意外と知らない「交通系ICカード」のルール

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今や学生証や社員証までもが「Suica」の時代!?

突然ですが、あなたは鉄道を利用するときに、切符を購入しますか? それともICカードですか? この質問をするとほとんどの人が「ICカード」と答えるでしょう。

ここで言う「ICカード」とはもちろん「Suica」や「PASMO」などの交通系ICカードのことですが、これらの歴史を見てみると「Suica」が2000年12月に発行され、2006年に「PASMO」、そして2007年に首都圏相互利用(会社が異なっても使用できるサービス)が開始されました。

ちなみに、僕はJR東日本に2002年に入社したのですが、前年の2001年に就職説明会に行ったときは「Suica」がリリースしたばかりで、ものすごい衝撃を受けた記憶があります。

これらは「電子マネー」と呼ばれるようになり、現在はコンビニやスーパーマーケットをはじめ、使える場所が多くなってきました。

僕自身も身軽にスマホだけ持って買い物に行くことも多いですね。小銭で重たくならないだけでなく、支払いの際のレジでのやり取りの時間の短縮がストレス軽減に繋がっています。今や逆に現金しか使えないところは敬遠するようになってきましたから、これも時代の変化ですね。これからも、どんどん利用できるサービスが増えていくことは間違いありません。

コンパクト化はこんなところにまで!?

僕の入社当時(2002年)は社員証と職務乗車証を必ずセットで持っていなくてはなりませんでした。

ここで「社員証はわかるけど、職務乗車証って何?」と思った人がいると思いますので、簡単に説明しますと、鉄道員が自社の路線に乗れるフリーパスのことです。

「そんなものがあるんだ! うらやましい!」と思うかもしれませんが、よく考えてみてください。列車の乗務をするのに毎回運賃を払っていたら馬鹿らしくありませんか? 例えば、テーマパークの従業員がアトラクションのアテンドをするのに毎回入場料を払っていたら大変ですよね。これと同じ考えです。

鉄道員は、業務中は必ず社員証と職務乗車証を携帯しなくてはなりません。これは「社員であるから利用できる」という証明ですね。

これらを携帯しなくてはならない理由はたくさんありますが、万が一これらを紛失してしまった場合、第三者が拾得して不正利用を防ぐことも一つの理由として挙げられます。

国鉄時代には、乗務員の制服を何らかのルートで入手して着用し、乗務員を装い鉄道施設に進入するという事件も発生したことがあります。

このような事件を防ぐためにも身分証の携帯は重要なわけです。また、顔写真付きであれば、本人でないことはすぐにわかります。

僕がJR東日本を退職する2019年には、顔写真付きの社員証と職務乗車証(Suica)が一体となりました。それまでは社員証と職務乗車証2枚持ちだったものが1枚となり、確認する手間の削減と利便性も増したのです。

学生が意外とやってしまう!? 意外と知らないルール

現在は、一般の利用者向けに「Suica」と学生証・社員証が一体化されたものがリリースされ、さらに便利になりました。「ワザワザ一緒にしなくてもいいよね」と考える人もいますが、これがメチャクチャ便利なんです。

先ほど、「鉄道員は社員証と職務乗車章を携帯しなくてはならない」とお伝えしましたが、これは他人事ではありません。あなたもまったく同じです。

現在、通学で電車を使っている本人であったり、お子さんが該当するという人もいるかと思いますが、実は通学定期券だけ持っていても電車に乗ることはできないのです。

この話の流れを読んで気付いた人もいるかとは思いますが、学生割引で定期を利用する場合、学生証と通学定期券をセットで持っていないといけないのです。

交通系ICカードの利用規約(カードタイプのものはカードの裏面に記載されている)にはしっかりと「通学定期券にあっては、証明書等を必ず携帯してください」という文面が記載されています。

そうなんです。通学定期券を使用する際は、学生証を携帯しなくてはならないのです。実は意外とやってしまいがちですが、定期と財布、スマホだけ持って身軽に遊びに行くという行為はNGなのです。

これは、先ほど鉄道員の制服を入手して鉄道施設内に侵入した事件と同様に、乗客同士の定期券の貸し借りなどの不正利用を防ぐ目的や、紛失した際や何らかのトラブルが発生したときに対応を迅速に行うためです。

僕がTikTok内で視聴者にアンケートをとったときも、券面に記載されているのにも関わらず、ほとんどの人が知りませんでした。

ただ、学生の中には「映画館やその他施設で学生割引が適応されるので、出かける際には携帯していた」という声もありましたが、そもそも定期券と学生証を一緒に携帯していないと電車に乗れないということを知っている人は非常に少なかったです。世の中、意外と知らないことって多いですね。

簡単に使えるからこそ、ルールの確認を!

これは定期券にだけ言えることではないですが、あまり説明文を読まないでサービスを利用することが多いように思います。

あなたもWebサービスを利用するとき、ものすごく細かくて長い利用規約をスキップして「利用開始」ボタンを押していませんか? 意外とこの行動をしている人は多いと思います。何せ、この記事を書いている僕本人がそうですから(笑)。

鉄道にもルールがあります。このような記事を書いたり説明動画を出したりすると、必ず出るのが「もっとわかりやすいようにしろ!」というアンチっぽい意見です。

確かに、わかりやすくするのは大切なことですが、交通系ICカードを裏返すだけで、しっかりと記載されています。まずは、自分自身が確認してみるということも大切ですね。

次回以降もこのような、意外と知っていそうで知らない鉄道知識をシェアしていきたいと思います。

では、また♪


「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
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