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鉄道員が『電車でGO!』をするとどうなるのか!?

[ WEB車掌SEKIDAIの「新たな世界に駆け込み乗車」 ~乗って気付いた異次元な世界!~ ]

鉄道員は電車が好きな人ばかりではない!?

鉄道員になると“必ず”と言っていいほど、聞かれることがあります。それは「電車が好きだから鉄道会社に就職したの?」とか「『電車でGO!』って得意なの?」という質問です。
初めにお応えしておきますが、鉄道員全員が鉄道に興味ある人ばかりではありません。警察官に「パトカーが好きだから警察官になったの?」と聞く人はいないでしょう。それと同じ感覚です。
鉄道員で家に鉄道グッズが一つもない人は結構ザラにいます。そのため、僕自身もこれらの質問は、“あいさつ代わりの言葉”だと認識していました(笑)。
しかしながら、実際は本物の電車運転士がゲームでハンドルを握ると、どのような結果が出るのかやっぱり気になる人は多いようです。
僕は車掌でしたから、実際の電車を運転したことはありません。また『電車でGO!』のようなゲームも数回程度しかプレイしたことがありません。
「よくわかりません」と言ってしまえば、そこで話が終わってしまいますので、僕が実際に運転士から聞いていたことを交えてお話ししていきますね。

プロの乗務員が『電車でGO!』をやってみた

もう15年以上前になるでしょうか。職場の旅行でゲームセンターに行き、『電車でGO!』をみんなでやりました。
端から見れば若者が何人も集まって盛り上がっているわけではありますが、状況を落ち着いて見てみるとプロの運転士が集まって、腕っぷしを競い合うわけですから、現在のようにSNSが普及しているときであったら、撮影のネタになるような状況でしたね(笑)。

はじめのうちは、みんな興味本位で運転席に座り、「リアルだな」とか「ここは実際と違うな」などと評論家がたくさん生まれてきました(笑)。
そのような状況ですから、さぞかしゲームも上手いのだろうと思って見ていると、意外にも「おぉ!!やべぇ!!」などと笑い声が聞こえてきます。
「お前、こんなんじゃ乗務しないほうがいいぞ(笑)」「本物の電車のほうが簡単だよ」
と、驚くべき会話が飛び出すので、僕は興味津々です。
中には、実際の電車とゲームとの違いを力説してくれる運転士もいました。その中でも一番多かった意見は、目の前の画面や速度メーターでしか状況の判断ができないため、停止位置不良(駅に到着する際に停車位置がズレてしまうこと)を起こすというものです。
最近のゲームはクオリティが上がってきましたが、実際の運転台に座ったときの状況と比べてみると、全く感覚が違うそうです。
ノッチ(自動車でいうアクセル)やブレーキを入れたときに生じる多少の振動や、編成両数や車内の混み具合などによる重量の変化、それに伴う減速や加速も全く同じものはないといいます。

確かに、僕もレーシングゲームをしたことがありますが、実際の車とゲームとではアクセルやブレーキの感覚が全く異なります。ブレーキも最後まで踏み続けていると、停車の際にガッコンとすごい衝撃が生まれます。
完全に停車する前に少しブレーキを緩めると、スッと止まることを経験の中から学び、実践しているわけです。電車もこれと全く同じなのですね。

乗務員の普段行っている訓練とは!?

鉄道員は、どのような状況でも安全を守らなくてはならないため、定期的に訓練を受けます。
「訓練」と言っても、取り扱いやルールに変更がある度に机上でその知識を頭に叩き込む「机上(きじょう)訓練」と車両基地内で実際の電車を使った「現車(げんしゃ)訓練」というものがあります。その他にも、本当に『電車でGO!』のようなシミュレーターで行うものもあります。
シミュレーター訓練は、ものすごい性能の車両型シミュレーター室の中に入り行います。もちろん、実際の乗務員室を忠実に再現してあります。無線の位置や、各種機器類など全て本物です。
コンピューターの中に、様々なシチュエーションがプログラムされており、実際の現場より、シミュレーションのほうがドキドキするほどです(笑)。
火災のシミュレーションの場合、実際に白い煙がモクモクと立ち込めますし、緊急停車した際には、ブレーキの力で身体が前に持っていかれるほどの圧力がかかります。ブレーキを掛けたときの細かい振動までリアルに再現されていて「これほどまでか!!」と驚きを隠せません。

このように、実際に緊迫した状況で訓練を受ける環境が整っているからこそ、実際のトラブルの場面でも鉄道員は落ち着いた対応ができているわけです。
実は、あまり知られてはいませんが、訓練に大会があるほどです。驚くことにそれは日本国内だけでなく、世界大会まであります。
僕も英語アナウンスをしていたこともあって、『インターナショナルレールロデオ』という世界大会の候補者になった経験もあります(笑)。
まだまだ、この世の中にはたくさん知らないことがありますね。

何事にも日頃の訓練が必要

日頃から訓練をしていれば、実際のトラブルに遭遇した際にも落ち着いて行動ができます。そのような観点から物事を考えると、ゲームセンターにあるようなシミュレーターや家庭用のゲームなどによっても良い経験が得られることも多い気がします。
僕は車掌になったときに先輩から「車掌の仕事は刑務所の塀の上を歩いていることと同じ」と教えられました。
これは、「気を抜いていようがいまいが、事故が起きてしまったら一瞬にして刑事罰を受けてしまうほどの事態にもなりかねない」という意味です。
事故が起きれば、警察官による取り調べを受けます。過失が認められれば、更に聞き取りが開始されます。本当に、一瞬も気の抜けない仕事です。

スポーツでも一流選手はイメージトレーニングを欠かしません。これは鉄道員も同じです。「この地形だからブレーキはこのタイミングで・・・」「電柱から電柱まで○秒だったから、現在スピードは○キロ出ている」など常にシミュレーションを行っています。
僕も英語アナウンスをしていたときには、外国人の乗客がどのようなことに不安になり、どのような情報を欲しがっているのかを常に考え乗務していました。
これから鉄道員を目指す人は「ゲームだから・・・」と甘く見ず、全力でプレイしてみてください。
では、また♪


「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら

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