声が貴重すぎる寄付になってしまう理由

[ 銚子電鉄 with WEB車掌SEKIDAI by デジタルデン(前編) ]

もしかしたら、車掌としては日本一有名かもしれない。「英語車掌」こと、関大地がその人物。JR東日本の本物の車掌で、JR高崎線で英語にアナウンスをしていたところ、SNSをはじめ話題を呼び、関連のYoutubeでは600万回も再生されたのだ。関氏は現在、JRを退職して独立。

一方で赤字ローカル鉄道としては、群を抜いて有名になってしまった千葉県の銚子電鉄。利益になることなら何でもトライすることで知られており、ぬれ煎餅が鉄道事業よりも売り上げが上回ってしまったことは有名な話。

そんな関氏が銚子電鉄に、自分の最大の商品ともいえる英語アナウンスを無償で提供することになった。関東地方では千葉から遠い地域に住む関氏が、縁もゆかりもなさそうな千葉の鉄道会社に救いの手を差し伸べたのはなぜか? 2021年3月22日に行われた関氏と銚子電鉄の竹本社長との対談にこそ、その真相が隠されていた。さらに対談の前には、関氏のアナウンスを収録していたのだが、そこに竹本社長が駆け付け、急きょ収録に参戦! 本記事ではその様子をじっくりとお届けする。

万年赤字の銚子電鉄、実は攻めまくっている会社

「英語車掌」こと関大地(以下、関) あらためて自己紹介します。「英語車掌」こと関大地(せき・だいち)と申します。元々はJR東日本に勤めておりまして、車掌をしておりました。2016年からはJR高崎線で車掌をしていたのですが、英語アナウンスを入れたところかなり好評だったようで「英語車掌」というニックネームが付けられて、YouTubeで600万回も再生されました。今は独立していろんな仕事をしており、鉄道会社の応援もその一つです。

銚子電気鉄道・竹本勝紀社長(以下、竹本) 私も自己紹介しますね。関東最東端で、食料品の製造業を営んでおります竹本と申します。

 あ、えっと…(笑)、銚子電気鉄道株式会社(以下、銚子電鉄)の代表取締役・竹本社長ですよね?? 本日はよろしくお願いします。これからの時代、インバウンド(外国人が訪ねてくる旅行)に対応するために、いろんなことを考えて取り組まれていると思いますが、そのあたりを伺えないでしょうか。

竹本 これまでも英語表示などはしてきました。実際は中国の方が最も多いのですが、多くの国の方がわかる言語というとやはり英語です。英語アナウンスも取り入れてみたいと思っていた矢先に、関さんと出会うことになりまして、まさに最適の「人材」というより財産となるべき「人財」だ!と喜んだわけです。

 とても光栄です!

竹本 当社は万年赤字経営で崖っぷちなわけでして、なるべく多くの方にご利用いただきたいのです。コロナ禍ではありますが、全世界から来てくださることによって、当社の存続が可能となるのです。関さんこそ、まさに期待大。「期待(関)大(地)」さんなのです!

真面目にふざける姿勢が、人々の心も鷲づかみにした!?

 ここに置いてあります竹本社長の本、本立ての崖っぷちでギリギリ支えられて立っているように見えるんですけど、傾いているようですし、私の気のせいですかね??

【左】『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』(竹本勝紀、寺井広樹/イカロス出版)
【中央】乗務員室からみたJR 英語車掌の本当にあった鉄道打ち明け話(関大地/ユザブル)
【右】『車内アナウンスに革命を起こした「英語車掌」の英語勉強法』(ジョン レイナー、関 大地/ベレ出版)

竹本 関さんの視力は正常ですよ。ちなみに本のタイトルも「崖っぷち」の文字が傾いています。

 あ、それはよかったです(よくないですか(笑))。一番左が竹本社長のご著書で、真ん中と右側のが、僕が書いた本です。私たちは、鉄道マンだけではなく、作家としても共通しているんですよね。

竹本 本を出すのって、なかなか大変ですよね。今、実は別の本が進行中なのですが、2年間ストップしたままなんですよ…。この『崖っぷちの銚子電鉄』と同時に書いていたんですが『崖っぷち』のほうはユーモラスに書いていたんですよ。で、もう1冊ほうは真面目に書いていたんですが、こっちがとん挫しちゃいまして。だから私、ふざけた本しか書けないんじゃないかと思われているんじゃないかと…。でも私は、いたって真面目です。真面目にふざけながら会社を経営しているんですよ。

 真面目にふざける!

竹本 なんかクスっと笑ってしまうような、そんな会社でありたいな、というのはありますよ。それで応援したくなるような会社にしていきたいと。だから、一生懸命頑張っているフリをしていこうか、じゃなくて💦 本当に頑張ってるんですよ。

 こちらのご著書、私も読ませていただいたのですが、銚子エリアのガイドブックにもなっていますし、竹本社長の銚子電鉄や銚子の地域への想いも綴られていて、とても中味が濃い本でした。こちらの本を拝読して、いっそう銚子電鉄さんを応援したくなりました。

竹本 それは光栄です。社員一人ひとりも写真付きで紹介していますので、当社の社員の顔も見えてくるように感じてくださればとても嬉しいです。

関東の最東端の地で、ついに復活?

