頑張って7個買い集めると、きっといいことが…。黄色、紫、黒もある『真珠』

[ 意外に知らない宝石の裏話 ~パワーストーン店20年監修者が教える ]

フランスでは10月の誕生石になっています

6月の誕生石として定められている石には3種類ございます。まず「真珠」「アレキサンドライト」、そして「ムーンストーン」です。
今回はその中の一つ、『真珠』のお話をいたしましょう。

ちなみに、真珠を6月の誕生石として認定しているのは日本とアメリカとイギリスですね。インドもそうだったかな。
フランスは誕生石に関しましては独自路線を突っ走っていらっしゃるので(あの国はとにかくイギリスと同じことをするのが嫌いな風潮があるのでしょうがないんです)ここではスルーいたしましょう。ちなみにフランスでは真珠は10月の誕生石なんですよ(´・_・`)b

「アレキサンドライト」に関しましては以前この連載でも取り上げたことがございますので、ご興味がおありの方は『アレキサンドライト』の記事をご覧下さいませ。

実は、今回『真珠』か「ムーンストーン」かどちらをテーマの題材として選ぼうか結構迷ったんです。

ムーンストーンのほうが鉱物の連載のお題として相応しいとは思ったんですけれども、真珠も一応「生体鉱物(バイオミネラル)」に分類されるものなんですよね。
生体鉱物というのは、生物が関与して形成される固体無機物質のことなんですが、言い切ってしまえば、生物が作り出す鉱物ってことです。

んで、生体鉱物を全てNGとした場合、カルシウムが主成分の「カルサイト(方解石)」とか古代の植物がオパール化(オパライズド)した「珪化木(けいかぼく:ペトリファイドウッド/ウッドオパール)」もNGってことになっちゃいますので、これはまずいなってことで今回は真珠のお話をしちゃいましょう。ま、大人の事情(?)ってやつですな!
ヾ(´▽`)ノ

皆さんもご存知だと思いますが、真珠というのは貝の体内で生成される鉱物…うんまぁ鉱物です。真珠の外側のあのツヤツヤとした部分は、その真珠を宿す貝の外側、つまり『貝殻』の成分と同じものです。

貝の内部に何か異物が入り込んだ時に、貝殻を作る器官である「外套膜(がいとうまく)」がその異物と一緒に貝の中に入り込み、貝の中で異物の周りに貝殻と同じ成分を結晶化させ続けた結果、真珠が出来上がるという仕組みになっているのです。

マメな手入れが問われます。酢に溶けるくらいデリケートなので

真珠と言えば乳白色のものが一般的ですが、他にもいろんな色があるんですよ。
産地も様々です。

(中南米のベネズエラ・ボリバル共和国産)
(イラク共和国南東の都市バスラ産)
(フランス領ポリネシアの島タヒチ産)
(オーストラリア産)
(フィリピン産:ブラックパールだったらタヒチ産のほうが、照りがあることが多い。)


まぁ、市場でお目にかかるきれいな真珠はだいたい養殖モノです。天然モノは非常に希少と言ってもいいでしょう。
ただ、真珠が出来上がるプロセスとしては天然も養殖も同じなので、他の石の時のように「人工的な処置が!」と神経質になる必要はないと思います。
真珠の核となる異物が貝の中に、自然に入ろうが人がわざと入れようが、真珠の形成自体は貝に一任されていることに変わりはありませんから。

ま、そんなわけで真珠貝(アコヤガイ)や淡水ムール貝を使った養殖モノが皆さんの普段目にする『真珠』ってことになりますね。

真珠貝(アコヤガイ)は海に生息する貝なので、その貝で養殖して出来上がった真珠は「海水真珠(海水パール)」と呼ばれます。
淡水に生息するムール貝を使えば「淡水真珠(淡水パール)」と呼ばれます。海水だ淡水だっていう呼称の違いは、養殖に使う貝の種類の違いということですね。

真珠を扱ううえで最もご注意頂きたいのが「酸」です。
ご存知でしたか? 真珠はお酢に溶けるんですよ。なんといっても主成分が「炭酸カルシウム」なものですから(´・_・`) 
汗や皮脂がついたままにしておくのも劣化の原因となりますので、身に着けた後は柔らかい布などで優しく丁寧に拭うようになさってください。

そういう「こまめなケア」が苦手な方には、真珠はお勧め出来ない鉱物…うんまぁ鉱物ってことになりますね(´・_・`) ← こまめなケアが苦手な人選手権日本代表

※念の為申し上げておきますが、一般家庭にあるお酢の濃度(4-5%)では真珠はそうそう溶けません。でも劣化するのは本当だから止めておきましょう。

昔から、女性の愛と美、感情の象徴であり続けた

じゃあまぁ注意事項も無事済んだところで、そろそろ真珠にまつわる言い伝えなどをご紹介いたしましょうか。

昔の人々は「真珠とは貝の外套膜(がいとうまく)が異物と一緒に貝の内部に入り込み、異物の周りに貝殻と同じ成分を結晶化させ続けた結果生成されたものである」なんてことはご存知ありませんでしたから、この美しい玉虫色に輝く珠に対してロマンチックな言い伝えを残しました。

