
引っかかる人多数!? 乗車券の有効期間
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意外と知らない!? 乗車券の有効期間
あなたは乗車券の有効期間を意識したことはありますか? 券売機で乗車券を購入すると、しっかりと券面に有効期間も記載されています。最近はICカードが普及していますし、近場(ちかば)の移動が多い場合は気にしている人は少ないかもしれませんね。
この有効期間って、実はとても大切なのです。僕もレストランの割引券やショップのクーポン券を使おうと思ったのに、期限切れで悔しい思いをしたことがあります。同様に鉄道の乗車券にも有効期間があります。
『有効期間』はその名の通り、この期間を過ぎてしまったら、使用することも払い戻しをすることもできません。

JR東日本のケースですが、営業キロが100キロまでの場合と、大都市近郊区間(だいとしきんこうくかん)内のみを利用する場合は、乗車券の有効期間は1日です。営業キロが100キロまで。これは簡単に言えば、100キロ以内なら日帰りで移動できるということですね。
それ以上の『2日間有効』とか『3日間有効』になると間違える人がたくさんいます。例えば、この『2日間』というのは、当日と翌日のみという意味です。8月1日が使用開始日であれば、8月1日と2日のみです。8月1日に2を足して8月3日まで大丈夫だと勘違いしている人が多いので、この点をしっかり覚えておいてくださいね。
今回、大事なことは『大都市近郊区間』と『有効期間の計算方法』の2つです。一見難しそうですが大したことはありません。一緒にみていきましょう。
これを覚えれば鉄道員レベル!? 意外と簡単な『大都市近郊区間』

「ん? 大都市近郊区間ってなに?」と思った人が大半ですよね。大丈夫です、簡単に説明しますね。
大都市近郊区間は、東京・大阪・福岡・新潟・仙台の近郊に設定されている区間のことです。これらの区間はたくさんの路線があるため、乗客の利便性や改札業務の簡略化を図るために「どのルートを通っても運賃は同じ」と決められているのです。
では、具体的に『東京近郊区間』で考えてみましょう。例えばあなたが東京から新宿まで行く場合、山手線でも中央線快速でも行くことができますね。山手線はぐるりと一周するため、到着まで30分ほどかかりますが、中央線快速であればその円を真っすぐ切り裂くように直進するため、時間も半分ほどです。
基本的に鉄道の運賃は距離で算出しますが、このように乗車経路が2つ以上ある場合、どの経路を通っても最安値で利用できるのです。
山手線のような環状線で考えるとおもしろいです。極端な話、東京駅から有楽町駅に行く場合、外回り(右回り)ですと1駅で2分ほどですが、神田駅、上野駅方面の内回り(左回り)に乗って1時間ほどかけて行ったとしても同じ運賃ということですね。そのため、この大都市近郊区間をよく理解すると、140円で関東一周の日帰り旅行もできてしまうのです。
実は、有効期間を出すための計算式がある

次に有効期間についてです。先ほど、100キロ以内は1日とお伝えしましたが、101キロ以上はどうなるのでしょうか? 実は簡単な計算式があります。それが
『○キロ÷200キロ+1日』
です。出た数字の小数点以下は切り上げてください。
「こども運賃は切り下げなのに、有効期間は切り上げ? 紛らわしい・・・」と思ったかもしれませんね。ただこれは、「運賃は安く乗ってもらうために切り捨て、有効期間は遠くに行くほど時間がかかるから切り上げてくれている。JRって優しい」ということなんです。
この○の部分に移動距離を入れるだけで有効期間が算出できます。例えば、わかりやすいように東海道線でお伝えしますと、小田原駅は起点から83.9キロで熱海は104.6キロ、静岡は180.2キロで神戸まで行けば589.5キロです。
小田原駅は100キロ以下なので1日ですね。問題はこれからです。「ややこしい。紙に書かないと・・・」と思った人もいるでしょう。しかし、そんな必要はありません。どんぶり勘定で大丈夫です。
実は、考え方を少し変えれば意外と簡単なのです。まず熱海駅です。距離は104.6キロなので、200キロで割ると0.505になります。同様に静岡駅は0.901です。一見難しそうですが、要は200キロまでは小数点以下を切り上げなので1なのです。そのため、200キロまでの有効期間はその1日にもう1日追加して、2日間となります
では神戸駅はどうでしょうか?距離は589.5キロです。401キロから600キロまでは、200で割ると2以上3以下になります。そのため、401キロ以上、600キロ以下は600キロとして計算すれば大丈夫です。600÷2は3、それに1を足して有効期間は4日間となります。
慣れてくると、計算せずにその数字がパッと頭の中に浮かぶようになってきますよ。
途中下車の旅は2日以上の乗車券が必要

いかがでしたか? 今回は『大都市近郊区間』と『有効期間の計算方法』についてお伝えしました。このような知識を付けておくと旅行が楽しくなります。その理由は『途中下車』の旅を楽しむことができるからです。
『途中下車』とは、旅行途中に乗車区間内の駅で改札の外に出ることをいいます。様々な条件はありますが、この『途中下車』ができるのが101キロ以上の乗車券となります。
つまり、有効期間が2日以上ある乗車券については途中下車ができて、旅行途中の駅で下車して観光などを楽しむこともできるのです(後戻りできないことなど、条件はあります)。
特に往復乗車券を購入する場合、片道の営業キロが601キロ以上あれば、「ゆき」「かえり」の運賃がそれぞれ1割引きになります。途中で降りて観光したいからといって、2行程の乗車券に分けるなどしてしまうともったいないですね。実は、「途中下車の旅をしたい」と考えたことのある人は、この『乗車券の有効期間』を考慮すると、より旅行ライフを充実させることができるのです。
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では、また♪

「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら
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