意外と知られていない電車の “おとな と こども”

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灯台下暗し!?  “おとな と こども” について答えられない

突然ですが、電車に乗るときにかかる費用の “おとなとこども” について考えたことはありますか?

電車に乗るときの費用は、乳幼児であれば基本的に保護者がお金を出します。学生になり通学定期券を購入する場合は、本人が窓口で購入することもありますが、まとまった金額を親から預かって買いに行くケースが多いでしょう。小学生くらいになると、中には友だち同士で電車に乗る人がいますので、自分で切符を購入する場合もあるでしょう。しかし、全体的に見るとそれほど多くはありません。

ましてや、今はICカードも普及していますから、券売機で切符を購入する人自体が減ってきています。

このような状況で出てくるのが、“おとなとこども” の区分についてあまり知らないで、電車を利用している人たちです。驚いたことに、僕のTikTokのコメント欄には、「いつまで “こども” なんですか?」「大人になって “こども” として乗ったらバレますか?」などの質問がたくさん寄せられます。

正直に言うと、「大人よりは安くなるよね?」くらいの認識の人が多いです。そこで今回は、知っているようで意外と知らない “おとなとこども” について、しっかりお伝えしていきたいと思います。

テーマパークと鉄道の “料金” の違いとは?

この記事では、JRの電車に乗る場合に重要な “おとなとこども” についてお伝えしていきます。ちなみに、JRグループであれば各社とも同じですので、予めご了承ください。

では、基本的なところから押さえておきましょう。まず、僕がこの記事の中でずっと “おとなとこども” という表現を使ってきたところからお話しします。きっと「 “おとなとこども” なんて言い方しないで、“大人料金と子ども料金” でいいじゃん!!」と思われた人も多いのではないでしょうか?

なぜこのような表現をしたのかと言いますと、実は電車に乗るために必要な費用には「2つの種類」があるからです。それは『運賃』『料金』です。よくテーマパークなどに行くと「こども料金」と表現されますが、鉄道の場合は2つの種類があります。

『運賃』とは、電車を使って移動する際、距離によって必要な費用です。そして『料金』とは、設備のアップグレードにかかる費用のことを言います。基本的に、子どもが半額になるのは『運賃』のみです。まずは、これを押さえておいてくださいね。

次に、何歳から “こども” かと言いますと、6歳以上12歳未満です。そして “おとな” は12歳以上です。6歳になっても小学校入学前は “幼児” として、12歳になっても中学校入学前までは “こども” として乗車できます。

よくいただく質問に「入学前ということは入学式が終わるまでは前のままだよね?」というものがありますが、日本では「4月1日から変わる」と覚えておいてください。保育園や幼稚園の卒園式を迎える3月31日までは “幼児”、翌日4月1日からは “こども” となります。これは小学校卒業から中学校入学についても全く同じです。

子ども料金は、基本的に大人の半額です。140円であれば半額の70円となります。もし端数が出た場合「5円の “は数”」は切り捨てです。

では次に、子ども料金が適用となる乗車券や料金券についてみていきましょう。

半額となるのは「乗車券、特急券、急行券、指定席券、入場券」です。逆に適応にならないのが「グリーン券、寝台券、グランクラス」などです。後者は設備のアップグレードに対する “料金” ですので、大人と同額になります。例えば、新幹線のグランクラスを利用する場合は「乗車券(半額)+新幹線特急券(半額)+グランクラス利用料(大人と同額)」という形になります。

こんなときは適応外!知っておくだけで行動が変わるかも?

基本的に6歳未満(幼児)は無料ですが、次のようなケースでは運賃がかかることもあります。

まずは、幼児を3人以上同伴させる場合です。2人までは無料ですが、3人目からは6歳未満であっても子ども料金がかかります。例えば、Aさんには3人の子どもがいて、年齢がそれぞれ5歳、3歳、1歳だとします。この4人で電車に乗る場合は、Aさん(大人料金)+子ども料金1人分がかかります。しかし、Aさんの旦那さんも一緒であれば、大人1人につき幼児を2人まで同伴可能となるため、Aさんと旦那さんの大人料金2枚が必要となり、子ども料金はかかりません。

では、5歳の子ども1人だけ(単独)で祖父母のところまで電車に乗る場合はどうでしょう? この場合は無料とはならず、6歳未満の幼児であっても子ども料金が必要となります。

また、遠方へ旅行などで寝台列車や指定席、グリーン席をとった場合は、設備のアップグレードになりますので、大人と同額です。添い寝をするなり、抱っこをするなどして1つの設備を共用する場合は問題ありませんが、乳幼児だけで1つの席を広々と使わせてあげたい場合は、大人料金がかかります。気を付けてくださいね。

大人なのに “子ども料金” で乗ろうとするとバレる!?

ここまで、“おとなとこども” についてお話ししてきました。さて、世の中には大人になっても “こども” の乗車券類で乗るような困った人が一定数います。

バレないとでも思っているのでしょうが、改札を “こども” の乗車券類で通ろうとすると、しっかりと駅員にわかるようになっています。40代、50代でも、涼しい顔をして当たり前のように “こども” の乗車券で通る強者もいますが、絶対にやめてくださいね。

“おとな” なのにも関わらず “こども” として乗る行為は、鉄道会社を騙して運賃・料金をごまかす『詐欺罪』で警察のお世話になります。

こういったことを記事として書かなくてはならない理由は、現代でもたくさん不正乗車をしている人がいるからです。この記事を読んでくださった人の中から、そのような人が生まれないことを祈っております。

今後もこのような鉄道に関わるアレコレをシェアしていきます。次回を楽しみにしていてくださいね。

では、また♪


「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら

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