意外と知られていない!? 山手線1周の乗り方!

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身近すぎて知らない人が多すぎる山手線の運賃

日本一有名な路線と言っても過言ではない「山手線」。この路線は知らない人はいないくらい有名です。しかし、この山手線の乗り方については知らない人が多くいます。今回は「灯台下暗し」であまり考えたことのないような山手線の裏側をシェアしていきたいと思います。

まず、山手線の特徴は都心部をぐるりと一周していることですね。1周の距離は約34.5kmで、約1時間で乗車した駅に戻ってくることができます。SuicaやPASMOなどのICカードで乗車している人であれば、山手線内を移動する際にいくらかかっているのか確認する人もあまりいないでしょう。
例えば、東京駅から一つ隣の有楽町駅までの乗車券を購入すると140円(ICだと133円)です。これは内回りでも外回りでも変わりません。高崎線のように、高崎駅から乗車して上野駅が終点と経路が1つしかないのではなく、山手線は目的地に行くための経路は内回りと外回りの2通りあるわけです。

このような条件ですから、「山手線を何周できるか試してみたい」「酔っぱらって気付いたら3周していた」なんて言う人もいるかもしれませんね。
しかし、そのときに「乗車券はどうするのか?」という疑問が浮かび上がります。今回は山手線乗車時の基本的な運賃の考え方についてお伝えしたいと思います。

当たり前すぎて感覚が変わってしまう人たち

まず、SuicaやPASMOなどのICカードで列車に乗る場合、残高が十分ある場合やオートチャージ機能(カード残高が一定の金額以下になると自動でチャージしてくれる)を設定している人は運賃をあまり気にしていないことが多いでしょう。僕も改札を出る際に「あっ、今回は133円だったのか!」といちいち気にしていません(笑)。普段から鉄道を使っているとそのうちに当たり前になって、近距離の移動だとあまり金額は気にしなくなりますね。

特に都心は鉄道網が密に張り巡らされているので、どのような経路でも最短の金額で目的地に行っても良いというルールがあります。
山手線はぐるりと1周しているわけですから、東京駅から外回りの列車に乗って1駅(2分)で有楽町駅に行くこともできますし、逆に内回りの電車に乗って上野や池袋、新宿方面に行ってから1時間ほどかけて行っても運賃は同じです。また極端な話、降りなければ何周もできる条件ではあります。

そのような感覚を持ち始めると、「友だちが寝坊して1時間くらい準備に時間がかかるから、時間が来るまで山手線に乗っていよう」という人や、真夏の暑いときに「エアコンが効いているから図書館代わりに6周すれば勉強や仕事が捗る」などと考える人が出てきます。このような質問をよく受けるので声を大にして言っておきます。

「その考え方は今すぐやめてください!! 不正乗車になってしまう恐れがあります!」ドキッとした人は、一緒にしっかりとその仕組みを理解していきましょう。

一歩間違えると不正!? 山手線の特殊な考え方

山手線以外の路線だとわかりやすいので、僕が乗務していた高崎線で考えてみましょうか。例えば、高崎から上野まで行き、高崎に戻ってくるとします。すると必要な乗車券は、往路の高崎から上野と復路の上野から高崎までの往復乗車券です。これは当たり前ですね。

では、上野駅から山手線に乗った場合はどうでしょうか? 内回り・外回りのどちらに乗車しても1時間ほどで上野駅に戻ってきますね。この場合、高崎線と同様に片道乗車券では乗車することができないのです。

基本的に鉄道は移動するために使います。上野駅から上野駅までの片道乗車券は存在しないのです。同じ駅で乗り降りするのであれば列車に乗車する必要ないですから。なので、どうしても上野駅で山手線に乗車して、ぐるりと1周して上野駅に戻ってきたいのであれば高崎線のように往復乗車券が必要となるのです。
よく考えたらわかりますよね。駅ナカで買い物ができるからといって、上野から東京に行き、買い物を済ませて戻ってきても1円も運賃が掛らないのであれば、無法地帯になってしまいます。

そのため、もし山手線を1周したいのであれば往復乗車券を購入してください。具体的な買い方は、往路は上野→東京、復路が東京→上野という形です。このように往復乗車券を購入しているのであれば一度東京駅で列車から降りなくても1周することができます。運賃でいえば片道140円、往復280円で1周することができるわけですね。もし山手線を1周したいと考えた場合は、しっかりとこの仕組みを理解してくださいね。

当たり前だと思っているから無意識に不正をしてしまう

あまり深く考えずに行動していていると身近なことが意外とわからないことがあります。逆にわかっていたとしても、普段からあまり気にしていないと忘れてしまうこともありますよね。

ここで思い出してほしいことは、昔から言われている『「ごめん」で済めば警察はいらない』という一文です。「知りませんでした」では決して済まされない問題に発展することもあるのです。鉄道は、乗客の方から運賃をもらって成り立つビジネスですから、正規ではないことをしたり、実際に乗ったのに安く利用しようなどと考えると「詐欺罪」となり逮捕されることもあります。定食屋でとんかつ定食を注文して、しっかり食べ終わってから「自分の食べたものはとんかつのみです」とか食い逃げするのはNGだとわかっている人は多いのに、鉄道ではこの方法で捕まってしまう人がいるのは何故でしょう? 不思議ですね。

意外とやりがちな行動ですし、実際に同様のケースで駅員や警察のお世話になっている人が多いので、ピックアップしてみました。この記事を読んでくれたあなたは、同様の内容で駅員や警察のお世話になることはありませんね。
今後もこのような鉄道の裏側や豆知識などをシェアしていきたいと思いますので、是非フォローして次の記事も楽しんでください。では、また♪


「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら

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