空想夜行列車 後記

[ 絵本作家そらの世界 ]

コロナ禍に空想で部屋の中に寝台列車を走らせてみた。

もうそろそろ旅に出たい。
でもまだ出られない。
2021年2月、私は部屋の中で空想夜行列車を走らせることを思いついたのです。

私は北海道札幌市の森の近くで、
絵本作家とイラストレーターをしています。
毎日締め切りに向かってアトリエに篭りっきりの生活です。
1日に一度は健康のために森を歩き外に出たついでにスーパーで日用品を買いアトリエに戻る。
あとは犬の散歩以外は、とにかく制作の毎日。

そんな生活がコロナ禍で変わったのは、
私のもう一つの大きな夢の活動でした。

私は絵本作家の活動として、
「絵本大国北海道」という夢を持ちながら活動しているのですが、
2020年までは毎年2000人もの親子の方々に絵本の読み聞かせを行ってきました。
それがこのコロナ禍でリアルイベントを行うことができなかったため、
YouTubeというオンラインに読み聞かせの場を移したのです。

ところでこの「YouTube」をあなたは開設しているでしょうか?
私は昨年5月から先の理由で開設したのですが、
当初は、十円玉の大きさの円形脱毛症がいくつもできるほど、
YouTubeは私にとって難しいものでした。
カメラ、録音機材、編集、音楽、投稿頻度、
などなど、他のSNSとはハードルの高さが違っていて
これはまるで「一人テレビ局」だなと思いました。

頭に十円玉のハゲをいくつも作りながらも、1000人の登録者さんを超えた頃から、
自分のしたいことがなんとなくではありますが、
少しづつ表現し始められるようになりました。
そうしていつしかそれが楽しさに変わっていったのです。

それが、、、ついに先月、
家の中で空想で寝台列車を走らせるということに至った経緯でした。

私の親友がちょうどワインのソムリエだったので、
出張ソムリエで出演を依頼。
空想夜行列車で使用するワインは本物のソムリエールに厳選して選んでいただいた
おすすめの北海道ワインにすることができました。

北海道では近年とても美味しいワインが作られ、
北海道内でもワインの注目度は年々高まる一方です。
そこに合わせてチーズや生クリーム、牛乳などは極上のものが作られるし、
お肉も魚介も一級品が揃うこの、北の台所「北海道」。
私自身仕事で食に関わることも多く、
絵本作家ではあるけれど、料理教室で講師を5年間していたこともあり、
何かこれを活かせないかと常々思ってもいたところでもありました。

「そうだ!家で寝台列車を走らせて豪華ディナーの旅をしよう!
そうだ!そしてそれは北海道の旅にしよう!」
ということで、お家で寝台列車計画が生まれたのでした。

初めは、ステンドグラスのライトをネットで買ったり、
寝台列車にありそうな椅子を買ったりして本物の内装をアトリエに造ろうと
試みたのですがすぐに、
「ああ、これはいくらかけても間に合わない。」
と豪華列車の内装はお金がかかるということに気がつき、

そこからはおうちのカーテンを寝台列車のカーテンに見立てて、
作業テーブルにはテーブルクロスを敷き、
厨房機器の店では食器やグラスを買い集め、
インターネットで銀色に光るステンレスのティーセットを購入。
「テーブル自体」を「夜空や海底」に見立てて「舞台」とし、
そこにマッチ箱ほどの大きさの段ボール製の小さなミニチュア寝台特急を走らせ、
寝台車の部屋は、小さな宝箱に小箱を積み重ねて作りました。

「空想」なのでもうなんでもありの楽しい世界でした。

それからは、本やネットで検索した料理を試し、
そこからオリジナルレシピにしていったりと、何度も試し、
撮影し、できあがったのがこの「空想夜行列車」です。

制作や締め切りの合間に
レシピの開発から台本制作、段ボール工作までしていたので、
この時期は少し寝不足になったりもしましたが、
心から自由で、心から楽しい時間でした。

皆さんも眠る前、お仕事でお疲れの日、
現実逃避したい時には、
ぜひこの空想夜行列車に一度ご乗車くださいませ。

ペンギンのソムリエと
犬の車掌、
オコジョのコック長と
シロクマの客室係が
あなたのご乗車を、心よりお待ちしております。

絵本作家・イラストレーターそら

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