今回は、調子にのった私と挫折する私が登場します。あ、今回も「自信のつけ方」というテーマですよ～。
前回は小学校の恩師の一言「ゆうじのピンクはいいね！」が、心の扉をノックしてくれたおかげで自信をつけ、才能に目覚めたゆうじくん（小学生時代の私）のお話でした。
実はこの前回の記事の反響が大きく、「FMふっかちゃん」というラジオ局の番組では、素敵な音楽にのせて一部を紹介してくださいました。
読者の皆さんも、家族や部下、そして自分の中にあるキラッと輝くものを見つけて一言「いいね！」と言ってあげると、隠れていた才能が輝き出しますよ。
先生の一言で自信をつけて、順風満帆な人生を歩む
小学校時代に先生にほめられて自信をつけた私は、高校では生徒会長を務め、高校・大学とバレー部のキャプテンとしてリーダーシップを発揮していきます。小学校の頃からすると、自分でも信じられません（笑）。
大学では絵が好きなこともあって、デザインを学ぶ建築を専攻し、卒業後は一部上場の大手建設会社に入社します。
建設現場の現場監督として、早くからリーダーシップを発揮していきます。上司や会社から優秀だと言われ順風満帆な人生を歩んでいくことに。出世頭でもあった私は、会社の中でもビッグプロジェクトであった100億規模の駅前再開発工事の責任者に任命され、期待以上の成果をあげていきました。
自信も傲慢に変わると、挫折に向かう…
会社からも信頼され、新潟県上越の新たな駅前再開発工事の現場へ意気揚々と赴任します。先のビッグプロジェクトの成功で自信をつけた私は、「今回の工事も大したことはないだろう。きっと上手くいくはずだ」と傲慢（ごうまん）になっていきました。
しかし、私の傲慢さで負担がかかったのか、右腕の部下が失踪してしまいます。そして、業者もこんな現場ではやっていられないと逃げ出していきました。
結果、現場は大赤字になり、55歳のとき人生初の挫折を経験します。会社からは「吉田はもう終わったな」と言われ、行き場のない悲しさ寂しさを感じ、雪の降る上越で途方に暮れていました。
自分は、もうどうなってもいい。どこかに行ってしまいたい…。そんな気持ちになっていたとき、妻から電話が鳴りました。
私の閉じかけた心の扉を開いてくれた一言
電話口で「俺、もうダメかも…」と弱音を吐く私に、妻は優しく「私たちは味方よ！」と言ってくれました。その一言で、「自分は一人じゃない。家族がいるんだ！」と我に返ることができました。妻の一言がなかったら、あのときどうなっていたのかわかりません。妻には今でも心から感謝しています。
それから責任を取る形で、福島の除染現場に異動することになります。福島でも作業員の交通事故など悲しい体験をしましたが、上越での挫折の経験で人の心の痛みがわかるようになってきた私は、冷静に自分のやるべきことを遂行できました。
福島での生活は四畳半一間暮らしで心身つらいこともありましたが、家族の応援もあり最後は現場の責任者になることができました。
また、福島の経験の中で私が失敗した部下の指導法にも向き合うことができ、拙著『部下が変わる本当の叱り方』（明日香出版社）のベースになる考え方を身につけることができました。今では福島に行ったことに、本当に感謝しています。
「私たちは味方」。この一言だけで、人はどん底から這い上がれる！
妻の「私たちは味方よ！」の一言が私を救ってくれたように、ピンチのときほど、身近な人の関わり方が重要になってきます。
もし、お子さんがテストで点数が悪かったとき、「なにやってんのよ。そんな点数じゃうちの子じゃないわよ！」と言ってしまうと、お子さんは誰に自分の悔しさや寂しさをわかってもらえばいいのでしょうか。行き場のない想いで、ますます心の扉を閉めてしまいます。
こんなとき「大丈夫。お父さんもお母さんも、〇〇ちゃんの味方よ」と言ってあげれば、お子さんは、こんな自分でも大丈夫なんだ！と安心できます。だから、「一緒に勉強の方法を考えようか」と寄り添えば、未来を考えることができます。
一方、突き放した言葉では、心の扉が閉まったままで未来を考えることはできません。
また、部下が失敗したときに上司が「私は、〇〇くんの味方だから」と言ってあげれば、どんなに嬉しく勇気が湧いてくるでしょう。「私は一人じゃない。味方になってくれる人がいる」。この安心感が「自分を信じていいんだ」という自信になり、それが勇気となって自ら心の扉を開けることができるのです。
さて、「あなたは、お子さんや部下の味方ですか？ それとも敵ですか？」
次回も心の扉のノックの仕方をお伝えします。お楽しみに！
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