
ゾウやライオンから、ハムスターやネコまで…。なんでもござれのカリスマ獣医師!
サルに注射され、フラミンゴに靴下を履かせ
出会いは、1つのメルマガからだった。本を出したい人が企画を配信するそのメルマガからその日に届いたのは、動物がテーマ。私は本業が書籍編集者なので、こういった情報が日々集まってくる体制は整えている。
「動物の本ねぇ。しかも著者さんは、タレントさんとか有名な人でもないし。ジャンル的にもターゲットが限られていて、売れないだろうな」。最初はスルーしようと思ったものの、「サルに注射され、フラミンゴに靴下を履かせ…」とあり、「えっ、マジか!??」となり、気づいたら長文のメルマガを完読。著者のブログのURLもあったので、こちらにもアクセスしてしまっていたのだ。

このブログが読むと、面白い面白い。ちなみに自分は動物には一切興味がないどころか苦手で、妻からペットを飼う相談を何度かされても、全部突っぱねてました。動物園も有名な所を1回ずつ行った程度で、そんなに興味はあるわけでもなく。そんな動物からはだいぶ縁の遠い自分でも、つい興味を持ってしまいました。内容にも、そしてこのブログを書かれている獣医師の北澤功という男にも…。
動物園とペット病院を渡り歩いてきた
北澤先生がここまでのネタをお持ちなのには、理由がありました。自然に恵まれた長野県出身で、小さな頃からカブトムシどころかカエルにヘビまで捕まえていたほどの、根っからの生き物好き。
酪農学園大学で獣医学を学び、動物園を渡り歩き、佛教大学で学芸員資格を取得。獣医師としてエリート街道を進んでいました。
そして現在は、東京は平和台にある「五十三次どうぶつ病院」でペットのお医者さんをしています。つまり、ゾウやライオンといった大型だったり凶暴だったりする動物から、ハムスターやネコといった小さくてかわいい動物まで、ありとあらゆる動物を知り尽くしているのです。しかも、図鑑やネットから情報を得ている知識だけの人ではなく、診療から飼育まで実際に動物に触れあってきています。

これだけの経験をお持ちだからこそ、多岐にわたるネタが豊富に書けるんだなあ、と納得しました。しかも文章を書くのが好きな獣医師さんというのも、レアかもしれません。
ただ、獣医師のブログの書籍化となると、獣医学コーナーなどにひっそりと置かれて終わるかもという懸念から、漫画を掛け合わせる作戦を取りました。コミックエッセイならお客さんに女性が多いですし、動物が好きな女性は多いですし、子供と一緒に読みたいお母さんにも刺さるかな?と。ちなみに漫画家さんは、動物好きという条件で探し、ユカクマさんという方に決定。
そして本が出来上がり、大ヒットとまではいきませんが、手堅く増刷を重ね、3万部は突破しているはず(前の会社で作ったので、最新情報を知らず)。『爆笑! どうぶつのお医者さん事件簿』がそれです。

本を作っている時も楽しく、特に思い出深いのが、誌面をチェックしていただく際に北澤先生に会いに行くと、ちょうど犬の手術中…。オペをしながらしっかり確認してくださいました💦
まだまだたくさんネタをお持ちとのことでしたので、またご一緒したいと思いつつ、自分も他の仕事に忙殺され、転職もあって、ご無沙汰してしまいました。
8年後の再会を祝す形で(?)新連載をスタートさせます!
そして歳月が流れ、8年後。私が『デジタルデン』にかかわるようになり、動物がテーマの連載を幾つか立ち上げる話が出て、「作家さんとして、適任すぎる人がいます!」とすぐに思い出したのが北澤先生でした。そして久々に北澤先生が医院長を務める「五十三次どうぶつ病院」に向かいます。
そういえば病院の入り口には、以前はウーパールーパーが水槽で飼われていました。捨てられていたのを拾ってきたとのこと。えっ、ウーパールーパーってそこらじゅうに捨てられるものなの…?? そして現在は、北澤先生のご自宅のベランダが、ちょっとした規模のある植物園になっているのを写真を見せてもらって発覚。動物だけでなく植物まで、生き物はすべて関心がおありなんだなあ。

で、連載についてはトントン拍子で話がまとまります。この時に初めて知ったのですが、今主に面倒を見ているイヌ、ネコなどは、動物園勤務時代は経験がなかったとのこと。再び学びなおしたそうです。
でも遠方からもペットの診療を希望する飼い主さんが訪れるほど、腕と知識は確かなのです。すげー、やっぱ只者じゃない、この人…。
近日、連載の第1回目をアップします。動物のウンチクから、飼っている方に参考になる情報、ゆくゆくは今の時代らしくSDGs的な動物の保護や生物多様性の持続などにも触れられればと思っています。この新連載にご期待ください!


本の編集やライティングで培ったスキル、豊富な鉄道や地理の知識を活用して、地方創生をはじめ、本作りにとらわれない活動を行う。杉浦さんの紹介ページは→こちら
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