皆さん、この絵は御覧になったことがおありなのではないでしょうか。


有名な絵画『ヴィーナスの誕⽣(La Nascita di Venere)』です。
描いた方はイタリアのサンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)さん。

現在この絵はイタリア・フィレンツェのウフィッツィ美術館にて展⽰されています。
1483年ごろの作品ではないかと⾔われていますね。

ヴィーナスとはローマ神話における美と愛の女神(ギリシャ神話のアフロディーテと同じ)なのですが、神話によると彼女は海の泡の中から生まれたそうです。

彼女の美しさはしばしば真珠に喩(たと)えられ、貝に乗った姿で表現されました。あの有名なポンペイの壁画にも、貝に乗ったヴィーナスの絵が描かれていたんですよ。

(貝に横たわる美の女神:ポンペイのフラスコ画)


そんなわけで、軟体生物の外套膜(がいとうまく)をご存知ない昔の方々は「真珠とはヴィーナスを具現化したものである」と考えていたようなんです。

美と愛の女神、全ての男性を魅了してやまない彼女を象徴する真珠は、意中の男性を射止めたい女性にとって「恋愛運上昇」のお守りのような役割を果たしたのでしょう。

事実、世界三大美女と名高いクレオパトラさんも、素晴らしい真珠のイアリング(その一粒で小国を買えるくらい高価な品)をなさっていらしたそうですしね。彼女はそのイアリングを小道具にして、ローマ将軍であるアントニウスのハートを見事射止めたんですって!

※紫乃女注:
美食に慣れ切ったローマ将軍アントニウスに「あなたがこれまで見たこともないほど高価な食事をお見せしよう」と持ち掛けたクレオパトラは、「そんなこと出来るもんか」というアントニウスの前でその超高価な真珠を一粒ワインビネガーの杯に落として溶かし、その溶液を一気飲みしてみせてアントニウスをびっくりさせたという言い伝えなのですが、これは眉唾ものだとあたしは思います。
そんな短時間で真珠を溶かすことができるほどの強酸(10%以上)を一気飲みしたらクレオパトラがやばいことになるでしょう。

北欧のデンマークのおとぎ話では、王子を恋しく思う人魚姫の流した涙が真珠になったといわれています。
中国でも、月の女神に仕える女性が何かの罪で月から追放されるという罰を受け、海の岩の上で月を眺めて恋しく思う時に流した涙が、真珠になったという言い伝えもありますね。

とにかく真珠というのは「女性の涙」に喩えられることが多いようです。

そうそう。腹が立つ言い伝えがひとつございましてね。
エデンの園を追放されたイブが流した涙は白い真珠になり、アダムが流した涙は黒い真珠になったんですって。
黒真珠がレアなのは、男性が滅多に涙を流さないせいなんだそうですよ。黒真珠の市場価格を下げるためにも、世の男性陣にはもっと感情の発露に勤しんで頂きたいものですな!(ノ*`´)ノ⌒┻━┻

ま、そんなわけで、真珠は昔から女性の愛と美、感情というものを象徴したモノだと考えられているようです。恋愛運上昇にはもってこいってわけですね。

…ここでちょっとした裏話をご紹介いたしましょう。
恋愛運上昇に真珠を使うのもいいですが、実は真珠は金運上昇にも役立つ石…うんまぁ石なんです。

ただしその場合、養殖でも天然でもいいから、真珠を計7粒(以下でも以上でもダメ)身に付けなければなりません。7個の真珠を同時に身にまとう者には天と地から「この世で生きてゆくのに役立つ」贈り物が贈られるんですって。ご興味がおありの方は是非お試し下さいませ。


では『真珠』のお話はこれくらいにいたしましょう。
それではまた!


1980年代より占術、呪術に興味をもち、独学にて勉強を始める。その後、3人の有名・無名な師匠につき、占術・呪術、およびそれに附随する基礎知識、語学、歴史学、民族学、脳科学などを広く学ぶ。紫乃女さんの紹介ページは→こちら

【紫乃女さんの最近ハマっているものをご紹介します!】

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  1. ささき

    いつも楽しく拝読させていただいております。
    パールは誕生石でもあり興味深かったです。
    予定されている石が沢山あると思うのですが、アパタイトについてお話いただけると嬉しいです。
    どうぞよろしくお願いいたします。