なぜ、英語車掌SEKIDAIが銚子電鉄にこだわるのか?

[ WEB車掌SEKIDAIの「新たな世界に駆け込み乗車」 ~乗って気付いた異次元な世界!~ ]

英語車掌SEKIDAIと銚子電鉄との出会い

僕がJR東日本を退職したのが2019年5月です。当時は出版も2冊決まっていて、英語の勉強法や鉄道員を目指す人などの力になりたいと思い、セミナーや講演会を行うようになりました。

セミナーや講演会というと少し堅苦しいイメージをもつ人もいるので、もっと気軽に参加してもらえるよう、「お茶会」に変化。お茶会はその名の通り、喫茶店などで参加者と“ざっくばらん”な会話を楽しむものです。鉄道の話、英語の勉強方法の話など、参加者によってその日のテーマは変わり、実に毎回盛り上がる楽しい場でした。

そして退職から半年ほどしたとき、悪夢のような出来事が起こったのです。それは現在もなお流行り続けている「新型コロナウィルス」です。もちろんセミナーや講演会も次々と中止になり、夢だった電車貸切イベントも都電荒川線で一度だけ開催し、それ以降はまったくできなくなってしまいました。

全国の鉄道会社も僕と同様に大ダメージを受けていました。僕は幸いにも執筆の仕事があったため、何とか現在まで生きていることができたのですが、そのときに出会ったのが千葉テレビの方だったのです。

最初は僕の出版した書籍の取材だったのですが、僕の目をジッとしばらく見つめ、何か思いついたかのような表情をすると「銚子電鉄さんと何かコラボしましょう!」と一言。

過去に何度か取材したことがあるということで、その後すぐに銚子電鉄さんと僕を引き合わせてくださいました。初めての会合でいきなり「銚子電鉄の社長さんとオンライン会議です」と言われて、興奮していたことは言うまでもありません。

銚子電鉄竹本社長と初対面!! 想像とまったく違った人物像

銚子電鉄の竹本社長と千葉テレビの担当者、そして僕の3人で行うという、オンライン会議が決まってから、僕はネット上にある銚子電鉄関連のありとあらゆる記事を読み漁りました。

それもそのはず、テレビ局の方の行動は早い……。その日のうちにアポを取っていただき、数日後にはオンライン会議が開かれることになりました。

僕は竹本社長が執筆された書籍をすぐにネットで注文し、アンダーラインを引きまくり、何度も頭の中に情報を叩きこんでいきました。

記事を読むと、「電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!! 電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」という悲痛な叫び声や「銚子電鉄1日の鉄道運輸収入が数千円」とコロナでさらに追い打ちをかけるような経営状況に関するものばかりでした。

僕自身が鉄道員であったということもあり、鉄道設備を維持するためにかかるメンテナンス費用は少なく見積もっても数千万円、その他にも車検費用や緊急に補修するという修繕費など入れると銚子電鉄の規模で数億円になります。一言で表現すると「非常に厳しい」ものでした。

何を話したらいいのかわからないまま、そのオンライン会議の当日を迎えました。緊張気味に挨拶をする僕とは反対に、ものすごく明るく楽しく話をしてくれる竹本社長がそこにいたのです。

僕も一応、超小企業の経営者のはしくれであります。このような状況で明るく話せるようなメンタルはそのときには持ち合わせてはいませんでした。

超危機的状況なことには変わりないのでしょうが、企業のトップが暗い気持ちでどんよりしていたら、会社全体にその雰囲気は蔓延します。

そのどっしりとした気持ちと、どんな苦境でも笑いに変えることのできる竹本社長の人柄に瞬く間に惹きつけられてしまったのです。

一瞬で大ファンになり、自分にできることを探し始めた

社長の人柄に一目惚れした僕はすぐに行動に移すことにしました。まずは当時上映し始めた『電車を止めるな!』という銚子電鉄の制作した映画を見に行くことにしたのです。見る上映は主要キャストが舞台挨拶をする会場を選びました。もちろん竹本社長に直接お会いするためです。

この時も千葉テレビの方と予定を合わせ、一緒に映画上映会場に向かいました。その時はYouTube動画も撮影していたのですが、さすがプロ。「関さんは好きなように話してください」と自前のカメラで僕を撮影してくれることになったのです。

内容はホラーパロディーなのですが、僕は正直なところ、この映画に込めた竹本社長の想いのほうが伝わってきてしまい、終始涙が止まらない状況でした。

オンラインで話してはいたものの、竹本社長と初めて会う人間が、竹本社長の著書を持ち、目を真っ赤に腫らして「サインをください」と言っているわけですから驚かれたと思います(笑)。しかし、社長は終始ダジャレで場を和ませてくださったのです。

このときに、僕は決意したのです。「よし、銚子電鉄のためにできることを探そう!」と。

それからというものの、僕が持っている知識や能力を活かして、何ができるのかを考えるようになりました。

百聞は一見に如かず! 実際に銚子電鉄に乗る‼︎

銚子電鉄の応援をしようという人間が銚子電鉄に乗ったことがないのは問題だと感じ、すぐに銚子のホテルを予約して、2泊3日の弾丸ツアーを組むことにしたのです。実際にはJR時代の旅行で来たことがあるのですが、目的や見る場所などがまったく違います。

そこで全体像を把握するために、1日目は銚子電鉄に乗る日、2日目は沿線を歩く日、最終日は自分へのご褒美デーとしました。

全長で6.4kmという区間の路線は、ゆっくり歩いて移動しても2時間程度で銚子駅から外川駅まで移動することができます。僕は映画を鑑賞した際にいただいた『弧廻手形(こまわりてがた)』という一日乗車券を握りしめ、電車に乗りまくったのです。

1本目は景色、2本目は車掌の行動、3本目は違う車両というように乗車するごとに視点を変えるようにしました。何度も何度も乗っていたので、いずれ車掌さんにも顔を覚えてもらい、話し掛けてもらえるようになりました。やっぱり、車掌をやっていたこともあって最後部車両に乗ってしまうのですよね(笑)。

お昼過ぎの上り列車に乗っていたときのこと。海鹿島駅に到着すると、車掌さんが急に駅舎のほうに走り出しました。行方を見ていると駅の外の道路まで走っていってしまったのです。

「あれ?この電車はどうなってしまうのだろう?」とその行動を見守っていると、驚くべき姿がそこにはあったのです。

帰ってきた車掌さんは何と……。

次回に続く……。


「2007年にJR東日本の車掌となる。車掌による英語での車内アナウンスがなかった当時、独学で英語を学び、車内英語アナウンスを決行。すぐに動画サイトやSNS上で話題になり「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年に退社し、鉄道、英語にかかわる事業を立ち上げ活動中。
関大地さんの紹介ページは→こちら

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  1. cecille

    今や切っても切れない関係の、SEKIDAIさんと銚子電鉄さん。
    こんな素敵な出逢いのエピソードがあったのですね☺️✨