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銚子電鉄に声の提供を決めた瞬間。それは、複数が一本の線でつながった時

[ WEB車掌SEKIDAIの「新たな世界に駆け込み乗車」 ~乗って気付いた異次元な世界!~ ]

1日の会社全体の売り上げは、社員1人分の日当も払えない額…

「4,480円」
何の金額かわかるでしょうか?

実はこれ、2020年4月18日、千葉県のローカル線・銚子電気鉄道株式会社(以下、銚子電鉄)が計上した鉄道事業の1日の売り上げです。この数字を見たらもうお分かりの通り。社員1人分の日当にすらなりません。

銚子電鉄線は、地元の方々や全国の鉄道ファンから愛されている、全長わずか6.4kmの路線。2006年、銚子電鉄の公式サイトトップページに
「電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!! 電車修理代をかせがなくちゃ、いけないんです」
という切実なメッセージが載せられたことでも有名です。

現在は、電車運行維持のために『電車を止めるな!』という映画を上映するなど、幅広い活動をしています。これまでにたくさんの方から、銚子電鉄の経営を支えている「ぬれ煎餅」を購入してもらったり、クラウドファンディングなどによって資金を集めたりして、電車を修理するなど、資金的な面で応援されてきました。
このような取り組みは素晴らしいですし、継続していくことは大切です。確かに、みんなで知恵を絞れば、無限の支援方法が次から次へと湧き出てくると思います。

現在、新型コロナウイルスの影響で世界的に大変な状況です。でも、どの企業だって、「赤字だから」という理由で簡単に撤退はできません。

もちろん鉄道も同じです。たやすく廃線にすることはできません。わかりやすいところでいうと、通勤や通学さらには通院など、ほぼ毎日の生活を支える重要な役目を担っているから。

それ以外にも、駅員さんや乗務員さんと利用者が笑顔で挨拶を交わすという、地域の大切なコミュニケーションの場にも、鉄道はなっているからです。特に銚子電鉄は、地元住民と職員との触れ合いがとても濃密でした。それを見た僕は、「絶対にこの光景を失いたくない!」と、強く思ったのでした。

他人事から自分事に変わった瞬間

僕は、テレビ撮影などで千葉県を訪れるといつも「銚子電鉄」が気になっていました。様々なメディアにおいて、銚子電鉄の経営状況のことや、絶対に諦めずに次から次へと新しい取り組みをされていることが報道されています。

「大変だな…」と思う一方で、社長をはじめ、社員や関係者の皆さんが存続をかけて、鉄道事業以外のことにも力を入れたりと、一生懸命活動されていることに感銘を受けています。「何か力になりたい!」。そう思っても、僕一人ではなかなか力になる事もできず、「頑張れ!」としか言えない自分にモヤモヤしていました。

数日たったある日、僕の目に飛び込んできたのが、
「【経営破綻?】銚子電鉄の1日の運賃収入が4480円に 社員1人の日当にも満たない状況」
という記事。冒頭にも述べました通り、本当に厳しい状況です。

鉄道は様々な設備を維持していくために、莫大なコストが掛かります。電車は3年に1度は車検があり、1編成(2両)を維持するのにも約1,500万円も掛かります。これは、自動車と同じで、受けないと走らせることができないのです。

僕はもともと鉄道員です。修繕や設備投資に掛かる費用がどれくらい大きなものかは、心が痛むほどわかります。しかし、この現実を目の当たりにして「頑張れ!」と言葉だけ無責任に投げかけるのはもうやめることにしました。

とはいっても、気持ちばかり前に進んでも上手くはいきません。そこでまずは「僕に何ができるのだろう?」と真剣に向き合うことにしたのです。

家で悩んでいても仕方ない…。そうだ、現地に行こう!

