
「ゆうじのピンクはいいね!」 ~心の扉をノックしてくれた、たった一言
[ 今度こそうまくいく! 自信を無理なくつける方法 ]
「きゅうきゅうしゃ」を「QQ車」と書くほど、落ちこぼれだった小学校時代
今回は私の子供のころの『ゆうじくん』が登場します。
あなたは子供の頃、どんな絵を描いていたでしょうか。今だと、男の子だったら『鬼滅の刃』かな? 女の子なら『プリキュア』が多いのかな?
私たちの子供時代は、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、男の子は『鉄人28号』、女の子は『魔法使いサリー』だったように覚えています。私が幼稚園の頃は『鉄人28号』を上手に描く子がいて、あんな風に描けるようになりたいなぁと思ったものです。
ゆうじくんの小学校低学年はいたずら坊主で、勉強ができず体育だけが得意だったので通信簿は体育だけが4、その他は2か1しかありませんでした(涙)。特に国語が苦手で、漢字のテストはいつも0点に近い状況でした。だから漢字テストの朝はいつも憂鬱(ゆううつ)…。

いつだか漢字テストで「きゅうきゅうしゃ」が問題にあったのですが、正解はもちろん「救急車」なんですけど、当時『オバQ』という漫画が流行っていたので、「QQ車」と書いて先生に叱られたことがあります。笑っちゃいますね💦 そんな漢字が苦手なゆうじくんが、今こうして記事を書いたり本まで出したりしているのが信じられないくらいです(笑)。
たった一言が、劣等生が勉強をするように変えた
そんなゆうじくんですが、5年生になりクラスも変わり、担任の先生もお母さんのような川添先生になりました。ある春の日、校庭で写生をすることになります。
ゆうじくんは友達と2人で、きれいに咲いている桜を写生していました。多分そんなにうまくない絵だと思います。そこへ担任の川添先生が来てゆうじくんの絵を見るなり、「ゆうじのピンクはいいね!」と褒めてくれたのです。
自分では、ピンクの良さはわからなかったのですが、とっても嬉しかったことを覚えています。なぜって、今までいたずら坊主で成績も悪く怒られることはあっても、褒められることがなかったからです。

「ゆうじのピンクいいよ!」と褒めてくれたのは、桜の色以外は褒めるところがなかったのかもしれません。でも川添先生には、ゆうじくんへの思いがあったんでしょう。
その言葉で変わったのは絵だけではなく、勉強への意欲もだったのです。国語や算数など他のことも、意欲的に取り組めるように変わりました。成績もだんだん良くなり、6年生の後半は学級委員長にも選ばれました。
しかし、いたずら坊主癖の抜けないゆうじくんは、女子トイレに入ったり校庭の植木を壊したりしました。「ゆうじ、お前は何をやっているのかわかっているのか!」と川添先生に何度もビンタのお叱りを受けました。でも、「ゆうじのピンクはいいね!」の言葉で自信をつけたゆうじくんは頑張りました。
誰でも輝くものはある! その見つけ方、教えます。
きっと先生も私の絵を上手じゃないと思っていたでしょう。でも私のありのままを受け止めて、私の中にあるキラっとしたものを見つけてくれたんだと思います。

いたずら坊主で勉強嫌いなゆうじくんにあったキラッと輝くものは、実は誰にでもあります。ただ、そのキラッと輝くものは、相手のありのままを観察しなければ見つけ出せません。
なぜなら、この子は「こうだろう」「こうすべきだ」「これじゃダメだ」などと決めつけてしまう先入観や固定観念を持っていると、その子の中にあるキラッと輝くものは見えないからです。
もしお子さんであれば、赤ちゃんの頃の写真を取り出して、パパもママも無心な笑顔で喜んでいるシーンを思い出してみましょう。すると、お子さんの中にキラッと輝くものが見えてきます。
もし部下であれば、一つでもいいので部下のよいところを探してみてください。長所を探そうとする意識があれば、部下の中にあるキラッと輝くものを探し出すことはできます。
大人のちょっとした一言が、子供の将来の可能性を絶つこともある…
一方で、私の友人はこんな経験があったそうです。幼稚園生の時、りんごの絵を描いて先生から「これ、りんごなの?」と言われて、もう二度と絵は描かないと誓ったそうです。もしかしたら、ピカソ級のリンゴの絵だったかもしれないのに。そして幼子(おさなご)の自信も奪い去ってしまった。もったいない話です。
このように大人の一言は、子供に大いに影響します。自分の常識や世の中の枠にはめずに、ありのままを受け止めようとすれば、必ず輝くものが見つかります。その輝くものを「いいね!」と言ってあげるだけで輝きは増し、その子の一生が変わっていくのです。
今回、私のワガママを許していただき、この場を借りて川添先生に感謝の手紙を書かせてください。
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先生、あれは桜の咲く校庭だったよね。
先生は僕の描いてる絵を見て「ゆうじ、そのピンクいいね!」と褒めてくれましたよね。
あのとき、僕はとっても嬉しかったです。
いたずら坊主であんまり褒められたことがなかったから。
先生、知ってるかな。
それから、なんだかやる気が出てきて、他の勉強もやるようになったんだ。
だから、どんどん成績も良くなったんだ。
先生、覚えてる?
僕が調子に乗ってたら「ゆうじ、それはやってはいけないことだ」と真剣に叱ってくれましたよね。
そのときはわからなかったけど、今はあの時叱られたことで正しい道を進むことができました。
先生があのとき、しっかり叱ってくれたおかげだよ。
先生、ありがとう!
あのとき、僕のピンクを褒めてくれて。
先生、ありがとう!
あのとき、しっかり僕のことを叱ってくれて。
今は天国にいる先生に代わって、僕が本気で誰かを褒めて叱ってあげるね。
先生、僕の心の扉にノックしてくれてありがとう!
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この小学校の時の体験が、拙著『部下が変わる本当の叱り方』の原点だったかもしれません。

さて、「あなたの一言は自信をつけさせていますか? それとも奪っていますか?」
次回も心の扉のノックの仕方をお伝えします。お楽しみに!
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