
券売機はATM、乗車券は現金と同じ! 新たな乗車券盗難の手口
[ WEB車掌SEKIDAIの「新たな世界に駆け込み乗車」 ~乗って気付いた異次元な世界!~ ]
不正乗車ではなく、正規の乗車券を盗む手口が横行
不正乗車や犯罪はなぜ起こるのでしょうか? 数百円の運賃を浮かそうと考えているのか、そもそもその行為自体を楽しんでいるのかは不明ですが、不正乗車は昔から無くなることはありません。
自分が乗車した区間の運賃を支払うことは当たり前だと誰でもわかります。食堂やレストランで食べた定食に対してはしっかりと支払うのに、鉄道の運賃についてはごまかそうとする人がいるのはなぜなのか、気になって仕方ありません。
食堂の場合は入れる人数にも限りがあり「もしかしたら、店員に顔を覚えられているかもしれない」という心理が働き、鉄道の場合は利用人数が数百人・数千人単位となるため、どこかしら「逃げ切れる」とさえ思っているのでしょう。

ただ、このような不正乗車を行う人の更に上をいく人が、最近SNS上で話題となっています。それは、乗車券を盗む人が現れているということです。
本来より安い運賃で乗ってごまかそうとするのではなく、正規の値段で買った人の乗車券を盗むという、この大胆な発想を考えて実行する人が現れたのです。
普通、乗車券を窓口や券売機で購入したら、財布に入れるか手でしっかりと持っているかのどちらかです。しかし、その一瞬のスキを狙っている人がいるという事実を知っていただきたいと思います。
一体、その手口はどのようなものなのでしょうか? 詳しく解説していきます。
「乗車券なんて盗まれない!」と思っていると次の被害者に!

今回の事象は、盗まれるというより「ひったくられる」と言ったほうが合っているかもしれません。犯人は、少し相手が油断した瞬間を狙って犯行に及びました。また、すぐに追ってこられない状況を意図的につくり出していたのです。まず、そのときの状況を整理してみましょう。
被害者のAさんは出張のため、キャリーケースを持って駅に到着しました。そして、新幹線の乗車券と特急券を券売機で購入しました。
その後、自分の目的地に行く新幹線の時刻を調べてみて、あと3分ほどだということに気付きます。左手にキャリーケース、右手には先ほど購入した乗車券類を握りしめ、急いで改札口に向かったのです。
改札機の前で一度立ち止まり時間を確認すると、発車時刻までまだ1分少々ありました。キャリーケースから左手を一瞬離し、乗車券と特急券をそろえて改札機に入れた瞬間、
ドン!!「あっ!!」
横から男が強引に割り込んできたのです。そして穴が開いて出てきた乗車券と特急券をあたかも自分の物のように取って、改札内に入っていってしまったのです。
Aさんは追いかけようにも、犯人が改札機で乗車券類を取ったため、目の前でゲートが閉まってしまい追いかけることができません。呆然としている間に、犯人は新幹線に乗って逃げて行ったのです。
その後、Aさんは駅員にその状況を説明し対応してもらいますが、その後犯人がどうなったかは明らかになっていません。
このような乗車券強奪事件は、この令和の時代になってから一度だけではないようです。「日本だから大丈夫」というような甘い考えは持たないことが賢明ですね。
意識と行動を変えることで被害を未然に防ごう

いくら犯人が悪いとは言っても、そのようなことをする人がいることは事実です。被害に遭わないように、あなた自身も次のことを意識して気を引き締めましょう。
まず1つ目は、券売機で乗車券類を購入する際は周囲を確認することが大切です。よく考えてみると新幹線の乗車券類は金券ショップなどでも取り扱われていることから、転売目的に使う人もいるかもしれません。
券売機はATM、乗車券はお金という認識で、購入したときはすぐに財布やパスケースなどにしまいましょう。
また、乗車券類を購入する際には「○○駅だと▲▲円か・・・」などの独り言はやめましょう。壁に耳あり障子に目ありです。また、乗車券を買うのではなくICカードにして行き先をわからなくすることも有効です。
2つ目は、乗車券類が複数枚ある場合は事前にそろえておくということです。改札機の前でそろえたりすると、今回のようなリスクが出てきてしまいます。たまたま今回は乗車券類でしたが、手を離した隙にキャリーケースやバッグなどを盗まれてしまうかもしれません。
そして最後に、改札機は一番右を通ることです。日本の改札機は右側に乗車券を通す場所があります。これは右利きの人が多いからです。その場合、一番右の改札機を使えば更に右から強引に入ってこられる可能性が極めて低くなります。
これら3つのことを意識するだけで、今回の事象を未然に防げるでしょう。あなたも、他人ごとだと思わず、心掛けてみてくださいね。
まず事象を知ることからがスタート

今回の事象は、僕が17年間鉄道員をやってきた中では一度も遭遇したことのないものでした。ただ全国のどこかでは起きていて、明るみになっていなかっただけなのかもしれません。
最近ではSNSがかなり普及してきて、何か変わったことがあれば一気に拡散されます。良いことも悪いこともすぐにニュースになるのです。
僕はTikTokで様々な不正乗車についてドラマ形式でご紹介していますが、どの動画もおかげさまで再生回数が数十万回~数百万回と皆さんに興味を持ってもらっています。
まずはどのような不正や犯罪があるかを知ることが大切です。それは不正乗車を未然に防ぐことができたり、犯罪行為が発生したときの冷静な対応に繋がるからです。
この記事を読んで驚いた方は、是非ともご家族やお友だちにシェアしていただけたらと思います。大切な方が被害に遭われないように・・・。
これからも鉄道関連のお役立ち情報やおもしろ情報をお届けしていきますのでよろしくお願いいたします。
では、また♪

「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら
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