竹本 関さんはJRに長くお勤めでしたし、保線(線路のメンテナンス)でもご活躍されていましたから、保線関係でもアドバイスをぜひ頂戴できれば幸いです。

 そうですね。僕はJR勤務時代は最初、新幹線の保線業務からやらせていただきましたので。アナウンスも含め、トータルな面でお力になれれば嬉しいです。

竹本 アナウンスでも、制服を着て、リアルで実演してくださればと思っています。1日駅長とかも、ぜひお願いできましたらと。

 素敵なご提案、ありがとうございます! すぐにでも駆けつけますので。

竹本 ゴールデンウイークや夏休みは、そこそこ人が集まってくるんですよ。観光客が最も多いんですが。犬吠駅とかで、イケメンの関さんが駅長として出迎えてですね、英語のアナウンスもしてくだされば、お客さんはとても喜んでくださると思っています。

 銚子電鉄で「英語車掌」復活ですか~。とてもワクワクしますね!

※犬吠駅

前代未聞のスタイル「グローカル鉄道」を目指す銚子電鉄

 今回、僕がアナウンスを収録するにあたり、竹本社長にもスタジオに入っていただいて、英語のアナウンスまでしてくださいました。僕が全部の駅やマナーの放送を担当させていただいたのですが、竹本社長のアナウンスも楽しみにしていただければと思っています。

竹本 私の声はさりげなく紛れ込んでいるから、誰も気づかないと思いますけどね。

 いやいや、すぐにバレますよ~。

竹本 関さんの英語アナウンスも入って、当社も「グローカル鉄道」に、いっそう向かっていくのではないかと。

 グローカル鉄道?

竹本 「グローバル」と「ローカル」を掛け合わせたもので、世界的に知られると同時に地域に根差したという、そんな鉄道でありたいと思っています。

 ちなみに本日の収録スタジオは、僕と同じ出身の方が現場監督。音鉄(音が好きな鉄道ファン)のスタッフさんと全国の電車に全部乗った乗り鉄(乗車が好きな鉄道ファン)の編集者さんが話すスピードをチェックし、アナウンス学校にも通われたテレビ局の方が語尾などを確認され、今思えば最強のメンバーに囲まれてましたね!

鉄道会社というより家族のような存在

 僕も先日銚子電鉄さんに乗らせていただいたのですけど、お客様と乗務員さんとの親しい触れ合いが、とても素敵だと思いました。

竹本 地元のお客様は常連さんが多いんですけど、車掌もお客様の顔を覚えているんですよ。夕方や夜にお客さんが帰ってくると「おかえりなさい」と車掌とかが言うんですよね。本当にアットホームで。

 こないだもビックリしたのですが、駅の手前で年配の方が歩いている時に、駅員さんが駅の外まで走って行って乗車を手助けされている姿を拝見して、とても感銘を受けました。ウルウルきちゃいましたよ。

竹本 無理やり引っ張って、乗らせようとしていたのでは?

 無理やりじゃないです(笑)。エスコートされてました。お客様のために銚子電鉄さんがあるというのが、社員さん一人ひとりから伝わってきました。竹本社長からもいつも、私は全身でその想いを受け止めています。

*後編は4月7日(水)にアップされる予定です。お楽しみに!

竹本勝紀(たけもと・かつのり)

1962年、千葉県生まれ。慶応義塾大学卒。税理士事務所を経て、2009年に竹本税務会計事務所を設立。500社近い企業に対し、税理士として活躍。銚子電鉄は顧問税理士から付き合いが始まり、2012年に代表取締役に就任。千葉科学大学で財政学、マーケティング論の非常勤講師としても活動している。著書に『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』(寺井広樹と共著/イカロス出版)がある。

関大地(せき・だいち

1984年生まれ。JR東日本にて保線担当の技術職、乗務員を経て、株式会社PLEASURE HUNTERを起業し代表取締役に就任。鉄道員から作家、YouTuber、セミナー講師などに転身した。最近では、TBS系列全国放送や関東ローカルテレビ番組にも出演。出身地でPR大使も務める。JRの車掌時代は、高崎線で肉声による英語放送が話題を呼び、YouTubeは600万回再生。「英語車掌」のニックネームで親しまれている。著書に『乗務員室からみたJR 英語車掌の本当にあった鉄道打ち明け話』(ユサブル)、『車内アナウンスに革命を起こした「英語車掌」の英語勉強法』(ジョン レイナーが監修/ベレ出版)がある。

杉浦博道(すぎうら・ひろみち)

神奈川県出身。東京理科大学を卒業後、東京都立大学大学院で都市計画を専攻し、全国のJRと私鉄は全区間乗車済み。ラーメン屋さ­んは1000軒訪問と食べ歩きマニアでもある。ゲーム誌、モノ雑誌、ライフスタイル誌など雑誌編集を経て、現在はアダルトと小説­以外はほぼ全てを手掛ける書籍編集者。一生出せない編集者も多い10万部突破を9年間で10点出す(30万部突破は2点で、A­mazonと楽天で総合1位も獲得)。企業、専門学校等で、本の編集&販促のセミナー講師経験は多数。大学で書籍編集を事例にマ­ーケティングの授業、学童で小学校低学年向けの講座など、ユニークな形式にも対応。ラジオ、新聞、雑誌の出演経験もアリ。

【銚子電気鉄道】オフィシャルサイト
https://is.gd/zrbelH

【銚子電気鉄道】オンラインショップ
http://chodenshop.com/

【銚子電鉄】激つらチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC1KLrK4CUBDw5QkeDoMcLlQ

【本文中で紹介した書籍】
『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』(竹本勝紀、寺井広樹/イカロス出版)
https://is.gd/tHddHI

【中央】乗務員室からみたJR 英語車掌の本当にあった鉄道打ち明け話(関大地/ユサブル)
https://is.gd/rsFvhQ

【右】『車内アナウンスに革命を起こした「英語車掌」の英語勉強法』(ジョン レイナー、関 大地/ベレ出版)
https://is.gd/iU70Kk

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