゃん」
「むしろなんでファミレスだと思うんですか?」

みなさんはこんなことを聞かれたらなんと答えるだろうか。ファミレスと中華が結びつかない? いや、そんなことはない。ファミレスを調べてみると「ファミリー客層を想定したレストランの業態」といった回答が出てくる。中華だってファミリーをよく見かける。でもそれなら日高屋もレストラン? いや、レストランというイメージはないな……。もしかして、みなさんもバーミヤンはファミレスじゃないと思ってる!?

この議論は答えが出ないままいろいろと派生していった。

「デニーズはサイゼリヤと同じですよね」
「え、君セレブ? サイゼリヤとガストがリーズナブルで、デニーズはファミレスの中では高価格帯じゃん」

「じゃあ、スタバとドトールは同じですよね」
「ドトールはコンビニとスタバの間くらいじゃない?」

もうまったく収拾がつかない状態である。お互い、なんとなくで考えていることが多すぎた。この日、仕事がまったく進まなかったのは言うまでもない。

コーヒーのことを知ったら、もっとおいしく飲めるのでは!?

もちろんあいまいなままのほうがいいことだってあるかもしれない(もうファミレス議論はあきらめた)。ただ、コーヒーに関しては判断基準が価格だけなのはなんとももったいない。もっと自分なりの基準なり知識なりがあれば、お店やコーヒーを選ぶ楽しさが増すんじゃないだろうか。

だからといって、私があーだこーだと言っても、しょせんは素人が騒いでいるだけである。先述の後輩に聞いてもどうせ「バーミヤンはファミレスじゃないっすよ、フヒヒ」という答えが返ってくるだけだ。

それなら、専門家に聞いてみよう……ふとそういう考えに至ったとき、すぐさま浮かんだのがこれから紹介するバリスタ、柳隆晴さんだ。柳さんをネットの大海で見つけたのは、私が自社のサイト「ミライのアイデア」でフラッシュコーヒーというシンガポール発のコーヒーチェーンの代表を取材したのがきっかけだ。

「これから日本でも店舗を拡大していく」。そんな記事をアップした数日後、あっという間に日本から撤退してしまった。「マジか……」とTwitterでくわしい情報を探していたら、フラッシュコーヒーでバリスタとして働いていた柳さんのアカウントを見つけた、という次第である。

柳さんはなんといっても、「元コーヒー嫌い」である。この時点でもう興味が引かれるのだが、現在はバリスタとしてバリバリ活躍するプロ中のプロだ。専門家なら、きっとコーヒーについていろいろ教えてくれるはずだ。

柳さんに連絡を取り、デジタルデンでの執筆を依頼すると、快諾していただいた。連載タイトルは「元コーヒー嫌いのバリスタがコーヒーで生活を豊かにするコツ教えます」。コーヒーにまつわるさまざまな話を書いていただく。もともとコーヒーが好きな人はさらに好きに、コーヒーにあまり興味がなかった人でもこれを機会に飲んでみたくなる、そんな内容になる予定だ。第1回は明日アップ(初回からおもしろい。やったぜ!)。ぜひご期待いただきたい。


佐藤 直樹

知らないモノ、コト、価値観に出合う場所を創造したいです。 白夜書房で書籍を編集したり(目下、『ゲームさんぽ 専門家と歩くゲームの世界』を編集中!)、Webサイト「ミライのアイデア」を運営したりしています。 https://twitter.com/byakuyabizbooks
佐藤直樹さんの紹介ページは→こちら

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