僕はネット上に出ている銚子電鉄の記事や、銚子電鉄の竹本社長が執筆された『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』(イカロス出版)を購入し、何度も読み返しました。他にも、YouTube『【銚子電鉄】激つらチャンネル』や、映画『電車を止めるな!』を観て、自分にできることを探していったのです。

しかし、いくら考えても答えが出ません。そんなことが何日も続いたある日、
「悩んでいても仕方ない…。そうだ、実際に銚子電鉄に乗りに行こう!」
と思い立ち、実際に銚子の地を訪れることにしたのです。

1日目は、銚子駅から外川駅までの全区間を電車で往復。2日目は、自転車を借りて沿線の様子を目に焼き付けました。そして3日目は、電車や自転車で見逃したところはないか、確認のために全区間の6.4kmの道のりを、全部歩きました。JR東日本在籍時に保線と車掌を経験していた僕は、五感を使って保線と車掌の両方の視点から、銚子電鉄のためにできることを探したのです。しかし特にこれといった収穫はなく、3日間が過ぎていったのでした…。

一生懸命してきた経験は、必ずどこかで活かせる!

特に手応えも感じることのないまま、ついに最終日の4日目を迎えることに。すると、以前に名刺交換をさせていただいた銚子電鉄の常務から、一本の電話が僕の携帯に入ってきました。なんと、この活動を知った柏木常務が、僕を銚子電鉄の本社に招いて下さったのです。

仲ノ町駅に隣接する本社に伺い、様々なお話をさせていただくことになりました。打ち合わせの最中も、窓の外で銚子電鉄線が力強く走っています。
2時間ほどお話しをさせていただく中で、「コロナ後のインバウンド復活を見据えて、新しい取り組みを考えている」という話題になりました。

するとその時、柏木常務から一言。「実際に銚子電鉄に出向いて、乗務員さんに英語での応対やアナウンスの指導をされてはどうか」と、僕に提案してくださったのです。僕の頭のてっぺんから足の爪先まで、物凄い電流が走ったのでした。
「そうだ。僕自身が英語アナウンスをしたらいいんじゃないか!!」
決意は固まりました。

僕はJR東日本時代に高崎線の車掌として、実際に電車内で英語アナウンスをしていました。その経験を活かして、銚子電鉄に合った英語アナウンスを担当させていただくということです。柏木常務をはじめとした銚子電鉄側と、意見が一致した瞬間でした。

銚子電鉄の乗務員さんに、英語によるアナウンスの講習をするという話でしたが、それはそれでいいのですけど、「僕の声を録音して渡せば、すぐにでもお役に立つことができるのでは?」とひらめいたのです。

これまでに、YouTuberをはじめとした様々な方が銚子電鉄に資金面で支援を行ってきました。ただ僕はお金だけではなく、知恵を絞れば様々な形で支援できるとわかったのです。これからも自分の強みを活かして、役に立ちたいと思っています。

アナログからデジタルへ。これが「WEB車掌」に込められた意味

今回のことは、アナログの世界からデジタルの世界に飛び出したいと思って行動していたからこそ、生まれたアイディアがあったからこそ果たせたといえます。

どういうことかというと、アナログの世界でのやり方だと、乗務員さんへ英語の指導をするか、僕が実際に英語放送を肉声で行うにとどまります。つまりアナログの世界では、リアル(現場)で行うことに限定されるということ。それも僕にとってとても嬉しいことですし、できる限りご協力したいのですが、物理的にも時間的にも限界があります。

一方でデジタルの世界での手法を取り入れれば、録音した僕の声を大量コピーして量産し、必要な現場すべてで活用できます。ただし、先ほど書きましたアナログの世界でしてきた経験があってこそ、実現できることでもあります。実際に僕は英語アナウンスについて、JR高崎線にて肉声でしてきましたし、指導をしたこともありました。

僕の連載記事のタイトルは「WEB車掌SEKIDAI」としているのですが、これにはちゃんと意味があります。WEB上でも車掌となって、皆さまのお役に立ちたいのです。デジタルの力を使えば、それが実現できます。それも、とてもたくさんの方へ、そして日本全国という広い範囲へ(その気になれば全世界へ!)。

無限の可能性を秘めたデジタルの世界で、今回のような僕の挑戦はこれからも続きます。ただしそれができたのは繰り返しになりますが、アナログの世界で培ってきた経験があったからこそ実現できたのです。


銚子電鉄の竹本社長との対談風景。この対談の前に、銚子電鉄へ贈るアナウンスの録音をした。詳しくは「声が貴重すぎる寄付になってしまう理由」

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