
1千万円超もザラなブラックオパールが、たった7千円弱で買えるって本当!?
[ 意外に知らない宝石の裏話 ~パワーストーン店20年監修者が教える ]
はいどーも。紫乃女(しのめ)です。
はじめましての方ははじめまして。
そうじゃない方はお久しぶり。
ご機嫌いかがですか?
あたしは『銀30枚』というパワーストーンと魔術に関するサイトの管理人をやっているのですが、このたびこちらでも石のコラムを書かせて頂くことになりました。皆さまどうぞよろしくお付き合い下さいませ。
さて、じゃあ記念すべき第一作目の題材はどんな石にしましょうかねぇ。うーん、そうだなぁ。そういえば、ここ『デジタル・デン』の運営会社の社長さんの誕生石はオパールなんだそうですよ。10月生まれさんなんですな。そんなわけで、今回はオパールについて少しお話することにいたしましょう。
でも、『銀30枚』をご覧下さった皆様へお伝えしたいのですけど、『銀30枚』みたいに化学の組成式を使ったりのバリバリの学問的な話はしませんから! その点はご安心ください。
オパール産出量9割以上はどこの国だか知ってますか?
オパール(Opal)、和名だと「蛋白石(たんぱくせき)」。赤や黄色、緑や青など、様々な色が石の中でちらちらと輝く、実に美しい石です。この輝きのことを専門用語では「遊色効果」、英語だと「プレイ・オブ・カラー(play of color)」って呼ぶんですよ。直訳そのまんまじゃんね!
実はオパールは水分含有量が多く、10%前後を占めています。要するに石を構成する物質の1割が水。
そのせいもあり、モース硬度(鉱物の硬さを示す尺度のひとつ)も高くない。大体6.5程度ですね。軽石が6、ガラスが4.5~6.5なので、それと同程度と考えれば、そこまで硬くはないことがご理解頂けるかと。ちなみにダイヤモンドは10あります。でもオパールの指輪をはめたまま正拳突きとかは、さすがに危険なので厳禁ですよ。
オパールの有名産地はなんといってもオーストラリア。「え? メキシコじゃないの?」「エチオピアでしょ!」と思ったそこのあなた、なかなかお詳しい方ですな。しかし実際のところ、オパール総産出量の、実に9割以上がオーストラリア産なんですよ。

オーストラリアは、ブラックオパール(石の地色が濃紺~黒色のオパール)もホワイトオパール(石の地色がカルピスの原液みたいな色のパール)もボルダーオパール(母岩が付いたままの状態のオパール)もざくざく採れる国でしてね。国石(その国家を象徴する宝石のこと)がオパールなのは伊達じゃないってことなんでしょうなぁ(ちなみに日本の国石は翡翠(ひすい)です。中国じゃなくて日本ってとこが面白い!)。
ま、皆さんもご存知のとおり、遊色効果の美しいオパールはお高いもんです。メキシカンファイアーオパールの大粒のやつとかなかなかのお値段ですよ。
ブラックオパールじゃないのに地色が黒々。その正体は…?
そしてそんなオパールの中でも、最も高額で取引されるのが、石の地色が濃紺~黒色のブラックオパールです。濃い地色の中で明るい赤や黄色の光が瞬くブラックオパールは本当に美しい! お高いのも致し方ない話でしょう。
ところが最近、やけにお手軽価格のブラックオパールを見かけるようになりました。エチオピアのウォロ(Welo)州産のオパールなんですけどね。

ほぼ真っ黒と言っていいほど黒い地色。その闇のような地色の中を、炎のような赤い光や真夏の日差しのような金の色がちらつく様は、見事としか言いようがありません。オパールは明るい遊色があるほうが高価で、具体的には赤色・オレンジ色・黄色が入っていると値段が跳ね上がります。でも、ちゃんと緑や青も入っているのです。もんのすごくお高そうでしょう?
これでね、60ドルくらい。この石、4カラット弱あるんですよ? それなのに日本円で7千円弱なの (´・_・`)
「んなわけあるかーい!(ノ*`´)ノ⌒┻━┻」というお怒りの声がここまで届いてきそうですが、まぁまぁ落ち着いて! あたしさっき、この石は“エチオピアのウォロ州産”だって言ったじゃないですか。
そもそも「ブラックオパール」はウォロじゃ出ませんぜ。ありゃ主にオーストラリアのライトニング・リッジで産出されるもんです。(ご興味がおありの方は「ブラックオパール レッドインブラック」でぜひ検索してみて下さい。んもぅ超きれい! お値段も超お高い! うひょー!o(><o)(o><)o)
実は、エチオピアのウォロで採れるオパールは、石の地色が不透明な灰色っぽいものであることが多いんです。でもね、灰色に濁ったカルピスの原液みたいな地色の中で、いくら赤や黄色の光が瞬いても、なんていうかこう、いまいちパッとしないじゃないですか。
じゃあどうしましょう。オパールを燻製にしちゃえばどうでしょうか!ヾ(´▽`)ノ
「何言ってんだコノヤロウ!(ノ*`´)ノ⌒┻━┻」というお怒りの声がここまで届いてきそうですが、まぁまぁ落ち着いて! 燻製というから誤解を招くだけで、これは「スモーク処理」といって、石の地色がいまいちパッとしないオパールに対して行われるエンハンスメント(人工的な処理)なんですよ。
具体的にはオパールを紙に包んで加熱するんです。当然その過程において紙は焦げますよね? その焦げ、要するに「煤(すす)」が含まれた煙がオパールの表面の細かな孔に入り込んで、地色が黒くなるというわけです。要するに「煤けたオパール」が安価なブラックオパールの正体。
いやぁ、煤けるのは背中だけにして欲しいものですな!ヾ(´▽`)ノ でも、悪いことばかりじゃありません。地色が煤けたおかげで、赤や黄色の色合いはより一層くっきりと際立つようになります。
燻製に甘露煮に、まるで料理のような世界
本物の(言い方を変えるなら、未処理のライトニング・リッジ産の)ブラックオパールの場合、いいものだと日本円で1千万円を超えるようなのもざらにあるんですぜ。そんな、手の届かない夢の宝石を想い続けるよりも、多少煤けてたってお手頃価格で手に入るブラックオパールを愛でるほうが、庶民の精神衛生上、よろしいんじゃなかろうかってあたしゃ思うんですけどねぇ。
(あ、1千万円のレッドインブラックを楽々購入可能な方は、そっちをバンバンご購入下さい。経済ってやつは回さないといけないらしいですからね!)
それに、燻製くらいで驚いてちゃいけません。世の中には「砂糖含侵処理」といって、オパールを砂糖水で煮た後に、濃硫酸に浸して地色を黒くする(要するに砂糖を炭化させて黒くしている)処理もあるんですから。
なんじゃそれ、甘露煮の酢漬けかいなって思いません? 甘いんだか酸っぱいんだか超微妙! それに比べりゃ燻製のほうが、まだ平和的解決のような気があたしはするんですよ。
ま、そんなわけで、皆さんもお手頃価格のブラックオパールを見かけたら、「もしかするとこれはオパールの燻製かもしれないな」と認識したうえでお求めになって下さいね。

(オパールの燻製:ウォロ産)
それではまた!

1980年代より占術、呪術に興味をもち、独学にて勉強を始める。その後、3人の有名・無名な師匠につき、占術・呪術、およびそれに附随する基礎知識、語学、歴史学、民族学、脳科学などを広く学ぶ。紫乃女さんの紹介ページは→こちら
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